依頼主が専門知識を持たないことをいいことに、適当な外壁塗装工事を行う悪質な業者は確かに存在します。
そうした業者に騙されないためには、依頼する側も業者の質を見極めるポイントを知っておくべきでしょう。
信頼できる業者かどうかは
- 見積り内容
- 工事着工から工事完了までの各工程での作業の様子
- アフター保証に関する部分
などをチェックすればおおよそ分かります。
各々のどのような点をチェックすべきか、一緒に見ていきましょう。
このページの目次
■見積もりが明瞭でわかりやすい
見積もりには相手がどのような業者であるかを見極めるための大切な情報が詰まっており、業者が提示する見積書を見れば、その業者が依頼主の立場になって考えてくれるかどうか、また、利益優先で動いていないかなどを知ることができます。
見積書は、双方の認識が食い違っていないかを確認するための大切な書類ですから、しっかりとした業者ならどの作業にどのくらいの代金がかかるのかが明瞭に分かるように、各工程や資材の詳細についてきちんと記載してくれるはずです。
依頼する側はどうしても見積もりの金額に目が行きがちですが、工事費用の合計金額だけを見て即決、などということは絶対にせず、見積もりの工事内容に不明点がないかどうかしっかり確認することが重要です。
できれば、見積もりの前に住宅のどの部分にどのようなメンテナンスが必要かをあらかじめ調査してもらい、「調査診断書」や「仕様書」などの書類を作成してもらうとよいでしょう。
私たちが体調を崩した時には、まず必ず病院で診察や検査や受け、その診断に沿って薬を処方してもらったり治療を受けたりしますが、それと似たようなものですね。
「調査診断書」や「仕様書」などを作成してもらうことで、住まいが現在抱えている問題点が可視化されれば、どのようなメンテナンスを行うべきかが依頼主にも分かりやすくなりますし、後になってから追加の補修や工事が必要になるといったことを防ぐこともできます。
1. 一式やその他といった曖昧な表記をしない
見積もりには「このように表示しなければならない」といった決まりがありません。
そのため、業者によって見積もりの表示は様々です。
ただ、外壁塗装は足場代や塗装代、その他職人の人件費といった様々な要素が組み合わさって総費用が決まるわけですから、本来その一つ一つについて細かい内訳を示すことは当たり前のことでしょう。
ところが、その詳細な内訳を提示せずに「一式」や「その他」などの概算価格でひとくくりにしてしまうような業者がいるのも事実です。
「一式」や「その他」といった表記では、どの部分にどのような資材をどのくらい使用するのか、また、それらの費用がいくらくらいかかるのかさっぱりわかりませんよね。
確かに、廃材の処理などのように施工単位で単価が決まっていないような工程やごく少量の単位、また数量が不特定なものに対しては見積もりを「一式」と記載することがありますが、それ以外、特に塗装の施工全般に関してはmや㎡で記載されるべきものであると理解しておいてください。
肝心な所があいまいに誤魔化されている見積もりには注意しなければなりません。
もしきちんと内訳が表示されなければならないような箇所において「一式」や「その他」など一括形式による金額提示がある場合には、必ず詳細を記載し直した見積もりを再作成してもらいましょう。
2.塗料の商品名やメーカー名も記載している
外壁塗装用の塗料は主に、
- アクリル塗料
- ウレタン塗料
- シリコン塗料
- フッ素塗料
の4段階のグレードに分かれます。
これに加えて近年はラジカル塗料も急速に普及してきており、選択するグレードによって塗料の耐久性や価格は全く異なります。
また、同じグレードであってもメーカーや商品は実に様々で、当然ながらそれぞれ性能や価格が異なります。
ですから、見積もりに塗料のメーカー名と商品名がきちんと記載されているかを確認してください。
塗料のメーカー名や商品名がわかれば、
- その塗料がどのような性能を持っているのか
- 仕上がりの質感がどのようになるのか
- 依頼主の要望に沿った塗料かどうか
- 提示された価格が適正価格であるか
等をメーカーのホームぺージなどで調べることができますが、しっかりした業者なら依頼主の要望に従って、
- どのような塗料あるか
- 各々の塗料がどのような特徴を持っているか
- 今回はどの塗料を使用するのが最適なのか
について細かな説明をしてくれるはずです。
これからも住み続ける大切な家をどのようにメンテナンスしたいかという要望を伝えたときに、依頼主にも分かりやすい明瞭な見積もりを提示してくれる業者を選びたいですね。
■基本の工程をしっかり守る
外壁塗装の工程はどれひとつとってもおろそかにすることができないものばかりです。
工程を省いたり、手抜きをしたりすれば短期間で塗膜がはがれてしまうなどの不具合が生じてしまいかねません。
手抜き工事をする業者にダマされないためには、契約したからといって何もかも業者に丸投げしてしまわず、依頼者自身も基本の工程においてどのような作業をするのかということを把握しておくことが大切です。
1.外壁塗装には必ず行う基本の工程が存在する
外壁塗装とは、ただ単に壁に塗料を塗るだけがすべてではありません。
- 塗装前の外壁表面を補修・調整する
- 作業をスムーズに行うために足場を組む
- 塗料が周囲に飛散しないように養生をする
といった、外壁塗装に付随する一つ一つの工程は、次の工程をスムーズに進めるためのベースになっています。
そのため、ひとつでも工程を省いたり手抜きをしたりするとそれが施工不良を招く原因になってしまうのです。
工事の性質上、業者が具体的にどのような作業をしているのか依頼主が気づきにくい場合もあり、なかにはそれを分かったうえで工程を簡略に済ましてしまう業者もいますので、どの工程が、どのように何日間行われるか知っておくことも重要だといえるでしょう。
2.必ず行われる基本の工程
以下に紹介するのは、どの外壁塗装業者でも、どの家でも必ず行われる基本の工程ですのでぜひ覚えておいてください。
これら一つ一つの工程に充分な時間をかけなかったり、省いたりする業者は要注意です。
一般的に外壁塗装の工期は、10~14日間が目安といわれていますが、途中で雨が降るなどすればさらに時間がかかることも知っておきましょう。
●足場の設置
期間:1日
これから始まる工事を安全に行うために足場が必要です。
一般的な足場1㎡当たりの単価は600円~850円程度で、30坪の家なら10万円から5万円くらいはかかります。
このように、足場費用は決して安いとはいえないですが、作業員の安全性を確保し、作業効率を上げるためには足場は欠かせません。
なかには簡易な足場を設置しただけで作業を行う業者もいますが、足場がしっかり組まれていなければ作業員が隅々まで丁寧な塗装を施すことができません。
また、相場価格と比べてあまりにも安い金額を提示してくる業者は施工の品質よりも契約を取ることを目的としていると思われますので充分注意すべきでしょう。
●高圧洗浄
期間:作業に1日、乾燥に1日~2日
外壁表面の汚れを取り、塗料をきれいに塗れるようにする作業が行われます。
高圧洗浄は、外壁についた汚れや古い塗膜などを落とし新しい塗膜をしっかり定着させるための作業ですから、この工程をいい加減にしてしまうと塗膜が定着せず、劣化スピードが早まってしまいます。
丁寧な洗浄をしようと思えば丸一日はかかります。
あまりにも作業が早く終了してしまうようだと付着していた汚れがきちんと落とし切れていないかもしれませんので、丁寧に洗浄してくれるよう伝えましょう。
また、高圧洗浄後は、充分に乾燥させるため丸1日時間をあけます。
完全に乾燥させてからでないと塗料が水分を含んでしまい、施工不良を起こしてしまうからです。
悪質な業者は中途半端に洗浄を済ませ、濡れたまま塗装しようとしますが、それでは塗膜が外壁に密着しませんので充分な注意が必要です。
洗浄と乾燥の両方に充分な時間をかける業者なら優良業者だといえるでしょう。
●下地調整
期間:1日~2日
高圧洗浄でも取り除けなかった汚れやさびなどを除去し、外壁の劣化した部分、例えばひび割れ(クラック)や傷んだコーキングを補修します。
下地処理を行うことで、壁や屋根はようやく塗料を塗れる状態になりますが、この処理を丁寧に行わなければ塗料の効果を最大限に発揮することができません。
下地処理を適当に済ませてしまうと、やはり塗料が壁に密着せずひび割れや剥がれを誘発してしまいます。
●養生
養生とは、
- 塗装しない箇所
- エクステリア
- 車
- 隣家
などに塗料が付着したり飛び散ったりしないようにマスキングやシートでカバーする作業です。
丁寧に養生を行おうと思うと手間も費用もかかります。
これを嫌ってカンタンに済ませようとする業者もいますが、養生がいい加減だと仕上がりがきれいになりませんし、塗り残しが出る場合もあります。
付着してはいけないところに塗料が飛び散ってしまっては大変ですから、
- 窓際の養生テープがまっすぐに貼られているか
- ビニールシートに破れがないか
- エアコンの室外機の排気・吸入口はシッカリ開けてあるか
などをチェックしてみるとよいでしょう。
●塗料の3回塗り
外壁塗装は、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが原則です。
- 下塗り…下塗り塗料が使用され、外壁と塗料を接着させ、なおかつ塗料が外壁に染み込むのを防ぐ役割を果たします。
- 中塗り、上塗り…上塗り塗料を使用します。2度重ね塗りすることで塗り残しを防ぎ、塗料の性能と仕上がりの美しさが強化されます。
塗料メーカーは3度塗りを想定して塗料を開発していますので、塗る回数が2回以下に減るということは基本的に考えられません。
しかし、外からは見えない部分だからと下塗りや中塗りを省く業者がいることも事実です。
想定された回数の塗り作業をこなしていないのですから、当然そのような外壁では、数年も経たないうちに劣化が見られるようになってしまうでしょう。
また、残念なことですが、塗料代を浮かすために塗料を薄くして使用する業者、塗装中に雨が降っても工事を中止しない業者もあります。
規定の希釈率以上に薄めた塗料を使用すれば少ない塗料で広い面積を塗れますし、塗料の粘度が低くなるので塗りやすくなり作業効率も上がりますが、そのような外壁の耐久性はかなり弱く、数年で劣化してしまうでしょう。
そして、塗装中に雨が降ったら、塗膜に不具合が生じる可能性が高いため工事は中止するのが基本です。
雨が降っているにもかかわらず塗装を続行する業者は、仕事の仕上がりより時間を優先しているといえます。
雨が降り始めたらすぐに工事を中止してもらいましょう。
■アフター保証を確実に行ってくれる
外壁塗装は工事自体が重要なのはもちろんですが、工事が終了した後のアフターサービス、つまり定期点検なども非常に重要です。
工事後の保証が充実していて定期的に必ず点検を行ってくれる業者、保証期間内に適切なメンテナンスを行ってくれる業者なら信頼できる業者だといえるでしょう。
1.塗装工事後のメンテナンスも重要
外壁塗装は塗装後の保証が非常に大切です。
施工後には
- 塗装にムラがある、塗り忘れがある
- 塗料がついてはいけない場所に塗料がついている
- イメージしていた色と違う
など、塗装業者でも予測がつかない施工不良が起きることがありますし、予想していたよりかなり早く劣化が起きるケースが見られることもあるからです。
ただ、塗装業者が発行する工事保証の内容には、これが含まれていなければならないという決まりが特にはありません。
保証がついているから安心だと思っていても、業者に都合のよい内容で作られているものもありますから、以下の内容が保証内容に必ず盛り込まれていることを確認してください。
- 保証期間
- 保証の範囲
- 保証条件
- アフター点検の頻度
外壁塗装のメンテナンスはおよそ10年ごとにするのが理想的だといわれますので、20年間、30年間という長期間の保証はしないのが普通です。
使用した塗料や施工内容によって違いはありますが、5年から10年間の保証がついていれば安心でしょう。
また、どこまでが保証の範囲か明記されていることも重要です。
塗装をした箇所のみなのかそれ以外の箇所にも対応してくれるのか、外壁の色の変化は保証対象なのか対象外であるのかなど、細かい点まで説明してくれる業者なら信頼できますね。
さらに、施工不良が起きたときのみ対応してくれるのか、または施主の不注意によるものにも対応してもらえるのか、保証の条件がどうなっているかもしっかり確認しておきましょう。
そして重視したいのはアフター点検がどれくらいの頻度で行われるのかという点です。
工事後の小さな塗装の剥がれやひび割れは、早く発見するほど補修が小規模で済み、被害の拡大を防ぐことができます。
業者によって点検の回数や頻度は異なりますが、優良な業者ほどアフター点検をしっかり行ってくれます。
2.工事前にアフター保証をしてくれるか見極める方法
このように、アフター保証は大切な家を丈夫に長持ちさせるためには欠かせませんが、どの業者が行う工事にもアフター保証がついているとは限りませんので、契約する前には必ず保証や保証書の発行の有無を確認しておきましょう。
業者がホームページを開設していればWEB上で確認することもできますし、契約前の見積もりの時点で保証の有無を尋ねておくのもよいですが、大切なのは契約書にサインをしてしまう前に保証の有無を確認することです。
工事が終わったあとに保証がないことに気づいてもどうすることもできません。
できれば契約する前に保証書を発行してもらい、しっかり内容に目を通して内容を把握しておきたいですね。
■おわりに
外壁塗装は数十万円から100万円以上もかかる大掛かりな工事ですから、信頼できる業者に依頼するのが第一の条件に挙げられるでしょう。
信頼できる業者を見つけるには、依頼主自身が業者の質を見極める目を持つことです。
上にあげたポイント以外にも、業者の自社施工した事例を見学させてもらうなど塗装工事に対する積極的な姿勢を業者に示すのも効果があります。
業者任せにしない!という気持ちでいれば、きっと信頼できる業者に出会えるはずですよ。