外壁は家を雨風から守る上で重要な役割を担っていて、10年程度でリフォームが必要になるといわれています。

外壁のリフォームする際は塗装を変えるだけでなく、付帯する部分も同時に補修を行う必要があり、その代表例としてコーキングの補修が挙げられます。

しかし、コーキングが具体的にどのような役割を担っているのか、そしてどのような補修が必要なのかはあまり知られていませんのでここで紹介していきたいと思います。

■コーキングとは

まず、コーキングとはそもそも何なのかについてですが、外壁材と外壁材の間にある目地等を埋める部材のことをいいます。

コーキングという呼び方以外にもシーリングと表現されることがありますが、ほとんど意味は同じと考えてい頂いて差支えありません。

 

コーキングはポリウレタン系やシリコン系などの樹脂がペースト状になっており、コーキングガンと呼ばれる器具を使って細い目地の隙間に注入することによって、雨水が室内や構造躯体内に侵入することを防いでいます。

1.サイディング材同士の継ぎ目

コーキングの施工箇所としてまずはサイディング材同士の継ぎ目が挙げられます。

サイディング材はパネルになっており、複数枚を張り合わせて壁を覆うことにより建物を守っています。

サイディング材自体は雨をはじくことができますが、パネル同士を並べる際にどうしても継ぎ目ができてしまうので、その部分はコーキングで埋めておかなければいけません。

 

基本的にサイディング材よりもコーキングの方が早く傷んでしまいますが、サイディング材に比べ面積の小さいコーキングの痛みは見落としがちです。

ただ、コーキング材が傷んでしまっては雨水の侵入で建物全体の耐用年数を短くしてしまう可能性もあるので、サイディング外壁の住宅にとってコーキング補修を定期的に行うことは非常に重要性が高いといえます。

2.窓サッシと外壁材の継ぎ目

続いては窓サッシと外壁材の継ぎ目の部分に施工するコーキングについてです。

窓サッシの周りは塗装やモルタルだけではしっかり隙間を埋められないので、コーキングを詰めてしっかり埋めなければなければいけません。

ただ、窓サッシ周りのコーキングも目立ちにくくうっかり補修し忘れる業者もいますので、リフォームをお願いする側もコーキング補修が確かに行われているか注意深く点検する必要があります。

また、外壁塗装工事の見積もりを見る時は外壁材の種類(サイディングなのかモルタルなのかなど)に関わらずコーキング補修の有無を確認しておくことが重要です。

3.内装

壁と天井、壁と床の立ち上がり部分など、内装の継ぎ目にもコーキングは詰められています。

特に、浴室・キッチン・洗面台などの水回り機器は、コーキングで床や壁の隙間をしっかり埋めておかなければ室内に漏水してしまいます。

内装のコーキングは外壁塗装工事では補修されませんが、内装リフォームも行っている業者であれば、打ち合わせの時に相談すると内装のコーキングも点検してもらえる可能性があります。

■コーキングの特性

コーキングはただ単に目地を埋めているだけでなく、建物の耐久性を保つという非常に重要な役割があります。

また、コーキング本体は外装材や塗装よりも耐久性が低いため本来であればコーキングだけ定期的な補修をすることが望ましいですが、少なくとも外壁塗装工事の際には確実に補修しておくことが大切になります。

 

コーキングは外壁の面積の割に施工面積が小さいのでついつい補修を忘れがちですが、建物の劣化を防ぐ上で最も重要な役割を担っているといっても過言ではありません。

そんなコーキングの特性について具体的に紹介していきたいと思います。

1.コーキング自体が劣化しやすい素材

まず、コーキング材は紫外線で劣化しやすく、劣化速度が外壁材より早いという特徴があります。

コーキングは5~10年でひび割れが起きたり縮んだりするため、その部分を補修しないと雨水が目地の内部に浸水してしまう恐れがあります。

建物のあちこちに存在するコーキングは、どんな建物の外壁塗装工事でも必ず補修が行われますし、特に目地が多いサイディング壁はコーキングの箇所も多いので、補修のし忘れがないように入念なチャックが必要です。

2.目地から水漏れを起こしてしまう

コーキングがないと雨水が浸水することになり、建物内部の構造材の腐食や雨漏りの原因になってしまいます。

構造材が雨水で腐食したり錆びたりすると建物の耐久性が下がり、場合によっては大規模な改修が必要となることもあります。

どんなに外壁材を張り替えたばかりでも、外壁を強力な塗料で塗装しても、コーキングの劣化を放置してしまうと目地からいくらでも水が浸入してしまい、外壁改修の意味が無くなってしまいます。

3.コーキングがひび割れを防いでいる

コーキングには水の侵入を防止する以外にも、ひび割れを防いでくれる効果もあります。

地震で衝撃が加わり、部材同士がぶつかり合うことによって外壁はすぐに壊れてしまいますが、コーキングが存在することで衝撃を受け止め建物が損傷することを防いでくれます。

つまり、コーキングが目地に詰まることでクッションの働きをして衝撃が外壁材に届きにくくなることで外壁材のひび割れを軽減することができるのです。

■コーキング補修の方法と流れ

水の侵入防止とひび割れ防止の効果があるコーキングですが、その「補修の種類」と「行われるタイミング」を知っておくことは、外壁補修を業者に依頼するための前提知識として非常に重要になります。

見積もりを見た時にコーキングが行われるかどうか分かるようになっておくだけて、工事金額の妥当性や会社の信頼性を見極めることができるようになるからです。

そこで、コーキングの「補修の種類」と「行われるタイミング」について紹介していきたいと思います。

1.増し打ちと打ち替え

まずはコーキングの「補修の種類」についてですが「増し打ち(打ち増し)」と「打ち替え」の2種類があり、それぞれ補修方法も耐久性も全く異なります。

●打ち替え

「打ち替え」は外壁塗装のコーキング補修でよく行われる手法で、施工単価は㎡あたり1,000円程度です。

「打ち替え」の工事の流れは以下の通りです。

  1. 既存のコーキングをカッターなどですべて剥がす
  2. 目地の内部を清掃する
  3. 目地の両サイドをマスキングテープで養生し、外壁にコーキング材がはみ出さないようにする
  4. ボンドブレーカーで目地の底を保護してコーキングが付着しないようにする(三面接着の防止※)
  5. 下塗り材(プライマー)を塗布してコーキングを内部に密着しやすくする
  6. 新しいコーキング材を注入
  7. コーキングを工具で内部によく押し込む
  8. マスキングテープを剥がす

※工程の4で三面接着の防止とありますが、三面接着とは目地内部の両サイド(二面)だけでなく、底までコーキングが付着している状態です。

この状態ではコーキングが3方向から引っ張られ割れてしまい、早く劣化してしまうため、底にはコーキングが付着しないようにボンドブレーカーを塗装して保護しておく必要があります。

●増し打ち

「増し打ち」(または打ち増し)とは、既存のコーキングを全て剥がさず、体積が減った分だけ新しいコーキング材を注入する方法のことを言います。

㎡あたり800円と打ち替えより価格はやや安くなりますが、耐久性は低く古いコーキング材が剥がた時に新しいコーキングもろとも剥離しまう恐れがあります。

そのため、増し打ちは古いコーキング材が撤去できないような手が届きにくい箇所などでやむを得ず行われることがある程度で、積極的には行わないません。

見積もりに「増し打ち」と書かれていれば手抜きの可能性も多少あるので「増し打ち」を選んだ理由を業者に聞いておくことをお勧めします。

2.コーキング補修が行われるタイミング

続いてコーキングが「行われるタイミング」についてですが、まずは外壁塗装の工程をみていきたいと思います。

外壁塗装の工程は、

  1. 足場設置
  2. 高圧洗浄
  3. 下地調整
  4. 養生
  5. 塗装

の順に行われ、コーキング補修は3.下地調整の工程で行われます。

コーキング補修が行われるかどうかチェックするためには、見積もりの「下地調整」の欄に注目し、「打ち替え」、あるいは「増し打ち」と書かれていれば、コーキングが行われることを意味します。

見積もりにコーキングが含まれていなければ理由を業者に聞くことが大切ですし、見積もりで記載があっても施工が適切に行われているかどうかの確認は行う必要があります。

優良業者はコーキング補修が終わった段階で施主立ち合いの中間検査を行ってくれるので、そういった業者に依頼することをお勧めします。

●コーキング補修を行う順番

コーキングが「行われるタイミング」で注意しておきたいのが、「下地調整」の段階で行っているかどうかです。

塗装が終わった後にコーキング補修に取り掛かると、せっかく塗った新しい塗膜に傷を付ける恐れがありますので、必ず「下地調整」の段階で行われることを確認してください。

ただし、コーキング材の傷みが激しい場合は高圧洗浄の水が目地に入ってしまう恐れがあるため、高圧洗浄の前にコーキング補修を済ませることもあるので注意が必要です。

■おわりに

外壁のリフォームを行う際ついついコーキングの補修を忘れがちですが、コーキングは雨風から家を守る上で重要な役割を担っています。

コーキングの「補修の種類」と「行われるタイミング」をしっかりと理解し、適切に工事が行われているかの確認を行うことが外壁補修を行う際非常に大切になります。