外壁塗装工事が始まると、家の周囲には足場が組まれ、塗装部分以外の箇所は養生を施されてしまいますので、生活するのにいくらかの不便が生じます。

そうした中、外壁塗装駆け込み寺に多くいただく質問が「塗装工事中は洗濯物をどこに干せばいいの?」というものです。

今回は外壁塗装工事中には洗濯物をどうすべきかについて確認していきましょう。

■外壁塗装工事中は洗濯物を屋外に干せなくなる

外壁塗装の工事期間中はなにかと不便を強いられることが多いですし、普通に生活しながら大規模な工事をするわけですから多少のことはやむを得ないのですが、「基本的に外壁塗装工事中は屋外に洗濯物を干せない」ことに関しては困る方が多いです。

 

なぜ塗装工事中は洗濯物を屋外に干せないのか、また屋外に干せない場合にはどのような対策を立てて工事期間を乗り切ればいいか解説します。

1.塗料や水しぶきが飛散する

塗装工事中に屋外に洗濯物を干せないのは、塗装作業中に塗料が飛び散るからだと想像する人が多いのではないでしょうか?

それ故、塗料を使用しない作業の時なら塗装工事期間中でも洗濯物を屋外に干して構わないと思っている人もいるかもしれませんが、実は塗装工事の現場では塗料以外にもさまざまなものが飛散するのです。

様々な飛散物によって洗濯物が汚れることもありますし、目に見える汚れがつかなかったとしても塗料のにおいが染みついてしまう可能性があります。

「今日は塗料を塗る日ではないから外に干しても大丈夫なはず」と勝手に決めつけて、洗濯物を外に干したままで外出しないようにしてください。

●高圧洗浄の水

外壁や屋根についている古い塗膜や汚れを水圧で洗い落とす作業が高圧洗浄で、これは塗膜をしっかり密着させるために欠かすことができない作業です。

手作業では取りきれないようなコケや古い塗膜を業務用の高圧洗浄機を使って洗い落とすので、水の圧力はかなり強力で周囲には汚れとともに大量の水しぶきが飛び散ります。

●ケレン作業中の鉄粉

ケレンとは、塗料が外壁に密着しやすくなるように、また、塗膜が長持ちするように鉄部のサビなどを除去して外壁の表面をなめらかにする作業です。

鉄部に出ているサビの状況によって電動工具を用いたりヤスリを用いたりしてサビをこそげ落としますが、この時、電動サンダーなどを使うと吸引器を使用しなければならないほど粉末状のサビや塗料が大量に飛び散り、ヤスリやブラシで擦り落とす場合も鉄粉が風に乗って飛散します。

●下地処理中の粉塵

モルタル壁などにできたクラック(ひび割れ)が比較的大きい場合には、その箇所を削り取ってから樹脂を詰めて補修することがありますが、この「削り取る」作業において電動工具を使うため、粉塵が飛散します。

●吹付け塗装

塗装の工法は刷毛やローラーによる手塗り工法が主流ですが、模様を作り出すためにスプレーガンを使用する吹付け工法で塗装作業をすることもあり、この場合、手塗り工法の場合とは比べ物にならないほど大量の塗料が飛散しますので、絶対に洗濯物を干してはいけません。

 

また、刷毛やローラーによる手塗り工法の場合でも、飛び散る塗料の量は吹付け塗装よりは少ないですが、全く塗料が飛び散らないというわけではありません。

従って、塗装作業をしているときは屋外には洗濯物を干さないでください。

●塗料の臭い

溶剤塗料を使用する場合には、塗料をシンナーなどの有機溶剤で希釈しますので強いにおいがしますので、塗装作業をしているときに屋外に洗濯物を干してしまうと、塗料のにおいが洗濯物に染みついてしまいます。

洗濯物についた塗料のにおいはなかなか取れませんので、特に赤ちゃんやペットがいるお宅では健康への影響なども懸念されます。

においが少ない水性塗料もありますが、それでも全くにおわないわけではありませんので、塗料のにおいが洗濯物につかないようにするには屋外に洗濯物を干さないのが一番です。

2.養生で建物が覆われる

外壁塗装工事をするときは建物の周りに足場を組み、その周囲を飛散防止ネット(養生シート)で養生しますが、この時、建物全体が足場と養生で覆われている状態なので、内側は日光が遮断されて全体的にうす暗く、洗濯物を干すには不向きな環境です。

また、塗装部分以外の窓やベランダ部分も塗料が付着しないようにビニールシートやテープなどで養生をしてしまいますから、窓の開閉やベランダへの立ち入り自体が制限され、工事期間中は洗濯物を干しづらくなります。

3.足場で洗濯物を干すスペースがなくなる

建物の周囲が養生で覆われてベランダに洗濯物が干せないなら、庭になら干せるかも、と考えられがちですが、外壁塗装では建物の周りに必ず足場を設置しますので、洗濯物を干せそうな場所があっても足場で圧迫されてしまいます。

足場の周りは飛散防止ネットで覆われますが、塗料や水しぶきがネットから完全に漏れないともいいきれませんので、足場の外に洗濯物を干すのも危険です。

また、ネットから漏れた塗料や水しぶきが自分の家の洗濯物だけでなく、近隣住宅の洗濯物を汚してしまうことがありますので、必ず近隣住宅にもひとこと挨拶をし、工事中は洗濯物に注意してもらうようあらかじめお知らせしておけば、ご近所トラブルも防げるでしょう。

 

塗装工事中、室外スペースは「職人たちの仕事場」になるため、そこに洗濯物を干してしまうと、職人たちは洗濯物を汚さないよう余分な注意を払わなればなりませんし、作業している傍らに洗濯物があると作業もしづらいです。

職人が洗濯物に気をとられて仕事に集中できないと、作業の効率や工事の質に影響を与えかねないため、そういった意味でも洗濯物は屋外に干さない方がよいでしょう。

■外壁塗装工事中に洗濯物を干す方法

塗装工事期間中でも当然、生活をしていれば洗濯物は毎日出ますが、普段通りにベランダや庭に洗濯物を干すのが難しければどうすればよいでしょうか?

 

塗装工事中は、業者側から洗濯物を外に干さないようにとアドバイスがあると思いますので、工事が始まる前までに洗濯物を干せる環境を準備しておくとよいでしょう。

主な方法としては、

  • 室内干しをする
  • コインランドリーを利用する

などがありますので、自分自身や家族の生活に支障がない方法を考えておくとよいです。

1.室内干しの方法を準備しておく

室内干しをする場合には、

  • 部屋の湿度が高くなる
  • 洗濯物がカラリと乾かない
  • 洗濯物がにおう

などが気になりますので、除湿器を併用するなど工夫をするとよいでしょう。

もし、自宅に浴室乾燥機が設置されていれば、多少電気代がかかってもそちらを利用すれば、室内に湿気がこもることも、生乾きのにおいが衣類に残ることもありません。

工事期間中だけ家庭用の衣類乾燥機をレンタルするという方法もありますが、すぐには借りられない場合もあるため、工事のスケジュールに合わせてあらかじめどこで借りるのか、また費用がどのくらいになるのかなどリサーチしておきましょう。

 

また、湿度が低くなる冬場なら室内用の物干しスタンドを使って暖房で乾燥させるという方法もあります。

2.一時的にコインランドリーを利用する

外壁塗装の工事期間はおよそ10日間~2週間程度です。

どうも今一つきちんと乾燥しない、生乾きのにおいが気になる、そんなことを気にしながら洗濯物を室内に干すくらいなら、工事期間中だけと割り切ってコインランドリーを利用するのも良いでしょう。

洗濯物を持ってコインランドリーまで足を運ばなければならないという不便はありますが、まとまった時間さえ確保できれば洗濯から乾燥まで一気に済ますことができます。

 

洗濯物を屋外に干して洋服に汚れや塗料が付着してしまわないか心配したり、室内に干してストレスを抱え込んだりするよりは気分的に楽です。

多少費用は掛かりますが、コインランドリーの料金も外壁塗装工事の経費の一部として考えてみましょう。

■洗濯物で不安にならないための業者選びのコツ

洗濯は日常生活に欠かせない家事ですから、たとえ塗装工事中であっても不自由なく行いたいと思われる方がほとんどでしょう。

できるだけ普段通りに洗濯を行えるようにするためにも、依頼主目線で生活に支障が出ないなど配慮してくれる業者を選んでおきたいです。

1.    連絡をこまめにしてくれる業者を選ぶ

外壁塗装工事中は、工事の工程内容によって絶対に屋外に洗濯物を干せない場合もありますし、逆に洗濯物を干しても差し支えない工程もありますので、屋外に洗濯物を干すことができる日をあらかじめ業者から聞き出すことができれば、シーツなどのサイズの大きい洗い物をいつ洗濯するか、等の予定を立てることも可能です。

依頼主は素人なので工事内容や工程などについてはよく分かりませんから、屋外に洗濯物を干せる日がある場合には知らせてほしい、と相談した場合に連絡をこまめにしてくれる業者を選びましょう。

 

例えば、その日の作業内容の報告、依頼主の要望や質問への回答などを記入した交換日記形式の「作業ノート」を利用して依頼主と連絡をとってくれる業者もいます。

その日に行われた作業の進捗と次の日の作用内容を毎日連絡してくれる業者なら、工事の予定とこちらの希望をうまく擦り合わせてくれるはずです。

見積もりのに際には、作業の報告をどのような形で、またどのくらいの頻度で行ってくれるのか確認しておくとよいでしょう。

2.施工管理を徹底してくれる業者を選ぶ

契約した業者に所属しているスタッフが工事の最初から終わりまで施工品質を直接管理していれば、工事の進捗状況や工事内容もきちんと把握しているはずで、前もって工程表などを渡してくれるのが普通です。

また、工事の工程や予定について質問すればこころよくスケジュールを教えてくれるでしょう。

このような業者だと工事を依頼する方も色々計画が立てやすく、工事期間中も安心して過ごせます。

 

ところが、施工管理がおろそかな業者に工事を依頼してしまうとそのまま外注業者に丸投げしてしまって、契約した後は現場に現れなくなってしまうこともあります。

そのような業者だと、工事の進行も外注業者に任せきりになってしまうことが多いですが、当初のスケジュール通りに進まない、契約した業者の方に尋ねてみても工事の進捗外壁塗装工事の進捗状況さえよく把握していないというような状態だと、依頼する方は何の予定も立てられません。

 

施工管理をしっかりしてくれる業者を選ぶには、契約した業者と実際に現場に来る職人やスタッフとの関係がどうなっているのかをしっかり確認しておくことが重要です。

  • その業者に在籍している職人が直接施工する会社
  • 下請け業者を使っても、その業者に在籍しているスタッフが施工管理担当者として現場にきてくれる会社
  • 信頼できる下請け業者と連携してスムーズに工事を進めてくれる会社
  • 見積もりを担当した人が工事も担当してくれる職人直営の会社

両者がこのような間柄であれば、施工管理もしっかりしているといえるでしょう。

■おわりに

不便な思いをしがちな塗装工事の施工期間中を少しでも快適に過ごすには、業者としっかりコミュニケーションをとることが大切です。

洗濯物を干したいという要望を業者に出してみて、いろいろ質問したりアドバイスを受けたりすればお互いがストレスにならないような解決方法を見つけられるでしょう。