「外壁の配色を変えて、住宅のイメージチェンジをしたい。」
これから住宅の外壁塗装を考えている方の中には、外観のイメージを大きく変えたいという方もいるのではないでしょうか。
外壁の色は住宅の印象を決める大きな部分であり、外壁の配色でモダンにもシックにもイメージを変えることができます。
自分の好きな色に外壁を変えられるというのは嬉しいものですが、外壁塗装の配色には最低限のルールのようなものが存在するのをご存知ですか。
配色の基本ルールを無視して配色を決めてしまうと、良かれと思って選んだ色が悪目立ちする可能性などがあるのです。
このような状況を回避し近隣との調和も取れた個性のある配色を選ぶためには、外壁塗装の配色の基本的なルールや配色パターンを押さえておくことをおすすめします。
そこで今回は、外壁塗装で配色を決める時のコツや注意点について詳しく説明していきます。
このページの目次
■配色を考える時の注意点
外壁の配色は、住宅のイメージに大きな影響をもたらします。
「自分の家の個性を周りにアピールしたい」と考えるのであれば、外壁の色にこだわりたいという方も多いでしょう。
しかし、自分の好みの色だけを利用して配色を考えてしまうと、イメージ通りの外観にならなかったというケースもあります。
これは、外壁塗装の配色の基礎を全く無視して色を決めてしまうことが大きな原因です。
そもそも外壁塗装で配色を考えるためには、ある程度の基礎知識が必要になります。
自分の好きな色という観点だけで配色を決めてしまうと、周りの建物との調和が取れなくなったり、悪目立ちしたりする可能性があるためです。
イメージ通りの外壁にするためにも、外壁塗装の配色の基礎はここでしっかり押さえておきましょう。
1.アクセントカラーとベースカラーを決める
一般住宅の外壁塗装では、色を豊富に使うことはほとんどありません。
周りの住宅を見ていると外壁はどの住宅でも基本的に2〜3色程度でまとめていることがわかるでしょう。
このように外壁の色は基本的に2〜3色でおさめるとスッキリと飽きのこないデザインになる傾向があります。
そして外壁塗装で配色を決める時に最初に決めておきたいのが、アクセントカラーとベースカラーです。
アクセントカラーとベースカラーとは一体どのようなものなのかを以下より詳しく説明していきます。
●ベースカラーとは
住宅の外壁の中で最も多くの面積を占めることになる色をベースカラーと呼びます。
色の面積が一番広くなりますので、外壁の印象を決める重要な色になるのです。
おおよその目安としては、外壁の7割程度をこのベースカラーが占めることになります。
そのため、赤や青などの派手すぎる原色系の色を選ぶと近隣との調和が取りにくくなってしまう恐れがあります。
一般的にはアイボリーやブラウン、グレーなどを選ぶ方が多くなっています。
●アクセントカラーとは
ベースカラーと共に外壁塗装に用いられる色ですが、部分的使用する色のことアクセントカラーといいます。
ベースカラーのみだと平面的になってしまいがちが外壁の印象を、アクセントカラーの利用でより立体的にする効果があります。
また、利用する部分はベースカラーに比べて圧倒的に少ないので、ベースカラーを引き立てるための重要な色です。
そのため比較的ベースカラーよりも彩度の強い色や濃い色を使うことが多くなります。
ただし、ベースカラーとの相性などによっても全体の印象を左右する色になっています。
2.色の「面積効果」に注意
アクセントカラーとベースカラーを決めるためのポイントとして、色の「面積効果」を知っておくことをおすすめします。
人間の目は、塗装された面積によって同じ色でも色の感じ方が異なるのです。
これは面積による色の錯覚が起きている状態なのですが、この現象を「面積効果」と呼んでいます。
色の面積効果を知っておくと、配色を決める時に失敗しにくくなるのです。
●具体的な面積効果の例
それでは実際に、面積効果とはどのような現象のことをいうのか、その事例を見ていきましょう。
面積効果とは、特殊な目の錯覚をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、普段から目にする住宅に用いられているもので以下のようなものが面積効果と呼ばれています。
面積効果の具体例として、
- 面積が大きい色の方が明るく薄く感じる
- 面積が小さい色は彩度(色の濃さ)が高く感じる
というものがあります。
たとえば同じ黄色を面積の違う2つの壁に塗った場合、大きな面積に塗られたものは白に近い薄い黄色に見えます。
一方で小さい面積に塗られた場合には、彩度が際立ち目立って見えてくるのです。
このように同じ色を塗った場合でも、塗る外壁の面積によって人に与える印象がかなり変わってきます。
そのためサンプルを見て選んだ色と実際に塗装された色の印象が全く違って見えてしまうということもあるのです
ベースカラーやアクセントカラーを選ぶ時には、このような面積の効果があることを知っておくと良いでしょう。
3.サッシや付帯部の色に注意
ベースカラーの方が面積が大きいからといって、アクセントカラーを適当に決めてしまうのもよくありません。
窓のサッシや付帯部分にはアクセントカラーを用いますが、小さな箇所ほどアクセントになり外壁よりも目立ってしまうという場合があるのです。
たとえば、庭の緑と調和させたいという希望からアクセントカラーにグリーンを入れた方がいます。
しかし実際にアクセントカラーを入れてみると、ベースカラーとの相性が悪く逆に悪目立ちしてしまうという結果になったのです。
また、外壁のベースカラーとの調和ばかりを気にしてサッシの色を選んだという方でも、内装の壁紙の色とサッシの色が全く合わなかったという事例もあります。
アクセントカラーは、外壁全体として見える割合は少なくてもベースカラーよりも目立つことがあるのです。
●色の面積は小さいがその分アクセントとなって目が行きやすい
窓サッシ、雨樋などの付帯部にはアクセントカラーが入ります。
面積自体は小さいのですが小さい部分だからこそベースカラーのアクセントとなり、目が行きやすい場所でもあります。
小さな箇所だからと色な色選びをせずに、小さな箇所を含めてカラーシミュレーションを行うことが大切です。
■配色の考え方
ベースカラーとアクセントカラーについてわかったところで、次は実際の配色について考えていきましょう。
一般的に外壁塗装で用いられている方法としては、以下の2種類があります。
- 屋根と外壁で塗り分ける方法
- 外壁をツートンカラーで仕上げる方法
1.屋根と外壁で配色
まず1つめの方法が、屋根と外壁で塗り分けるという方法です。
外壁の色は一色となり屋根でアクセントカラーが入りますので、外壁塗装に詳しくない方でも考えやすい配色になっています。
屋根と外壁にそれぞれ異なる色を選ぶことで、難しい配色のテクニックを使わなくても意匠性のある塗り分けが可能です。
また、外壁と屋根の2色使いで見た目に立体感が出ます。
逆に屋根と外壁を同じ色にしてしまうと全体的にメリハリがなくなり、のっぺりとした外観になる恐れがあります。
1色のみで仕上げるということは2色使うよりも失敗の危険性が高くなってしまうのです。
近隣との調和を重視したい方や、できるだけシンプルに仕上げたいという方にはオススメの配色方法です。
2.ツートンカラーの外壁として配色
「他の住宅とは一味違うオシャレな住宅にしたい」という人の中で人気があるのが、ツートンカラーの外壁としての配色です。
近年人気の配色方法であり、縦と横の塗り分け方法があります。
どちらの方向で塗り分けるのかによっても違う印象を与えることができます。
縦と横の塗り分けを選ぶ時には、住宅にどのようなイメージを持って欲しいかに主軸を置いて配色を考えてみると良いでしょう。
それでは実際に、縦の塗り分けと横の塗り分けでどのような印象の違いがあるのか説明して行きます。
縦の塗り分け
住宅を縦にツートンカラーにする方法です。
使う色によっても印象は異なりますが、スタイリッシュでスマートなイメージに仕上げることができます。
横の塗り分け
住宅を上下などに分けて横で塗り分ける方法です。
外壁をツートンカラーにする方法は、縦の塗り分けよりも主流の塗り分け方法になっています。
こちらもどのように配色するかによって印象は異なりますが、下を濃い色にし上を明るい色にすると建物が大きく見える効果などが得られます。
これは明るい色に膨張効果があるためです。
■色の選び方と配色の例
配色の考え方がわかったところで、次に具体的な色選びについて見ていきましょう。
ここでは具体的な配色の例やそれぞれの配色の印象について紹介していきます。
1.モダンな配色
- 濃い色×アクセントに白
- 濃い色A×濃い色B
など。
モダンさやスタイリッシュさを外壁に求めるのであれば、比較的濃い色を入れてみると良いでしょう。
また濃い色のアクセントカラーとして部分的に白を入れるとメリハリが生まれておしゃれな印象になります。
ただし、外壁もサッシも全て真っ黒など濃い色ばかりを使い過ぎてしまうと、モダンさよりも重厚感が出てしまいます。
そのため、重苦しい雰囲気や狙った通りのイメージにならないこともあるのです。
ベースカラーに黒を使う場合には、アクセントカラーとして玄関などの色にブラウンを入れてみるとスタイリッシュな印象になりますよ。
濃い色をベースカラーに用いる場合には、その色よりもやや薄めの色をアクセントカラーにするとメリハリがつきやすくなります。
2.ナチュラルな配色
ベージュやアイボリーなどの淡色をベースカラーにすると、住宅のナチュラルな印象に仕上げることができます。
またこのような淡色系をベースカラーにすることで、失敗しにくく無難な仕上がりになるのです。
周りの住宅と比較して個性を出すのは難しくなりますが、他の住宅とも溶け込みやすくなる調和性のある配色となっています。
またベースカラーには淡い色を使い、アクセントカラーに濃い目の色を使うとバランスがよくなりますよ。
3.和風な配色
外壁を和風の配色にする時には、以下のことに重点をおいて色選びを行うことをお勧めします。
- 伝統色をベースカラーに選ぶこと
- 木目調の健材を有効活用すること
伝統色をベースカラーに選ぶ
和風の配色に仕上げるためには、ベースカラーに伝統色を選ぶことが大切です。
伝統色とは、真っ赤や真っ青のようなビビットな原色系とは対極にあるような色のことをさします。
ややくすんだ彩度の低いような色でピンク系なら桜色、赤系ならえんじ色などが伝統色と呼ばれているものです。
このような落ち着いた色を選ぶことにより、周りの住宅からの悪目立ちを防ぎつつ和風の住宅を演出することができます。
和風の配色を狙う場合には、彩度の低いくすんだ色を選ぶようにしましょう。
木目調の建材を有効活用する
和風を演出するためには、木目調の健材を有効活用するのも1つの方法です。
昔の日本家屋には必ず木の建材が利用されていたように、格子のような窓や玄関などは、和風の家に馴染みやすくなっています。
天然の木目とベースカラーとなる塗料との調和で和風を演出することが可能です。
ただし材木はそのままの状態で設置すると雨や汚れで腐食しやすくなってしまいますので、必ず保護塗料の利用や防腐剤を利用したものを使うようにしてください。
■おわりに
今回は外壁塗装で配色を決める時のコツや注意点について詳しく説明してきました。
住宅の外壁塗装は、自分の住宅の印象を決める重要なものです。
自分の個性を最大限に引き出すためにも、外壁の配色にこだわりたいという方も多いでしょう。
しかし外壁塗装の配色には最低限守った方が良いルールがあり、ルールを守らないと悪目立ちしたり周りの景観を乱したりと逆に悪い印象になってしまいがちです。
まずはこの記事で基本的な配色のルールやパターン、自分が理想とするイメージなどをある程度イメージし、業者に依頼することをおすすめします。
自分で配色が決められない場合にはまずは専門家にイメージを相談してみることからはじめてみましょう。