外壁塗装工事では、外壁に問題があれば補修を行うことで、その後に塗る塗料の効果を最大限発揮でき、外的要因によっておこる家に対するダメージを低減できるメリットもあります。

今回は、外壁のひび割れがもたらす問題点、ひび割れの補修法、ひび割れ補修を専門業者に依頼する際の注意点などを徹底解説します。

■外壁のひび割れも外壁塗装工事で補修できる

外壁の収縮作用や劣化などの何らかの原因によって、外壁にひび割れ(クラック)が発生する場合がありますが、このひび割れを残した状態で外壁塗装をしても施工不良が起こるため、下地調整の段階で下地補修を行なうのが一般的です。

つまり、外壁塗装工事を行なえば、そのついでに外壁のひび割れも合わせて補修できるのです。

ここでは、ひび割れ補修を行なう理由、外壁塗装工事の中でひび割れ補修を行なう作業工程について、詳しく解説しましょう。

1.ひび割れを残したまま塗装しても施工不良が起きる

外壁塗装は、いきなり塗料を塗るわけではなく、入念な事前準備を必要とし、足場設置や養生、飛散防止シートや高圧洗浄作業やなど、作業効率を上げるためや安全性を高めるために、塗料を塗る前に数日かけて事前準備が行なわれます。

入念な事前準備の中でも、特に「外壁に付着している異物の除去」は、工事品質を大きく左右する重要な作業工程です。

例えば、ホコリや泥が残った状態で塗装をしても、ホコリや泥が残った施工箇所の塗料は密着性に劣るため、塗膜にムラができてしまいますが、このムラができてしまうと、塗料の効果にもムラができるだけでなく、見た目も美しくありません。

また、古い塗膜やサビが残った状態で塗装をすると、古い塗膜やサビごと新しい塗膜が覆ってしまい、新しい塗膜内でもサビがさらに進行し、その結果、古い塗膜もろとも新しい塗膜まで剥がれ落ちてしまい、せっかく塗った塗装も台無しです。

ホコリや泥、古い塗膜やサビと同様、ひび割れも塗装作業の上では異物の一種と捉えることができますので、入念な準備によって除去することが必要です。

仮にひび割れが残った状態で塗装をすると、ひび割れ内部に空気がたまり、それが原因で塗膜に気泡が生じたり、割れ目に沿って塗膜も割れたりするなどの施工不良が起こる可能性があります。

●ひび割れ誘発目地

ちなみに、ひび割れが不可避なコンクリート材の場合、「ひび割れ誘発目地」を設定することがあります。

予期しない場所や作業しにくい場所コンクリート材がひび割れを起こすと、発見しにくいだけでなく作業しにくいため、ひび割れがさらに広がります。

ひび割れ誘発目地は、あえて事前にミシン線のような目地を入れておき、その目地部分からひび割れを起こすように誘発することで、ひび割れを比較的容易に制御することができ、補修も容易になります。

2.ひび割れの補修は「下地調整」の工程で行われる

業者によって多少順番は異なるものの、外壁塗装の作業工程は、

  1. 足場設置
  2. 高圧洗浄作業
  3. 下地調整
  4. 養生
  5. 下塗り
  6. 中塗り・上塗り

といった順番で行うのが一般的です。

この中で、ひび割れの補修工事を行なうとすれば、「3.下地調整」の工程でしょう。

下地処理が外壁塗装の成否を左右するといっても過言ではなく、手抜き工事で下地補修がいい加減だと、完全に補修しきれずひび割れを完全に除去できません。

せっかく断熱塗料やフッ素塗料などの耐用年数が長い高級塗料を使っても、ひび割れなどの異物が残った状態では塗りムラが生じるばかりか、すぐに塗料が剥がれ落ちてしまうのです。

●ひび割れの補修は下地調整の「下地補修」で行なう

外壁塗装の出来栄えを左右する下地調整はさらに、

  • ケレン作業
  • コーキング材補修
  • 下地補修

に分かれますが、この作業の中でひび割れや壁材の剥離などを直すのは、「下地補修」です。

「ケレン作業」は、高圧洗浄機で落とし切れなかったホコリや泥、古い塗膜やサビを、ヤスリや化学薬品などで除去するとともに、わざと壁材や屋根材に傷をつけて凹凸を作り出すことで、塗料の密着性を上げる効果があります。

「コーキング材(シーリング材)補修」は、窓枠やサイディングボードの接続部分にある古いコーキング材(クッションのような役割をする目地材)をはがし、新しいコーキング材を打ち込む施工方法です。

コーキング材は、いわばクッションやパッキンのような役割を果たしています。

サイディングボードの収縮を一定程度吸収することで、サイディングボード本体へのひび割れを防ぎ、窓枠に施されたコーキング材には、雨水の浸入を防ぐ役割もあります。

シーリング材が劣化していると、シーリング材が収縮の衝撃を十分に吸収できないためシーリング目地部分からひび割れが発生し、パッキンの役割も低下することから雨水侵入の原因ともなります。

非常に重要な作業ですが、悪徳業者や訪問業者は、この項目を記載しない(あるいは他の項目とまとめて『一式』と記載する)場合が多いので、下地調整をしっかりやってくれるかどうかわかりません。

見積書に「下地調整代」「シーリング充填費用」などの項目があるかを確認しておくのが、施工業者選びの重要なポイントです。

■外壁のひび割れを放置してはいけない理由

外壁にヒビ割れが見つかったら、そのまま放置せずにすぐに補修を行ないましょう。

ひび割れを放置しておくと、以下のようなダメージが建物に発生するからです。

1.割れから雨水が外壁内部に入り込んでしまう

ひび割れを放置しておくと、その部分から雨水が入り込み、以下のような経年劣化症状を加速させてしまいます。

●建物の耐久性低下

クラック部分から雨水が長期間入り込むと、外壁下地材やその下の断熱材が腐食してしまい、さらにその下の柱や基礎部分にまで雨水による腐食が進行してしまいます。

雨水を好むカビや白アリ(木造住宅)、金属のサビや腐食(鉄骨造住宅)によって家の耐久性は大きく落ちてしまうのです。

コンクリート外壁の場合は、コンクリート内部の鉄骨がさびることで膨張し、表面のコンクリートを押し出す「爆裂」などの症状が起きます。

コンクリート内の鉄骨がさびてしまうと、一度コンクリートをはがしてから鉄骨の錆を落とさなければならないため、そうなる前の対策が必要です。

●室内への雨漏り

雨水は屋根だけでなく、ひび割れた外壁からも浸入します。

外壁から浸入した雨水は、壁や天井、床に伝わり、長期間雨水の浸入を許すと壁や天井のクロスが黒く変色するばかりか、電化製品にダメージを与える可能性もあるのです。

さらに雨漏りが進行すると、天井などから滴がぽたぽたと垂れ落ちます。

2.害虫や菌をおびき寄せてしまう

先ほども少し説明しましたが、雨水は害虫や菌が繁殖する温床となり、特に、湿気を好むシロアリやカビなどが発生します。

シロアリは木造住宅の基礎などに深刻なダメージを与え、耐久性がさらに低下してしまうのです。

カビ菌などが繁殖すると、カビ臭や住人のアレルギー症状にもつながります。

3.ひび割れのDIY補修は危険

ひび割れはすぐにでも直したいものですが、かといってお金が無い人は、最近はやりのDIYで補修をしようと考えるかもしれません。

しかし、素人のDIY補修はおすすめしません。

素人の応急処置として、チョーク式セメントチョーク(チョーク型のセメントをひび割れ部分に塗りこむ)が挙げられますが、体力が必要でクラック補修部分だけが目立ちがちで美観を損ないます。

ひび割れの補修は適切な材料と施工方法で行う必要があり、誤った対処法はひび割れの再発率も高くしてしまうのです。

●まずは専門業者に相談しよう

そのためにも、まずは専門業者に相談して無料診断を受けてください。

担当者が現場に駆け付けて、ひび割れの原因が

  • 構造材の歪み
  • 地盤地下
  • 前の塗装の施工不良

のどれかを適切に見抜いてもらうことができます。

ひび割れの原因を適切に見抜けない素人のDIYとは、ここが大きく異なる点です。

さらに、写真など施工例を提示しながらどんなリフォームが必要かまで教えてくれます。

●工事保証内容・リフォーム瑕疵保険を契約前にチェック

現在の住宅の購入・塗替え・外装リフォームなどを行なった場合、塗装業者やリフォーム会社、建築業者から「○年メーカー保証」「○年自社保証」などの保証書は受け取っていないでしょうか?

もし有効期限前の保証書があれば、保証書を発行した会社が補修をしてくれる可能性が高いですし、有料の「リフォーム瑕疵保険」に加入していれば、リフォーム工事費用を保険から賄うことができますので、保険証券などを契約前に確認しておきましょう。

■外壁に起きるひび割れの種類と補修方法

外壁に起きるひび割れには「ヘアークラック」「構造クラック」の2種類があり、種類によってクラック補修の方法も異なります。

2種類のクラックの特徴とともに、補修方法も解説しましょう。

1.ヘアークラック

「ヘアークラック」は、外壁表面で生じているひび割れで、髪の毛のようにひび割れの幅が細いことが由来です。

ひび割れは外壁本体まで達しておらず、シリコン系塗料、ウレタン系塗料などの中塗り・上塗り塗料の塗膜がひび割れているだけですので、建物へのリスクは大きくありません。

しかし、放置しておくと美観を損ないますので、補修をした方が賢明です。

また、前回の塗装の際、手抜き業者による施工不良が原因の可能性もあるため、前回塗装を実施した業者に早めにアフター点検を依頼するといいでしょう。

アフター点検で施工不良が原因と判断されれば、先ほど説明した自社保証やメーカー保証で対応できます。

●ヘアークラックの補修方法

ヘアークラックは、下塗り材として塗料メーカーから販売されている「微弾性フィラー」などの弾性塗料で下塗りするだけで、補修が完了します。

微弾性フィラーはもともと、収縮しやすい壁材などに塗ってひび割れを防ぐ目的の塗料ですが、簡単な補修ならばこれだけでOKと言うメリットもあります。

特別な補修材料や下地調整での補修作業は必要ありませんので、その分費用が上乗せされることもありません。

2.構造クラック

幅0.3ミリ以上のひび割れを「構造クラック」と呼び、構造部分の歪みや地盤の不同沈下など、建物の構造体そのものに原因がある可能性が高いです。

ヘアークラックよりも構造クラックの方が症状は深刻で、ひび割れが塗膜にとどまらず外壁材本体に達している可能性もあり、建物内部への水漏れの可能性も高いため、専門業者にクラック部分補修を依頼して、原因究明とともに補修をおススメします。

●構造クラックの補修方法

構造クラックの幅によって、補修方法も異なります。

幅0.3~0.7ミリ程度であれば、接着剤でも使われているエポキシ樹脂を構造クラック部分に注入する「シール工法」だけで補修は完了し、補修費用も1平方メートル当たり1,000円~2,000円程度と割安です。

しかし、ひび割れの幅が0.7ミリ以上の場合、エポキシ樹脂をクラックに注入しても割れ目の奥まで入り込まない可能性がありますので、この場合は「Vカット補修」(Uカット補修の場合も)を行ないます。

Vカット補修は、クラックに沿ってV字の溝を作っておき、シーリング材やモルタルと接着剤を混ぜたものを溝に埋めて接着し、最後に化粧モルタルを塗って仕上げる補修方法です。

ひび割れしやすい防水モルタル壁などに使用される工法で、価格は1平方メートル当たり2,000円~5,000円程度です。

Vカット補修は「削る→接着剤の調合→塗る」と作業工程が増えて費用がかさむため、遅くともシール工法程度で食い止めたいものです。

ひび割れを見つけ次第早めにシール工法で対処すれば、費用を安く抑えられます。

■おわりに

外壁のひび割れを放置したまま塗り替えをしても、塗りムラなどの施工不良が起こります。ひび割れを放置しておくと、雨水が建物内部に入り込み建物の耐久性を低下させるだけでなく、害虫や菌の温床となりますので、補修をおススメします。

かといってDIY補修はおススメできないので、専門業者に診断をしてもらった上で、外壁塗装の下地調整の段階でひび割れを補修してもらいましょう。

クラックの種類によって、弾性塗料の塗布やクラック部分カットなどの補修方法があります。

契約前には見積書に「下地調整代」などの項目があるかを確認し、ない場合には詳細に記載するようにお願いしましょう。

また、依頼する前にはリフォーム瑕疵担保責任保険や保証の適用を受けられるか確認しておくことも重要です。

もし保険や保証の適用を受けられれば、補修代は無料もしくは大幅に安く済ませられます。