大規模修繕が定期的に行われているマンションなどと違い戸建て住宅の場合、屋根や外壁のリフォームは何か目に見える不具合がない限り、なかなか自ら取り掛かろうとは思わないものです。

そのために、気づいた時にはお家が深刻なダメージを受けていたという事例もままあります。

 

そのような事態をまねかないためにも小まめにお住まいの状況を確認し、おや?と思うことがあれば早めの対策が大切です。

住宅の立地や環境によって違いはありますが、だいだい10年前後が外装塗装の塗り直し時期とされています。

 

その時になって慌てないためにも、そもそもリフォーム工事とは何をするのか、費用はどのくらいかかるものなのか、一般的な価格相場はいくらぐらいなのか等の基本的な情報を事前に集めておくことをオススメします。

 

リフォームを始める前に

 

雨風や紫外線による経年劣化で塗装の剥がれや壁にひびが入ると不具合箇所を修繕し、新築時と同様の状態に戻すことをリフォームといいます。

 

外壁や屋根についてのリフォーム情報は具体的な施工事例がこちらのWebサイト等でも公開されています。

 

自宅をリフォームするにあたり、適正価格とはだいたいどのくらいの金額なのかを知るためにも、まずは手始めに自分のお住まいとよく似た平米数や外観のリフォーム事例を見て大まかなイメージを把握しましょう。

気になるクチコミ情報があれば書込番号などをメモしおいた方がのちのち役立つこともあります。

 

ほんの少しくらいの作業ならなにも塗装屋さんに頼まなくともDIYには自信があるし、と安易に思いがちですが、実際の外壁塗装工事は足場を設置し高所での危険な作業を伴います。

特に屋根塗装は一歩間違えば死亡事故につながることもあります。

 

やはり何事も安全が第一です。

自力で対処する方法は避け、塗装工事等はリフォーム会社といった専門家に依頼することを強くおすすめします。

 

外壁リフォームの事前作業

 

住宅の外壁は大きく分けてモルタル壁とサイディングがあります。

壁の種類によって塗装やリフォーム方法に違いがあるので、まずはお住まいの外壁材を確認しましょう。

 

両者の大まかな特徴は下記の通りです。

 

モルタル壁

 

以前は住宅の外壁と言えばモルタル壁が主流でしたが、職人による塗りの作業で仕上げるため手間とコストがかかり、またひび割れを起こしやすいことから現在ではサイディングにその座を取って代わられました。

 

ただ、職人が自由に造作できるのでデザイン性は高く、趣のある見栄えを今でも好まれる方がいます。

 

サイディング

 

現在の外壁材の主流です。

新築でお家を建てられる方の多くがサイディングを選択します。

一般にサイディングと呼ばれている製品は窯業系サイディングをさします。

 

窯業とは粘土や石灰岩などを窯で高温処理してセメントや瓦などを製造することで、窯業系サインディングとはこのような工法で作られたものを意味します。

 

板状に形成されたサイディングを壁に貼りつける施工方法なのでモルタル壁にくらべ手間がかからず、耐久性や耐火性に優れ価格感的にもお得です。

 

サイディングはシーリング工事によってつなぎ合わせて外壁に施工しますが、この継ぎ目(シーリング材、コーキング材ともいう)が劣化しやすく後にトラブルの原因となることがあります。

 

シーリングのひび割れなどから内部に雨水が入り込むとサイディング自体が損傷し、反りやひび割れなどの要因となる可能性があります。

そうなると張り替えといった大規模な補修が必要となり、リフォーム費用もかさんでしまいます。

 

見積書の検討

 

 

モルタル壁、サイディングといった外壁の塗り直しなどリフォームするにあたってまず、見積もりをとります。

見積書は必ず複数社からとり、各項目についてよく内容を検討しましょう。

 

複数社から一括で見積もりがとれ、キャンセルも代行してくれる外壁塗装駆け込み寺などがオススメです。

 

どのような塗料を使う予定なのか、塗装面積はどれくらいになるのか等、おおよその一般塗装工事にかかる合計価格について前もって情報を集めておいた方が業者との打ち合わせに時間をとられることもありません。

 

悪徳業者の手口でありがちな、塗装箇所が見積書にすべて記載されておらず後から追加請求を受けるといった事態を未然に防ぐためにも塗装して欲しい部分がすべて網羅された金額なのかどうか、これ以上作業や工事費が上乗せされることはないのかなど疑問点はすべて見積もりの時点で解決しておいた方がよいでしょう。

 

上記の外壁塗装駆け込み寺経由などで見積もりを依頼した場合、必ず外壁塗装駆け込み寺のスタッフにも見積書が適正であるかをチェックしてもらうようにしましょう。

 

足場設置の費用

 

 

モルタル壁やサイディングといった外壁を塗装する場合、必要となってくるのが足場です。

足場工事にかかる費用は、リフォーム店や塗装業者から出される見積書にある「足場工事費」や「足場費用」といった項目を確認しましょう

 

一般的なお家なら足場代はおよそ15万円~20万円くらいが相場価格です。

 

あまりに法外な金額の場合は業者に内訳を説明してもらった方がよいでしょう。

 

また「キャンペーン期間中に契約してもらえるなら足場代は無料にします」といったうたい文句で返答をせかしてくる業者には注意が必要です。

 

塗装工事費などに料金が上乗せされている可能性があるので、そのような話には安易に飛びつかないようにしましょう。

 

塗料の選定

 

一般的な住宅に使われている塗料の主流シリコン塗料です。

1缶あたりの価格と耐久性のコストパフォーマンスがよく、多くの塗装実績もあるので安心です。

 

シリコン系塗料の上位には、耐候性が高く耐用年数が極めて長い高機能性を誇るフッ素系塗料や光触媒塗料等があります。

 

ただ、フッ素塗装や光触媒技術が使われるのは、単価が高いため長期的に耐久性を求められる大規模商業施設やオフィスビルなど、限定された場所のみで、一般的にはまだ普及していないのが現状です。

 

また、最近では遮熱・耐熱性に優れた日進産業の「ガイナ」などによる特殊セラミック塗装を希望する人もいますが、塗装するにあたり細やかな技術が必要となるこれらの製品は、指定施工店以外が塗ることができないので事前に確認が必要です。

 

日々の技術革新により上位品質の価格も最近では徐々に下がってきています。

高価格を理由に除外していたフッ素塗料など、もし相場確認をしてご自身の予算範囲内なら検討してみてはいかがでしょうか。

 

後のメンテナンスの手間を考えれば、高い親水性を備えた外壁の汚れ防止効果がある高耐候性塗料は、コストパフォーマンスのよい製品です。

 

外観リフォームの作業について

 

塗装を行うにあたっては塗装面をよく洗浄して既存の塗料をしっかり落とし、外壁下地の補修、サイディングの場合はシーリング処理を行う必要が出てきます。

 

このような下地調整をきちんとしてからでないと、塗装後すぐにひび割れやはがれが生じるなどの不具合の原因となります。

 

モルタル壁に塗装する前の注意点

 

凹凸の多いモルタル壁は塗料を吸い込みやすいので、多量の塗料が必要となります。

そして、職人による手作業が主体なのでコストも手間もかかり、工事期間が比較的長くなることあらかじめ頭にいれておきましょう。

 

また塗装後のひび割れを防ぐために、微弾性フィラーやシーラーといった下塗材を塗る必要があります。

 

使用する塗料によって価格が変動しますが、一般的なお宅のモルタル壁塗装の費用は工事費も含めて60~100万円程度です

 

サイディングに塗装する前の注意点

 

サイディングに塗装する際は、シーリング(継ぎ目)の状態を確認してすべて撤去してから新たにシーリング材を充填する「打ち替え」や既存のシーリングを補修する「打ち増し」を行う必要があります。

 

シーリングは劣化しやすく、それが原因でサイディング自体にトラブルが起こる原因ともなりますので、シーリングの状態があまりよくないようでしたら打ち替えをした方がよいでしょう。

 

サイディングは、1、2回ぐらいなら再塗装で対処できますが経年劣化が進み反りや損傷が激しい場合は塗り直しでは対処できない可能性があります。

 

既存のサインディングの現況を確認して状態がよければ、再塗装よりは費用がかかりますが上から新しいサイディングを重ね張りする方法もあります。

 

そして、ひび割れなど不具合が多い場合は、既存のサイディングを剥がして新しいものにかえる張り替え作業を行う必要があります。

 

サイディングの塗り直しは使用する塗料にもよりますが、80~150万円が目安です。

 

また、重ね張りは150~200万円、張り替えは180~230万円がおおよその相場です。

 

モルタル壁、サイディングともに塗装の劣化が表れ始めたら防水性や耐久性を維持するためにもおよそ10年前後で塗り直しをおこなうことをおすすめします。

 

また、サイディングは塗装製品として、工場で塗装されてから出荷されるものが大半ですが、製品によっては塗膜の劣化が6、7年で生じるものもあります。

 

塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが基本となりますが、業者によっては適切な作業工程を踏まず回数を省いてしまう場合があるので注意が必要です。

きちんと下塗りをしているかなど、作業の様子は小まめに確認した方がよいでしょう。

 

屋根の塗装

 

 

外壁を塗装するのなら、屋根も一緒に依頼した方が別々に行うよりも設置した足場が使えるのでその分の費用(約15~20万)が節約できるのでおトクです。

屋根や軒天塗装、破風塗装は危険を伴う高所での作業となるので足場は必須と考えた方がよいでしょう。

 

紫外線や雨風等の外的刺激を直接受ける屋根の外装は、外壁と比べて劣化や痛みが思いのほか進行している場合はあります。

外壁に気になる不具合が表れ始めたタイミングで屋根のリフォームも一緒に検討する方がよいでしょう。

 

日本の一般的な戸建て住宅の平均的な屋根面積はおよそ80~120㎡と言われています。

屋根のリフォームには主に再塗装、カバー工法、葺き替えがあり屋根面積を100㎡とした場合、塗装や工事費を含めた費用の目安は下記の通りです。

 

屋根の塗り直し

 

屋根及び軒天、破風塗装を行う場合、外壁と同じように洗浄や下地補修を行います。

塗装は3回塗りが基本です。

 

屋根の状態、使用する塗料の種類にもよりますが費用の目安は30万~60万円ほどです。

 

劣化しやすくメンテナンスがしにくい屋根は、耐候性や防水性を考慮して外壁よりもグレードの高い製品を検討した方がよいでしょう。

塗装価格を確認して予算の範囲内なら徐々に手の届く価格になってきたフッ素塗料や、遮熱・断熱塗料といった高機能性塗料で塗装した方が後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

 

カバー工法

 

カバー工法(重ね葺き)は既存の屋根の上から新しい屋根を重ね葺きする工法です。

葺き替えよりは低コストで手間もかかりません。

 

重ねて張ることにより重量がかさむので、お住まいへの負荷を考えカバー工法には通常、比較的軽量のガルバリウム鋼板などの金属系屋根材やスレート屋根が使われます。

 

費用はおよそ50~150万円です。

 

葺き替え(ふきかえ)

 

葺き替えは既存の屋根を撤去して新しい屋根材を設置する工法で、コストがかさみ工事期間も長くなります。

屋根材が瓦の場合、カバー工法はできないのでリフォームの方法は葺き替えとなります。

 

瓦は頑丈な昔ながらの屋根材で、独特の風合いがある意匠性の高さが魅力ですが他の屋根材と比べると費用の面ではコスト高となり、重量も重いので耐震性などにおいて懸念される方も多く近年では選ばれるお宅が少なくなっています。

 

屋根材によりかかる費用に差異がありますがおよそ100~250万円です。

 

まとめ

 

近年多発する異常気象の被害により、まだリフォームを考える築年数ではなかったのにもかかわらず補修せざるえない損傷を受けるケースが増えてきています。

 

まだきれいだからリフォームなんて先のことと思わずに、もし屋根や外壁を手直しするとなったらどうするのか、基本的な知識や対処方法について情報を収集しておいた方がいざという時に慌てずにすみます。

 

備えあればうれいなしです。

 

なかなか普段は気にすることがない、ご家庭でご加入されている火災保険や住宅総合保険の内容を確認して、どの範囲まで補償してもらえるのか、保険申請の手順はどうすれはいいのかなど事前に知っておいた方がよいでしょう。

 

地震や台風といった被害に備え、現状に即した内容に保険を変更することも検討してみてはいかがでしょうか。