モルタル壁やサイディングの外壁を塗装するときに必要なのが下地材で、それぞれの外壁にあった下地材を使う必要がありますが、その下地材で使われる一つが「微弾性フィラー」です。
このページで下地材で使われる微弾性フィラーや下地材について、その役割や知識を深めていきましょう。
このページの目次
■微弾性フィラーとは
下地材「微弾性フィラー」の特徴や、下地材という部材の役割について解説していきます。
下地材の必要性と、微弾性フィラーが外壁塗装で使われる理由を確認していきましょう。
1.微弾性フィラーは下地材の一種
微弾性フィラーとは、外壁塗装において「下地材」と呼ばれる部材の一種で、下地材は外壁塗装に欠かせません。
なぜなら、この下地材がなければどんなに耐久性が高い塗料を外壁に塗っても塗料が外壁に密着できず、すぐに剥がれてしまうからです。
外壁塗装の見積もりを見る時は、下地材が部材代に含まれていることを必ず確認し、きちんと下塗りを行う優良業者かどうかを確認することが重要です。
●下地材の種類
下地材には以下の3種類があります。
- 微弾性フィラー:厚みのある下地膜ができる。弾性とはゴムのように伸び縮みする力のこと。シーラーとフィラー(下地の凹凸を埋める部材)の特性を持っており、ひび割れを防ぐ役割がある。
- シーラー:塗料が外壁に吸い込まれるのを防ぐ。「塞ぐ=seal」が由来。劣化した外壁は塗料を吸い込みやすく、ムラができやすいので、シーラーを塗装して吸い込みを防ぐ。
- プライマー:塗料と外壁を密着させる接着剤のような役割がある。
2.外壁塗装では下地材を必ず使う
下地材は仕上げ用塗料と外壁を繋ぐ存在であり、外壁の素材によって微弾性フィラーやシーラー、プライマーなど複数の種類が使い分けられています。
例えば、古くなってしまい、スポンジのように塗料をぐんぐん吸い込んでしまう外壁にはシーラーを塗装します。
シーラーを塗ることで仕上げ用塗料の吸い込みを防ぐことができ、塗料を無駄に使うことなく、ムラのないきれいな仕上がりにすることができます。
外壁塗装ではいきなり仕上げ用の塗料を外壁に塗り始めることはないので、見積もりの作業項目の中に下塗りの工程が含まれていることを必ずチェックしておきましょう。
■微弾性フィラーが使われるのはモルタル壁やコンクリート
モルタル壁やコンクリート壁は小さなクラック(ヘアークラック)が起きやすい外壁です。
微弾性フィラーには小さな凹凸や割れ(クラック)を埋める効果があり、下塗りの時に微弾性フィラーを塗装しておくと、割れを埋めながらその後発生する割れもある程度カバーできます。
よりしっかりひび割れを防ぎたい場合は、下地材にシーラーを使って、仕上げ用塗料に弾性塗料を2~4回塗装すされます。
1.サイディングに微弾性フィラーは使われない
微弾性フィラーをサイディング材に塗装すると、サイディング材に溜まった熱で塗膜が変形し、縮れたり膨れたりして施工から3~5年程度で劣化してしまいます。
自宅の外壁がサイディングの場合、見積もりに微弾性フィラーが記載されているなら必ず外壁のどの部分に微弾性フィラーを使用するのかを業者に確認しておきましょう。
■微弾性フィラーで見積もりの内容が正確か判断できる
微弾性フィラーが何のために使われる部材か知っておくことで、業者から渡された見積もりが正確かどうかを判断できるようになります。
外壁塗装の工程とあわせて、微弾性フィラーが適切に使われるかを確認する方法をご紹介していきましょう。
1.微弾性フィラーが記載されていれば下塗りが行われる
外壁塗装の工程は、
- 足場設置
- 高圧洗浄
- 下地処理
- 養生
- 塗装(下塗り、中塗り、上塗り)
の順で行われ、微弾性フィラーが登場するのは、5の塗装作業の下塗りのときです。
悪質な業者の場合、
- 部材代や人件費を節約するため下塗りをわざと省く
- 工期を短くするため十分に乾燥期間を取らない
などの手抜き工事をされる可能性があります。
塗装は一層目を塗るたびに乾燥時間を24時間置かなければならないので、下塗り、中塗り、上塗りの3度塗りを行うためには、最低でも6日必要ということになります。
業者から渡された工事スケジュールが、3日以内などあまりにも早く塗装が終わってしまう場合は下塗りが省かれている恐れがあるので必ず他の業者でも見積もりを取ってもらい、工程が妥当かどうか確認しておきましょう。
2.見積もりを見る時は下地材の種類に注目
下地材と外壁の組み合わせが適切であれば、塗料は適切な耐用年数まで持たせることができますので、見積もりで以下のことを確認しておきましょう。
- サイディング外壁に微弾性フィラーと書かれていた場合は、なぜ不適切な微弾性フィラーを塗装するのか理由を聞く(めったにありませんが適当な業者ならありえます)。
- モルタル外壁の家であれば、下地材に微弾性フィラーが使われていることを確認しておく。
下地材の種類や、そもそも下塗りの工程すら書かれていない不明瞭な見積もりでは、どんな部材でどうやって工事が行われるのか調べようがありません。
そのような見積もりを提出する業者は避け、他の業者に相見積もりをお願いしたほうがよいでしょう。
■おわりに
微弾性フィラーはモルタル壁やコンクリート壁など、クラックが起きやすい外壁に向いている下地材です。
業者からの見積もりで、自宅の外壁材にあった下地材を使用していない、工期が短すぎるなど不明な点がある場合は、きちんと説明をしてもらいましょう。
下地材は仕上げ塗りの塗料をしっかり密着させ、施工不良を防ぐためにも重要な部材ですので、信頼できる業者に依頼することが失敗のない工事につながります。