- 「ペンキを塗るくらいなら自分でできそう」
- 「ホームセンターにDIY用の塗料がたくさん売っているし」
- 「何よりDIYの方が安く済むし」
そんな事を考えて、DIYで外壁塗装にチャレンジする方は多いです。
確かにホームセンターに行けばDIY用の塗料はたくさん売られていますし、インターネットで調べてみると、実際にDIYで外壁塗装をした方のブログなどがたくさん出てきます。
しかし、DIYで外壁塗装をするのはおすすめできません。
一部分だけ塗装が剥がれているなど、小さな箇所の塗装ならDIYでサッと直してしまうのも良いかと思いますが、家全体の外壁を塗り直すとなると、素人のDIYは危険なのです。
このページの目次
なぜDIYは危険?
「 外壁塗装=塗料を塗るだけ」だと思ったら大間違いです。
外壁塗装の役割は家の美観を向上させる事と、家を雨、風、紫外線などから守る事、そして水を進入させない事です。
では、なぜDIYは危険なのでしょうか?
塗りムラなどできれいに仕上がらない
塗料を塗るには、熟練した技が必要です。
素人が塗るとどうしても塗りムラが出てしまったり、塗り残しがあったりして、きれいに仕上げるのは非常に難しいのです。
気にしないという方なら良いのですが、万が一家を売却する事になった時に、売却額が下がってしまうのは確実です。
塗料が飛び散ってしまう危険がある
外壁塗装をする際は、飛散防止ネット(養生メッシュシート)を張る必要があります。
塗料の飛び散りを防ぐためのネットなのですが、DIYでこれを張っている人は多くありません。
しかし、塗装会社は外壁塗装工事をする際に必ずこのシートを張り、近所の方の車にまでシートをかける事もあります。
万が一シートを張らずに作業をして、近所の家や車に塗料が飛び散ってしまった場合は、もちろん修繕する代金を弁償しなければいけません。
とにかく時間がかかる
塗装会社に頼んで複数の職人さんが一日中作業をしたとしても、外壁塗装工事は約7~10日かかります。
DIYでやる場合は1日中作業できるわけではないので、数ヶ月かかってしまう事も少なくありません。
そうすると最初に塗装した部分と耐久性に差が出てしまいますし、長期間洗濯物が干せない状況になったり、窓が開けられなかったりと普段の生活に支障が出てしまいます。
外壁の寿命を縮めてしまう危険がある
一般的な外壁塗装の流れは、高圧洗浄→下地→下塗り→中塗り→上塗りという手順です。
専用の高圧洗浄機で、劣化した塗料の粉、苔、カビなど手作業では落としきれない汚れを丁寧に落とさなければいけません。
洗浄作業をすることのメリットは外壁の表面に残っている古い塗膜を取り除き、下塗り塗料と上塗り塗料の密着性を高めることです。
ゴミや汚れが付着したままだと、たとえ刷毛を使って丁寧な作業方法で塗ったとしても、塗装面の状態は悪く、耐久性もあまりよくなく長持ちしないのです。
家庭用高圧洗浄機を購入するという方法もあるものの、購入費用がかかります。
価格は、グレードの低いタイプだと1万円前後で購入できますが性能はあまりよくありません。
グレードが高いタイプのものを購入すれば、5万円程度と高額になり比較的機能もよくなります。
ただ、工事業者が使用するような業務用の高圧洗浄機と比較すると汚れの落ち方はよくないのです。
そもそも、家庭用高圧洗浄機は、外壁の塗替えのための洗浄用の目的だけに作られたものではありません。
一般的には、車の洗浄などがメインとして利用されることが多いでしょう。
その目的の違いから、洗浄業者が使用する業務用と比較すると満足のできるものとは言えないのです。
また、外壁塗装では下地を調整してから塗料を塗っていくことが重要です。
下地調整では小さな穴や壁の亀裂をきれいにならす必要があります。
表面の補修をするという下地処理は、優良な専門業者に依頼すれば必ずやってくれる作業工程です。
補修しなければならない箇所をそのままにした状態で塗装をすると、建物内部への雨漏りのリスクも高まります。
どちらも熟練した技が必要なので、素人のDIYでは塗り直しをしても、逆に外壁の寿命を縮めてしまう危険があるのです。
DIYにも足場は必須
外壁塗装に足場は必須です。
塗装業者に依頼すれば仮設足場を組んで安全面に配慮した状態で塗装を行ってくれるものです。
「足場屋に足場設置を頼めば専門の作業員が来るので人件費がかかる…」と工事費を気にする客のために、作業費を安くしようと「足場なし」工事を謳う業者も多いです。
しかし、足場なし工事はデメリットが多いです。
塗装工事を行う大工さんの安全性がまず確保されません。
そのため、落下してしまい最悪の場合は死亡事故もおきている事例さえあります。
足場用の鉄骨を組むことの重要さは、専門業者の場合だけ…?と思っている方も多いでしょうが実は違い、DIYでも同じことなのです。
1階建てなら足場は必要ないと思われる方も多いのですが、はしごでの作業は非常に危険ですし、落下事故にも繋がり非常に危険です。
高所作業が平気だからと、はしごを使わずに「塀」を利用して2階にあがるという方法も危険です。
場合によっては、DIYの塗り替えで起きた転落事故により死亡してしまう可能性を高めてしまうことも…。
よく脚立を利用する方も多いですが、安全対策がまったくなされていなく、かなりの注意が必要な塗装方法です。
外壁塗装費用を抑えようと自分でDIYをしたのに、ケガをして入院となってしまっては大変です。
また、DIY作業でもはしごが必要な理由はもうひとつ。
作業性が安定しないことから塗装の完成度があまりよくないこともあるからです。
足場を設置することでペンキの缶やブラシ、洗浄用のホース、洗浄道具など塗装に必要な道具を置くことができます。
このように、家庭でDIYをする場合でも足場の設置は重要です。
特に、屋根の塗装をする場合は必ず足場を使用してください。
(外壁と屋根の寿命はほとんど同じなので、外壁を塗り直す際には屋根も一緒に塗り直すのがおすすめです)。
ホームセンターなどにはDIYをする方向けの、自分で組む足場が売られていますが、高いですし、一度しか使用しないため購入するのはもったいないです。
保管するにも場所を取りますしね。
ですので、DIYの際には足場をレンタルするのが一番良いでしょう。
塗装会社には、足場を貸し出しているところがあるので、近所の塗装会社で足場レンタルをしているところを探して借りましょう。
DIYは意外とお金がかかる?
DIYを選択する大きな理由は節約でしょう。
しかし、実はDIYは以外とお金がかかるのです。
まず、塗料の平均相場は1階建ての家で約10~25万円です。
それに加えてローラーなどの工具、命綱、作業着なども購入しなければいけません。
そして足場のレンタルが200㎡で約10万円なので、DIYで外壁塗装工事をした場合、家の大きさにもよりますが約30~60万円かかってしまいます。
一方、塗装業者に依頼すると約50~100万円かかると言われています。
確かにDIYに比べると高いですが、危険性や仕上がり、後々修繕しないといけなくなった時の事などを考えると、保証もありますしプロの塗装会社に依頼するのがおすすめなのです。
では、自分でDIYするとかかってしまうものについてご紹介します。
足場の設置と養生が必要
前述しましたが、足場のレンタル費用は結構かかるものです。
足場の設置と同じくらい重要なのが「養生」です。
通常、塗料店に依頼すれば養生シートで周辺へのペンキの飛び散りを防いてくれます。
自分でDIYをしても、手抜き工事をするわけにはいきません。
養生をするのはとても大事な工程ですが、養生に必要な材料をそろえる費用がかかります。
業務用であれば塗料飛散防止カバーを準備してもらえますが、DIYでは、マスカーテープ、ガムテープ、ビニール、マスキングテープ、布などを使って養生していきます。
ただ、簡易なものを使うとテープがすぐに剥がれてきてしまうこともあります。
剥がれては貼り直しをしていくと逆に費用が高くつくこともあるので、しっかりとした品質のものを購入する必要があります。
また、外壁塗装と一緒に屋根の塗装を行うこともありますが、さらに高い場所となるため、足場以外でも安全性を高めるために安全フックや安全ベルトなどを準備すべきでしょう。
安全帯は、万が一の落下事故を防ぐ意味でも重要です。
ただ、普段高所作業に慣れていない人がいくら安全面に配慮したとしても、仕事がはかどらずにDIYの工事期間が長引いてしまうことを覚悟しておかなければならないといえます。
洗浄と下地処理に必要なもの
さきほどもお話しましたが、住宅のDIYだからといって塗装前の洗浄という大事な工程を怠ると最終的にDIYが失敗に結びつきます。
塗替えが必要な外壁というのは、長年の汚れがこびりついているものです。
また、塗膜自体が長い間に粉状に変化していくので、適切な洗浄方法で洗い流してから塗ることが大事です。
そのまま塗っていっても耐用年数が短くなるだけです。
そのため、家庭用の高圧洗浄機を購入したとしても、外壁全体を洗浄するには、洗浄機用ホースが必要になります。
住宅の外にある水道栓から、一番遠い外壁まで届くくらいのホースを購入しなければなりません。
また、洗浄後は下地を調整していく必要があります。
特に、サイディングの目地のコーキングが傷んでいると、後から室内への雨漏りの侵入のリスクも高まるので、シーリング材を使ってコーキングしなおすことが大切です。
建物の寿命を高める意味もあるので、おろそかにしたくないポイントです。
家庭用塗料と業務用塗料は違う!?
DIYの注意点として、専門業者に依頼する時のように、「下塗り・中塗り・上塗り」という三度塗りをすべきということがあります。
そこで重要なのが塗料選びです。
塗料選択の順序としては、初めに仕上げ塗料である上塗り用塗料を決めることが先決です。
下塗り用と仕上げ塗り用の塗料には相性があるので、先に仕上げ塗り用の塗料を選んでおけば、それに合った下塗り用塗料が分かります、塗料製造メーカーのホームページなどで確認するといいですね。
一般的には、DIY用の塗料は塗料屋でなくてもホームセンターから購入することができます。
いろいろと種類はありますが、それぞれに特色があり、耐用年数が異なるので慎重に検討していくことをオススメします。
また、塗料専門店から入手するとさらに性能の良い塗装を行うことができます。
ただ、DIYのために販売されている家庭用塗料は、どうしても塗料店で売っている業務用のものより性能が劣ってしまいます。
耐久性が短いということは、事前に理解しておくことが大事です。
また、ホームセンターなどで入手できる家庭用塗料は、塗装作業に慣れていないような素人が安心して塗ることができるように、安全性が高い水性塗料が主流であることが多いです。
しかし、外壁塗装では油性塗料でしっかり塗りたいこともあるのではないでしょうか。
油性の有機溶剤塗料は、ニオイなどで体への影響もあり素人が扱うことは難しいです。
有機溶剤といった溶剤系の塗料を扱うためには厚生労働省から認可された国家資格を持つ塗装業者に任せることが大切です。
業務用塗料は、シリコン系塗料、ウレタン塗料、油性塗料、水性系塗料、無機塗料、断熱塗料、熱塗料、防水塗料、さび止め塗料、防カビ塗料など、さまざまな性能に応じた効果のある種類が多々あります。
DIYではどうしても塗装に限界があることは認識しておく必要があるかもしれません。
専門業者に依頼すれば費用はかかるものの、DIYよりは満足度が高くなるのです。
また、塗料を塗るためには水性用の刷毛を使うといですが、オートローラーという電動のローラーもあります。
電動なので、広範囲の塗装の場合は、オートローラー用ロングホースも必要になります。
DIYより専門業者がオススメ
外壁塗装は専門業者やリフォーム業者に依頼すると高額な料金がかかることで、DIYをしようと考える方も多いでしょう。
費用を抑えるという点で選んだものの、実は結構な費用がかかってしまうことが分かっていただけましたでしょうか。
それに、結構高額な費用をかけたとしても不慣れなことから色ムラができて仕上がりが今一つ…ということもあります。
また、家庭用塗料は一般の人が安全に塗ることができるように安全面だけを重視した種類のものしか購入ができません。
そのため、どうしても業務用のものと比較すると性能が落ちてしまうことは知っておく必要があります。
自分でDIYするなら、このように「塗装工事」に対しての知識をつけることが重要です。
そして、その知識を理解した上でDIYするかどうかを考えることをオススメします。
「住宅の一部分のみ」「一面だけ」「物置小屋の塗装」などは、足場がいらないケースも多いので、DIYでの塗装も比較的楽かもしれません。
しかし、住宅全体、そして屋根塗装も行う場合には、やはり安全管理を重視して業者に依頼することをオススメします。
専門業者に依頼すると費用が心配という人もいるでしょうが、基本的には見積もりは無料でしてもらえます。