外壁は家を守る上で重要な役割を持っていて、そのメンテナンスは計画的に行わないと、家の劣化が早くなったり雨漏りの原因となったりします。

外壁のメンテナンスをする上で、外壁材が貼ってある部分は面積が大きく目立ちやすいため異変に気が付き易いですが、目地の劣化は注意深く観察しないと見落としてしまいます。

どんなに外壁材が丈夫でも目地が弱っていては家のダメージは避けられませんので、目地のメンテナンス法についてご紹介していきたいと思います。

■外壁の目地部分のしくみ

最初に「目地」がどういったものかについて解説していきます。

1.    目地が生じる外壁材がある

外壁仕上げは、既成の外壁材を繋ぎ合わせる方法と、現場で壁を塗る方法に大別されます。

既成の外壁材を繋ぎ合わせる手法の材料としてはALC(軽量気泡コンクリート)やサイディングなどが有名ですが、それらを接合する部分には「目地」ができ、この部分のメンテナンスを十分に行わないと雨漏りの原因となります。

一方で、現場でセメントをコテで塗って作るモルタル壁は目地ができないので比較的弱点の少ない外壁の仕上げと言うことができます。

ただし、モルタル壁の場合でも窓サッシの周囲に目地が入っている場合もあるので、ご自宅に目地があるかどうかは入念にチェックする必要があります。

2.目地にはコーキングが打たれている

ALC(軽量気泡コンクリート)やサイディングを使用した目地ができる外壁仕上げの場合は、目地が劣化したままになっていると、その部分から雨水が侵入して雨漏りの原因となったり、構造を痛めて家の劣化を速めてしまったりすることもあります。

そうならないためにも、目地はしっかりコーキングと呼ばれる樹脂の部材を充填し、雨水が侵入しないようにしておく必要があります。

因みに、コーキング材はシーリング材やシール材と呼ばれることもありますが、呼び方が違うだけで大きな意味の違いはありませんので、同一のものと考えておいて差し支えありません。

劣化すると起きること

次に、なぜ目地部分は劣化しやすいのか、また、なぜ目地部分の劣化を放置してはいけないのかについて解説していきたいと思います。

1.目地のコーキングは劣化が早い

サイディングボードやALCパネルは気温や湿度の影響で膨張したり収縮したりするので、コーキング材もそれに合わせて伸び縮みし、いずれその動きに耐えられなくなる時が来ます。

また、樹脂製のコーキング自体が紫外線や雨で劣化しやすいという特徴もあるため、約7年以内には何らかの劣化症状が起きてしまいます。

7年という耐用年数は外壁塗装の耐用年数が約10年であることに比べると短いため、コーキング単体での補修もあり得ることを念頭において外壁塗装の計画を練る必要があります。

 

以下に劣化の種類をまとめておきますので、ご自宅にこういった症状がないか是非ご確認ください。

割れ コーキングのひび割れ
裂け コーキングがひび割れて裂ける
縮み(痩せ) コーキング部材が縮んで目地に隙間ができる

2.目地が劣化すると外壁の防水性が低下する

目地のコーキングが裂けたり縮んだりすると隙間が生じ、そこから雨水が浸水するようになります。

浸水した雨水で外壁内部が長期間水分に晒されると、外壁下地材や構造材の腐食に繋がり、延いてはシロアリやカビなど湿気を好む生物を引き寄せてしまう危険性もあります。

こういった被害を受ける前にコーキングの異変を感じたらすぐに補修する必要があります。

■目地リフォームの方法

目地のリフォーム方法についは、「打ち替え」と「増し打ち」と呼ばれる方法があるので、これらの違いをご紹介致します。

1.コーキングの打ち替え

コーキングの「打ち替え」とは古くなったコーキングを除去して新しく充填し直す方法の事を言います。

具体的には下記のような手順で打ち換えを行います。

1.既存コーキングを、カッターなどの工具ですべて撤去する

既存のコーキング材が残った状態で新しいコーキング材を注入しても、古いコーキング材の劣化によって新しいコーキング材も剥がれてしまうので、既存のコーキング材は徹底的に除去する必要があります。

2.目地の両サイドをマスキングテープで養生する

コーキング材を注入する際に周りの外壁材を汚さないようにするための措置です。

3.目地の内部に下地材を塗布する

目地がきれいになった状態でコーキング材を注入しても乾燥してすぐに剥がれてしまいますので、コーキング材を入れる前に「プライマー」と呼ばれる下地材を塗布することで密着性を高めます。

4.新しいコーキング材を注入する

コーキング材が薄いと耐久性が低くなるので、できるだけ沢山の量を注入します。

 

以上がコーキング「打ち替え」の大まかな流れになりますが、この作業は広範囲に及ぶため足場が必要になる点に留意しておかなければなりません。

コーキング「打ち替え」工事を単体で行っていては足場代が勿体ないので、外壁塗装の際に目地の点検も済ませて、できるだけまとめて工事することが経済的で効率的な手法と言えます。

2.コーキングの増し打ち

コーキング「打ち替え」以外の目地リフォームの手法として「増し打ち」をご紹介致しましたが、これは古いコーキング材を残し、縮んだコーキングの分だけ新しいい材料を補填する方法です。

「増し打ち」は「打ち替え」に比べると施工価格は割安ですが、その分耐久性は劣りますので3・4年置きにリフォーム工事が必要になってくる場合もあり、その度に足場代が必要になるのであまり経済的とは言えません。

足場代の出費をできるだけ抑えるためにも、「打ち替え」による補修を選んでしっかり目地の耐久性を回復おくことをおすすめします。

■おわりに

外壁のリフォームを行う際は目地についても劣化状況をしっかりと確認し、補強することで雨漏りなどの被害を防ぐことができます。

目地の補修方法としては耐久性の高いコーキングの「打ち替え」がおすすめです。