外壁塗装における工事費用の総額の約3割を「工事代」が占めると言われています。
でも、「工事代」という項目は足場代や材料費などに比べると内訳がどうなっているのかイメージしにくいかもしれません。
ほとんどの外壁塗装工事で数十万円にもなるこの工事代に何が含まれているかを詳しく調べてみましょう。
このページの目次
■外壁塗装は職人の人数で費用が変わる
外壁塗装の工事代はシンプルに「人件費」と言い換えることもできます。
この人件費はどのように計算され、どの程度が適正と言えるのか、契約書を交わす前に施主の側でも確認しておくことは大切です。
1.職人の人数分の人件費が発生する
建設作業における人件費は「人工(にんく)」と言われる単位をもとに計算されています。
これは「工事に関わる職人の数×作業日数」で算出され、これがすなわち総工費の中の「工事代」にあたる部分です。
例えば3人が2日作業すれば「6人工」、2人が3日作業する場合も「6人工」となります。
1人工あたりの相場は地域によって異なる事も覚えておきましょう。
この「工事代」の細かな内訳は施主の側ではわかりにいかもしれません。
優良業者の中にはその内訳が何人工にあたるかを詳しく記載してくれる業者もありますが、相手が悪徳業者であれば金額を誤魔化されやすい部分でもあります。
外壁塗装に関わる各工事にどれほどの人工が発生しているのかをある程度知っておくなら、見積書が適正かどうかを判断する助けにもなるでしょう。
2.適切な人数と人件費の相場は決まっている
外壁塗装では必ず「人工」として人件費が発生しますが、安全性・効率・クオリティーを保つためにもどの作業に何人必要かという采配が非常に重要です。
作業に対して多めの職人を手配すれば人件費は高くなりますが、短期間で工事を終えられる上に施工ミスを減らせる効果があります。
一方、手のかかる作業に対して職人を減らせば人件費を浮かせられるように思えますが、その分工事期間が長引いて結局のところ総工費は変わらず、むしろスピードが重要な作業に余計な時間がかかりクオリティーが落ちてしまう事もありえます。
■外壁塗装は何人で行われるのか
作業工程ごとに適正な人工というものが存在し、人工が多過ぎても少な過ぎても様々なトラブルの原因になりかねません。
どんな作業にどれほどの職人が必要とされるか、およその数字を把握しておく事は重要です。
1. 各工程の内容と必要人数
外壁塗装工事には様々な作業が含まれますが、各工事ごとに作業量も必要な人員も違ってきます。悪質業者や手抜き工事を見分けるためにも各工事の概要と適正人数を確認しておきましょう。
●足場
塗装工事の最初に家屋の周りに足場を組み立てます。
多くは鋼管の足場を使用するためにかなりの重さの部材を延々運搬し、組み立てるという大変な作業です。
下請けの足場業者が作業する場合もありますが、いずれにせよ安全に作業するためには2〜3人は必ず必要になります。
●高圧洗浄
高圧洗浄作業は洗浄機を使用し家屋全体を一気に洗浄していきます。
この洗浄作業は1人でも行う事が可能です。
●下地調整
外壁の塗装面のひび割れやサビの修繕、必要に応じてシーリングの増し打ちや打ち替えを行う作業です。
外壁の状態にも左右されますが、細部にまで気を配りながらの地道な作業であるため、2〜3人は必ず必要になります。
●養生
窓・ドア・室外機などの塗装しない部分や隣近所への塗料飛散を防ぐためにマスキングテープやビニールシートで覆ったり、足場に飛散防止ネットを設置したりする作業です。
1人でも行える作業ですが、施主の側で前もって鉢植えや自転車など移動させられるものは移動させておくなら、仕事の手間も省け作業時間はより短くなります。
●塗装
塗装工事には少なくとも2人は必要です。
塗装は下塗り・中塗り・上塗り(仕上げ塗り)の3回に分けて塗装され、それぞれの塗装が終わるごとに乾燥のために最低1日は置かなければなりません。
そのためこの工程にはある程度の日数が必要になることを覚えておきましょう。
一般的に外壁塗装のみの場合に必要になる日数は6〜9日、外壁と屋根を同時に塗装する場合は9〜12日が目安です。
梅雨のような雨の多い季節や雪の降る季節には長くかかる事もあります。
2.工程や建物の劣化状況で必要人数は変わる
外壁塗装リフォームを行う家屋は一軒一軒状態が異なっています。
場合によっては負担の大きい作業が必要なケースもありますが、作業量や難易度が上がれば当然それだけ多くの作業員が必要になります。
そのような場合、十分な人員が確保されていなければ大小さまざまな問題が発生しかねません。
例えば、足場の組み立てや解体のような重労働に人手が足りなければ作業員一人一人の負担が大きくなり、不注意による足場の倒壊や労働災害につながる恐れもあります。
また広い範囲に大規模な補修工事が必要な物件であるにもかかわらず十分な数の職人が確保されていなければ、下地補修だけで無駄な工期がかかってしまい結果として工事費が高額になるかもしれません。
■「職人の人数を減らす」と言われたら
少数精鋭で営業している塗装工事業者も数多く存在します。
そのような比較的小規模の業者が複数の現場を同時進行で工事しているような場合は、作業内容によって施工現場の職人の入れ替えや増減がある場合もあります。
施工業者から職人を減らすと説明された場合、施主はどう対応すべきでしょうか。
1.どの工程で減るのか確認する
職人が減らされる場合は、いつ、どんな理由で減らされるのかを尋ねてみるようにしましょう。
例えば最低2人は必要なはずの作業を無理に1人で行うような場合、安全性が犠牲になることが多くあります。
不用意に人員を削減するならば、労働災害の危険に加えて、施工ミスによる工期の延長やクオリティーの低下も予想されます。
業者の側で十分な職人を確保できないようなら作業の一時中断も選択肢に入れることができるかもしれません。
2.作業時間が長くなるのか確認する
職人を減らすことによりスケジュールにどのような影響が出るかも十分に確認しましょう。
人数が減らされた作業分が作業日数に転嫁され、余計な人工を計上され必要以上の料金を請求される恐れもありますので十分注意が必要です。
人員が減るか、また作業日数がどうなるかといった業者とのやり取りは後々のトラブルにつながりかねません。
やり取りの中で了承したつもりのない工期延長を了承したと捉えられる可能性もあります。
面倒をいとわず全てメールでのやり取りにするか、連絡ノートに記録しておくなどして、後日施主と業者の双方で確認できるようにしておくと良いでしょう。
■おわりに
外壁塗装リフォームの工事価格は100万円を超えることも珍しくありません。
しかし見積りの各項目を細かく分けて考えればさまざまな材料費や工賃が合算されたもの。
総工費の約3割を占める「工事代」に含まれている人件費や人工などの内訳を知っておけば、優良業者を選び、満足のいく塗装リフォーム工事を満足のいく価格で成功させる助けになるでしょう。