これから外壁塗装を依頼したいと考えている人の中には、業者選びを迷っている人もいるのではないでしょうか。
できるだけ価格や出来栄えが十分満足できる業者を選びたいものですが、外壁塗装について知識のない方が優良な業者を選ぶのは難しいものです。
また外壁塗装業者の中には、手抜き工事を行なったり作業量に見合わない高額な費用を請求したりする悪徳業者も存在します。
悪徳業者に外壁塗装を依頼してしまうと、結果として外壁塗装工事が失敗となり、再度外壁塗装を別業者に依頼し直さなければならない危険性もあるでしょう。
外壁塗装で失敗しないためにも、依頼者側は外壁塗装の基礎知識を身につけておくことが大切です。
今回は、一般の方でも分かる外壁塗装で失敗しないために知っておきたい基礎知識について詳しく説明していきます。
このページの目次
■見積書の見方を知っておく
外壁塗装の業者に依頼を行うと、まずは依頼された外壁部分を確認し、見積もりを提示してくれるでしょう。
しかし依頼主側が見積書の内容を理解できなければ、具体的にどのような工事を行なっていくのかを理解できません。
大まかな概要だけでも見積書の見方を知っていれば、わからない部分を業者に質問しやすくなり、スムーズな打ち合わせがしやすくなるでしょう。
業者が見積もりを提示する時には、専門用語や知識のない人には理解できない言葉で説明される可能性があります。
ここでは見積書をしっかりチェックできるようにするためにも、外壁塗装に関する専門用語や塗装の基本工程、正しく作られた見積書の特徴などを学んでおきましょう。
1. 外壁塗装の各工程
外壁塗装の見積書を理解するためには、まずは外壁塗装の大まかな流れや工程について知る必要があります。
外壁塗装の見積書には、一般の方があまり見ることのない塗料の商品名などが記載されているでしょう。
また「下地調整」、「足場設置」、「養生」など普段あまり馴染みのない言葉が多く登場することになります。
そのため、全く知識のない人が外壁塗装の見積書を見ても、すぐに理解することは難しいでしょう。
しかし、外壁塗装の基本的な工程を知っておくことで、なんのために塗料が必要なのか、なぜ今回の工事で記載された材料を使用するのかが理解できます。
結果として見積書をスムーズに確認することができ、分からない部分のみを業者にどんどん質問できるようになります。
●見積りの金額はあくまでも目安
また、「見積もり=作業終了後の確定的な費用」ではありません。
建物の素材や劣化状況によっては、作業をすすめていく中で工程が増減する可能性も十分にあります。
このような工程の増減が、本当に必要なものなのかどうかを見極めるためにも、打ち合わせでの業者の態度は慎重に確認しておくことが大切です。
打ち合わせの段階で分からない用語が登場した場合には、業者にその場で質問し、回答の態度から業者の誠実さを見極めることもできます。
2. 正しい見積書の特徴
同じ外壁塗装業者でも、細かな見積書の書き方は業者によってそれぞれ異なります。
しかしどのような外壁塗装業者であっても優良業者であれば、ある程度のルールに乗っ取った正しい見積書を作成してくれるものです。
正しい見積書の簡単な見分け方としては、「その他」「一式」などあいまいな表現が記載されていないというのが1つのポイントになります。
また、使用する塗料の名称などが記載されておらず、あいまいな表現になっているものがあれば、しっかり質問すべきです。
しかし、これまで外壁塗装の見積もりを見たことがないという人は「どれが正しい見積書か判断できない」という人もいるでしょう。
正しい見積書というのは、以下のような特徴がありますので参考にして見てください。
- 「一式」「その他」などのあいまいな表現が使われていない
- 工程ごとの㎡あたりの単価が記載されている
- 塗料の商品名まで記載されている(塗料メーカーホームページから設計単価を調べられる)
- 塗装の3回塗りが記載されている(3回塗りは施工不良を防ぐために必須)
具体的にどんな工程が行われるのか、使用する塗料の種類が依頼者側でも調べられるように、内容が丁寧に記載されていることがポイントになります。
■塗装費用の相場を知っておく
外壁塗装の作業工程を知っておくことも大切ですが、塗装費用の相場を知っておくことも外壁塗装を成功させるための重要なカギとなります。
外壁塗装の費用には、工程ごとや塗料などにある程度の価格相場が存在します。
工程や塗料ごとの相場を知っておくことで、過剰な金額を請求されることもなく、適正価格で作業を依頼できる可能性が高くなるのです。
1.塗料の価格相場
外壁塗装において必ず使用されるであろうものが、塗料です。
塗料の種類によって価格相場が異なりますが、外壁塗装で使用されることの多い塗料の相場を以下で見ていきましょう。
- アクリル塗料:1,500~1,800円/㎡
- ウレタン塗料:1,800~2,500円/㎡
- シリコン塗料:3,000~3,500円/㎡
- フッ素塗料:3,800~4,500円/㎡
- 断熱・遮熱塗料:2,800~3,500円/㎡
- 光触媒塗料:4,300~4,800円/㎡
- 無機塗料:4,500~5,000円/㎡
- 弾性塗料:1,800~3,000円/㎡
このように、外壁塗装で使用される塗料には実にさまざまな種類があり、価格も塗料によって大きく異なる場合があります。
塗料によって価格が大きく異なる理由としては、塗料ごとの耐久年数が大きく関係しているのです。
グレードが高いフッ素塗料や、劣化しにくい光触媒塗料や無機塗料は15年以上など、耐久年数が比較的長い塗料です。
そのため、このような塗料で外壁塗装を行えば、外壁が長持ちするので価格が高額になっています。
逆に今はあまり利用されていませんが、アクリル塗料などを使用する場合には、数年ほどと耐久年数が低く、塗装が長持ちしないため価格は安くなるでしょう。
現在外壁塗装でもっとも利用されている塗料は、10年前後の耐久年数を持つシリコン塗料です。
「全ての塗料の価格相場を覚えておけない」という人でも、シリコン塗料の相場だけでも頭に入れておけば、打ち合わせでもスムーズに質問できる可能性が高くなります。
2.工程ごとの費用相場
塗料と同様に、外壁塗装の各工程がどのくらいの費用相場で行われるのかを知っておくことも重要です。
外壁塗装は塗料を塗って終わりという訳ではなく、その前後でさまざまな工程が行われます。
次から説明する工程は、外壁塗装で必要になる工程です。
ここでは各工程がどのような目的で行われるのかと、それぞれの費用相場を見ていきましょう。
●足場設置
外壁塗装を行う時に必ずといっていいほど行われるのが、足場の設置です。
足場を設置することは、高所での作業を安定させたり作業スピードを早めたり、作業自体の安全性を高めたりするための重要な工程になります。
足場設置のための費用としては、以下のようなものが必要となりますので価格の相場も参考にしてください。
- 単管足場:700~800円/㎡
- 単管ブラケット足場:800~1,000円/㎡
- 枠組足場:1,000~1,500円/㎡
- くさび式足場(ビケ足場)※主流:900~1,200円/㎡
●高圧洗浄
高圧洗浄とは、名前の通り外壁を高圧洗浄機で洗い流す作業です。
高圧洗浄を行うことで外壁に付着した汚れや旧塗膜、コケなどを落とすことができ、塗装を長持ちさせることができます。
逆に高圧洗浄を行わずに外壁塗装を行えば、どんなに良い塗料を利用しても塗装が長持ちすることはありません。
高圧洗浄も外壁塗装においては、欠かすことのできない工程です。
高圧洗浄の費用相場は、以下の通りです。
- 高圧洗浄(通常の水を使用):150~200円/㎡
- バイオ洗浄:500~1,000円/㎡
●下地処理
先ほども説明した通り、外壁塗装は外壁の上から塗料を塗って終わりと言う作業ではありません。
外壁塗装で新たに塗装を行うためには、塗装前の下地処理も大切な工程となります。
ある程度の年数が経過した外壁は雨風に常にさらされているため、ヒビ割れなどのいたみがある場合もあるのです。
いたみを放置した状態で新たに塗料を塗ってしまうと、汚れ同様に質の良い塗料を塗っても長持ちすることはありません。
そのため、外壁の状態に応じて下地処理も必要になる工程です。
おもな下地処理の費用相場は以下を参照してください。
- シーリング工事
打ち替え:1,000/㎡
増し打ち:800/㎡ - ケレン作業:500~2,000円/㎡
- ひび割れ補修
シーリング材充填:700~1,000円/㎡
Vカット工法:2,000~5,500円/㎡
●養生
養生とは、外壁塗装を行う時に塗料が塗装面以外に付着しないように保護する作業です。
塗料を塗らない部分を養生テープやシート、マスカーなどで保護したり建物事態をメッシュシートで覆ってしまうこともあります。
保護する場所によっても養生の方法が異なりますが、平均的な費用としては300円/㎡程度が相場と考えておくと良いでしょう。
■良い業者と出会うこと
外壁塗装を成功させるために一番大切なことは、優良な業者に依頼することです。
これまで説明してきた見積もりの見方や塗装費用の相場を知っておくことは、全て良い業者を見分けるために利用できます。
ここではさらに良い業者に出会うための、具体的な業者選びのすすめ方について説明していきます。
1.複数業者から見積もりを取って比較する
たとえ同じ面積の外壁塗装を行なったとしても、利用する塗料や外壁自体の状態により価格は異なり、定額が存在しません。
そのため良い業者に出会うためには、まずは2〜3社の見積もりを取ってみることをおすすめします。
そして2〜3社間の見積もりを比較しながら、価格差や基本の工程が含まれていることをチェックしてみましょう。
その中で行うべき工程や使用する塗料の詳細が記載されており、なおかつ価格が比較的安価である業者が「良い業者」である可能性が高くなります。
ただし見積もりは4社以上とっても、結果があまり変わらないことが見積書請求に多く時間もかかってしまうため、おすすめできません。
●打ち合わせの雰囲気や説明の仕方なども見積もり段階でチェック
見積もりを取った時にチェックしたいのは、価格差や工程だけではありません。
打ち合わせ中の雰囲気や、担当者の説明のわかりやすさなどもチェックしておきたいものです・。
打ち合わせの段階で質問しやすい業者であれば、たとえ仕事中にトラブルが起きてもすぐに相談できる可能性が高くなります。
逆に相談しにくい業者や、対応などに何かしらの違和感を感じるようだと、実際の工事が始まってから何かしらのトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。
打ち合わせ段階で本当に信頼できる業者なのかどうかを、実際の会話を通して見極めるようにしましょう。
2.自社施工の業者がおすすめ
塗装業者の中には、自社で施工を行わず下請け業者に依頼するというところも少なくありません。
しかし外壁塗装を依頼するのであれば、おすすめは自社施工業者です。
自社施工とは、その業者に在籍している塗装職人が作業を行うことを指します。
自社の職人が直接施工を行うことにより、連絡事項が会社同士の伝言ゲームになりにくく、より的確な依頼主の希望を伝えやすくなるでしょう。
さらに自社施工業者は下請けを雇う必要がありませんので、中間マージン分の費用が発生しないというメリットがあります。
見積もりをとる業者には、自社に所属する職人が施工を行ってくれるのかどうかを確認してみましょう。
3.訪問販売を信用しないこと
まれに女性の一人暮らしやお年寄りを狙った訪問販売業者が、外壁塗装の営業をしてくることがあります。
しかし訪問販売業者は相場以上の金額で見積もりを作り、不安を煽って契約させようとする悪質な業者である可能性が非常に高いです。
最悪の場合、訪問販売をしてきた業者自体がリフォーム業者ですらないというパータンもあります。
このような場合には、万が一施工不良などのトラブルが起きても、対応をしてくれないどころか音信不通になるなど、会社ごと逃げてしまうこともあるのです。
たとえ施工不良の対応をしてくれたとしても、自社に工事スタッフの在籍がないので格安で下請けを頼み、手抜き工事を無理強いする恐れもあります。
飛び込みで営業マンが自宅に来た場合には、高い確率で悪質な業者である可能性が高いと考えて利用は控えましょう。
■色選びの基礎知識を身につけておくこと
ここまで良い業者を選んで、安全にお得に外壁塗装を依頼するためのポイントについて説明してきました。
しかし、どんなに優良な業者を選んでも、外壁塗装に失敗してしまうこともあるのです。
そんな失敗例の多くを占めるのが、「色」に関するトラブルです。
施工の結果、外壁が自分のイメージしていた色と異なるものになってしまい、後悔しているという依頼主は多いものです。
万が一「色が気に入らない」という理由で業者に塗り替えを依頼すれば、費用は施主の負担になってしまいます。
塗った後に後悔しないように、色選びの基礎知識を身につけていきましょう。
1.サンプルは実物の塗料が使われたものを用意してもらう
外壁の色選びには、打ち合わせの段階で印刷された小さな色見本帳を参照することが多くなります。
しかし本や雑誌状のカラーサンプルは、実物と印象が異なる場合も多いのです。
また業者によってはパソコンなどを利用し、カラーシミュレーションを行ってくれるところもあります。
しかしカラーシミュレーションはあくまで画面上の結果であって、色見本同様に実物とは印象が異なる可能性もあるのです。
そのため色見本やカラーシミュレーションに頼り過ぎると、実物とのギャップが発生する可能性があります。
このような自体を避けるためにも、できるだけ大きめの板に実物の塗料で作られたサンプルを業者に用意してもらうことをおすすめします。
2.試し塗りをしてもらう
また、業者の中には実際に塗装が始まる前に、実際の壁を使って大きめに試し塗りしてくれるところもあります。
依頼主から希望がなければ行わないという業者もありますので、契約する前に試し塗りをしてもらえるかどうかを確認しておくとよいでしょう。
試し塗りOKな業者であれば実際に壁に塗った色の印象を確認できるため、色の失敗を未然に防げる可能性が高くなります。
また、試し塗りをしてもらった場合でも、基本的には本塗りの時に試験塗り部分は隠れてしまいます。
試し塗りと本塗りで色を変えた場合でも、試し塗り部分の色が変わってしまう心配はありません。
3.外壁以外の色も意識する
外壁塗装の色選びでは、建物に対してどんな色が似合うかだけに焦点を当ててしまがちです。
しかし色選びを失敗しないためにも、周囲の景観に対しての配色にも気を配る必要があります。
周りの景色に対し塗装する色が被っていないか、逆に浮いて目立っていないかなどを冷静に確認してみましょう。
周りの景色を無視して色選びをしてしまうと、完成後に後悔してしまう可能性も高いのです。
また、建物自体の窓枠や雨戸などが汚れている場合には外壁が綺麗になる分、その部分の汚れが悪目立ちしてしまうこともあります。
さらに窓枠などの色に配慮せず、建物の色との相性が悪いと窓枠だけが浮いて見えてしまうこともあるのです。
外壁の色を選ぶ場合には、窓枠などの付帯部分や周りの景色などとの調和も考慮しながら選ぶことがポイントになります。
■おわりに
今回は、外壁塗装で失敗しないために依頼主が知っておきたいことについて説明してきました。
外壁塗装には定額が存在せず、一般の人からは相場がわかりにくいため、悪質な業者も混じっています。
優良業者選びをした上でお得に外壁塗装を行うためには、依頼主が外壁塗装に関する基本的な知識を身につけることが大切です。
まずはいくつかの業者を比較検討し、その中からより自分に合った業者を選んで打ち合わせしていくことをおすすめします。