外壁塗装リフォームを行う時には、高圧洗浄という下地洗浄作業を行います。

この作業は地味ですがとても大切な作業となりますので、少し詳しく確認してみましょう。

■高圧洗浄の効果と重要性

 

高圧洗浄作業は最終的な仕上がりに影響を及ぼすとても大切な作業です。

その効果と重要性について見ていきましょう。

1.汚れの除去

リフォーム塗装を行う前の外壁には、さまざまな汚れが付着しています。

土やほこり、排ガスなどの大気中の汚れが付着している場合や、コケやカビなどが壁に繁殖してしまって汚れている場合などがあります。

この汚れを除去するのが高圧洗浄作業の目的です。

 

2.塗料の密着性を高める

汚れが残ったまま塗装を行うと、下地と塗膜との間に汚れなどの不純物がはさまってしまい密着性の低下につながり、最終的には塗膜の剥がれや膨れなどの施工不良の原因となってしまします。

そのため、高圧洗浄の作業は外壁や屋根の塗装を行う際にはとても重要な前準備の作業です。

 

■高圧洗浄の手順

高圧洗浄を行う際の手順を確認していきたいと思います。

高圧洗浄の工程では洗浄を行うだけでなく、養生作業をはじめとする関連作業が必要となりますので、その手順と内容を確認していきます。

 

1.養生

高圧洗浄は高圧で水洗いを行う作業ですので、当然のことながら洗浄に使用する水が飛び散りますので、ご近所に飛び散らないように足場周りに飛散防止ネットを張る作業や、屋外に置いてある家具などをビニールやシートなどで覆うなどの養生作業を行います。

 

2.劣化箇所の補修

高圧洗浄は非常に高い水圧で洗浄するため、下地が傷んでいると破損してう恐れがあります。

どのような、劣化の種類や高圧洗浄による破損があるのか確認してみたいと思います。

 

●劣化したモルタルやコンクリート

モルタルやコンクリート下地に高圧洗浄を行う場合、劣化しているとはがれ、欠け、などの破損を引き起こす場合があります。

また、劣化部分から高圧洗浄の水が外壁・屋根内部に浸水する危険性があるので、事前に修理しておく必要があります。

 

●劣化したコーキング

サイディングボードのジョイントや窓回りの目地に防水材として使用されているのがコーキングですが、高圧洗浄を行う際に、このコーキングが劣化していると、このコーキングが剥れてそこから浸水する危険性があるので注意が必要です。

劣化している部分は事前に打替えなどの作業が必要です。

費用の相場は、打替えで1000円/m程度、上から増打ちができる場合で600円/m程度です。

 

3.高圧洗浄作業

高圧洗浄作業は塗替えを行う前には必ず必要な作業ですので、外壁や屋根など塗装を行う部分に行います。

また、フェンス、カーポート、玄関タイルやバルコニー、その他エクステリア部材などにも行うときれいになります。

業者によっては一緒に行ってくれる業者さんもいますし、逆に破損などのリスクにより、断る業者もいます。

作業自体は通常一般的な戸建て住宅の場合一棟あたり1日で完了します。

 

4.乾燥

高圧洗浄は当然のことながら水を使用しますので、その後の乾燥もとても重要です。

湿ったまま、塗装を行うと下地と塗膜との間の水分が密着性の低下の原因となったり、塗料が薄まったりして、捲れや膨れ、耐久性の低下などの施工不良の原因となりますので、最低でも2~3日は乾燥期間を設けたいところです。

もし、濡れたままで作業しようとする業者の場合には注意が必要です。

 

5.手作業で汚れを落とす

高圧洗浄はとても有効な汚れ落としの作業ですが、この作業だけですべて落せる訳ではありません。

狭いところや、高圧洗浄で落としきれない汚れや、鉄部の錆や、古い塗膜などはブラシなどの工具でこすったりする手作業が必要です。

 

■高圧洗浄には2つの種類がある

従来高圧洗浄というのは、水で洗浄するのが一般的でしたが、最近ではバイオ高圧洗浄といって薬液を使用する方法がみられるようになってきました。

その違いなどを確認してみたいと思います。

 

1.通常の高圧洗浄

水で行う高圧洗浄の場合、費用は相場は、約100~300円/㎡程度ですので、一般的な戸建て住宅一棟の場合、約20,000~35,000円程度です。

もし、単価が500円/㎡以上の場合などは相場よりも料金が上乗せされていることが考えられますので注意してください。

 

2.バイオ高圧洗浄

バイオ高圧洗浄と一般的な高圧洗浄の差は、洗浄するのに薬を使用するか、水を使用するかの差です。

バイオ高圧洗浄に使用される薬液は、根を張ったカビやコケ類などの除去に有効であるとされていますが見方を変えると、カビやコケなどが生えていない場合には意味がありません、また他の錆などの汚れの除去に関しては、普通の水との違いははありません。

費用相場は約200~400円/㎡程度ですので、費用がとてつもなく跳ね上がる訳ではありません。

ただし費用があまり変わらないからと安易に選択するのではなく、自敷地内の植木や芝生が枯れたり、同様にご近所へ影響を及ばす恐れがありますので、採用される際には、注意や配慮が必要となります。

 

■高圧洗浄の注意点

高圧洗浄を行う際の注意点や大切なポイントを確認していきたいと思います。

 

1.悪徳業者の手口

高圧洗浄の作業はほとんどが足場の上での作業となりますので、作業自体の確認が難しいのを良いことに、作業をちゃんと行わなかったり、高圧洗浄にによって劣化部分が出てきたなどの理由をつけて高額な追加料金を請求する手口があります。

足場に上がって確認したり、上がる気がある意思表示をして、騙されないようにしましょう。

 

●乾燥時間を短縮しようとする

前段にも書きましたが、とにかく高圧洗浄を行った後は乾燥が大切です。

いろいろと理由をつけても、局部的には機器による強制乾燥も可能ですが、基本は自然乾燥ですので、必ず2~3日の乾燥期間は必要です。

良く分らない理屈を付けてすぐに塗装作業に入って後期の短縮を図ろうとする業者には注意が必要です。

 

●時間をかけて高圧洗浄を行わない

高圧洗浄作業は1日で終わる作業ですが、言い換えると1日はかかる作業です。

高圧の水で汚れを洗い落とした後に、落としきれなかった汚れをブラシなどで落とさなけなりません。

特に窓回りやバルコニー、手すり部分などの細かいところや錆などは手作業でなければ落としきれませんので、適当に作業を終わらせようとする業者には注意してください。

 

●「下地調整一式」として割高な費用を請求する

リフォームの見積もり項目として高圧洗浄作業は下地調整作業の一貫として計上される場合がありますが、この場合だと、高圧洗浄がいくらで、下地補修の金額が曖昧ではっきりしないため、相場以上の費用を上乗せされている場合があります。

一緒に計上されている場合は別々に計上してもらい相場価格との比較を行うようにしましょう。

 

●家庭用の威力の弱い機械を使う

コンプレッサーと呼ばれる機械を使い圧力を上げて水を噴射して汚れを流し落とすわけですが、このコンプレッサーには家庭用と業務用があります。

家庭用は、基本的に電気式で、水圧が8~12MPa(メガパスカル)程度で、

業務用は、エンジン式で、水圧が14~16MPa程度と威力が全然違います。

家庭用は簡単に手で持ち運べるような小型の物がほとんどで、業務用はエンジン式で重たく、音も、とても大きいのでちゃんと業務用をしようしているか確認してください。

 

2.水道代は家主負担

高圧洗浄に使用する水は通常は施主(家主)支給となり。

水道の費用(数千円程度)は家主の負担となります。

 

3.騒音があることを近隣に伝えておく

塗装工事といってもさまざまな騒音が発生します。

例えば、前段で記載しました高圧洗浄のコンプレッサーのエンジン音や搬入、搬出時の車両の騒音、作業員の掛け声などがあります。

塗装工事だと騒音があまりしないと思われていることが多く、突然の騒音はご近所への迷惑となり、トラブルの元となりますので、ご近所へのあいさつ回りなどで周知が必要です。

また、業者によってはコンプレッサーなどのエンジン機器を静穏タイプの物を使用してくれる場合もありますので、確認すると良いでしょう。

 

■まとめ

高圧洗浄工事はかかる日数も短く、費用も高額ではないため、軽視されがちですが、後々

の仕上りを左右するとても大切な工程ですので、ご紹介してきました注意点に気を付けていただき、業者選定や発注、工事の進行にお役立てください。