外壁塗装は10~20年に1度程度やっておかないと建物の老朽化が進みやすくなり、雨漏りの原因にもなってしまいます。

でも外装塗装の工事にも結構な費用がかかりますし、その費用が適正かどうかは判断できないですよね。

 

だからといって、何も知らず、業者に言われるがまま契約するのは危険です。

知識が無い人を狙って法外な金額を請求する悪質な業者も残念ながら存在します。

 

対応策として、発注者が予備知識を持つことが重要になります。

発注する側に知識がある事が分かると業者も適正な金額を提示してきます。

難しい事はありませんので少し知識を蓄えて外壁塗装を注文しましょう。

 

ここでは適切な金額で外壁塗装を行ってくれる業者を見つける為に必要な知識をご紹介致します。

■外壁塗装費用の内訳を知ろう

外壁塗装の業者を探す上でまず重要なのが、外壁塗装の費用の内訳や相場を知っておくことです。

内訳を示さない業者は適切な金額を提示していない可能性があるため、必ず外壁塗装費用の内訳を提示してもらってください。

 

また、安いだけで、大した工事をしない業者に頼んでしまうと、工事をする意味が無くなってしまいます。

きちんと物の値段を把握して注文する事が安くて良い外壁塗装をしてもらう秘訣になります。

 

まずは外壁塗装工事を構成する費用の内訳をみていきましょう。

1.外壁塗装工事には4つの費用が存在する

外装塗装は材料費、足場代、人件費、諸経費の4つの費用で構成されており、割合も異なります。

材料が高価なものであれば材料費の割合が大きくなりますし、特殊な技術が必要な工事であれば人件費が高くなります。

 

材料費 2~3割程度 塗料や養生シート、シーリング材、サイディングボード等、外壁工事をする為に必要な材料の費用です。
足場代 2割程度 塗装工事は建物の周りに仮設の足場を設置して作業を行いますので、その設置費用が計上されます。
人件費 3~4割程度 塗装工事を行う人の人件費です。

新人やベテラン、外壁塗装の難易度で変化します。

諸経費 2~3割程度 交通費や駐車場代、塗装工事の許可、業者の利益や広告宣伝費などです。

材料費、足場代、人件費に含まれない全ての費用が諸経費に含まれます。

 

2.業者によってその内訳は異なる

4つの費用を紹介しましたが、これは業者によって内訳や割合が変動します。

 

小規模な工務店では広告費は一切取らないところもありますし、大規模な施工会社で広告を大々的に行って集客する業者もあります。

大規模な会社は広告費の他、本社の建物にかかっている費用や、本社の総務や人事の経費も諸経費に計上されます。

 

外装塗装工事に直接関係のない費用は、会社が大きくなる程多く含まれます。

その為、安くて良い塗装工事をする為には腕の良い地元の業者に頼むのが一番です。

ただし、大手は保証やメンテナンスが充実している場合もありますし、信用もあります。

このへんのバランスを如何にとるかは外壁塗装を発注する時点でよく見極めなければなりません。

 

見積もりを取ったり相場を調べたりする事でそういった傾向が見えるようになるので、しっかりと下調べをしておく事が重要ですし、実際に複数の業者に見積もりを取って比較検討する事が重要になります。

■外壁塗装における材料費とは

外壁塗装の内訳のうち、材料費は全体の2~3割程度であること事が通常である事は紹介しましたが、その割合が大きいか小さいかよりも、どの材料にどれだけの費用がかかっているかが重要です。

安い材料ですと当然全体に占める材料費の割合が小さくなりますが、折角工事をするのですから、しっかりした材料で工事をしなければ意味がありません。

 

そこで材料費にはどういったものが存在して、どの材料は値段が高くつくのかみていきましょう。

1.    材料費に含まれるもの

材料費には主に塗料と、養生する為の部材、およびそれらの作業をする上で不可欠な工具に分類されます。

項目別に確認していきます。

●塗装用の材料

塗装用の材量は大きく3つあります。

下塗り塗料 塗料は1度塗っただけではすぐに剥がれてしまいます。

表面上見える上塗り用塗料を塗る前にしっかりとした地盤を作る意味で下塗り塗料が必要になります。

上塗り用塗料 実際に見える、表面上の塗料です。

見た目や性能に直結します。

こちらの上塗りを二回行うのが一般的で、一回目の上塗りを中塗りという場合もあります。

シーリング材 コーキング材とも呼ばれます。

既存の外壁に生じたひび割れを密閉したり、サッシと外壁の接合部に使用したりする事で雨水の侵入等を防ぐ材料になります。

 

ここで紹介した塗料にはグレードがあります。

 

アクリル塗料<ウレタン塗料<シリコン塗料<フッ素塗料の順に金額と品質が高くなっていきます。

 

アクリルは安価ですが、耐用年数が4、5年と短く、すぐダメになってしまいます。

逆にフッ素系塗料は金額が高いですが、耐用年数は20年程度で非常に長いです。

 

こまめに塗り替えたい場合や、とにかくその場の費用を抑えたい場合はアクリル塗料が良いですが、足場費用などが回収のたびにかかるため他の塗料よりもかえって高くなります。

長持ちさせて最終的に費用を抑えたい方はフッ素塗料がお勧めです。

ウレタン塗料とシリコン塗料は、その間の価格帯、性能と思ってもらえれば問題ありません。

 

今現在、最もオススメなのはコストパフォーマンスに優れたシリコン塗料です。

 

フッ素塗料以外に高性能な塗料として、断熱性を上げるものや光触媒塗料が存在します。

こちらはさらに施工単価が高くなりますが、その分高熱費が安くなったり、環境に優しかったりします。

●養生用の部材

養生とは塗料が周りに飛散したり、塗料を塗りたくない箇所を保護したりする事です。

ここでは養生用の部材について紹介します。

メッシュシート 足場の外周部に貼るシートです、足場からの職人の転落防止や、塗料の飛散防止の効果があります。
ブルーシート メッシュシートでは編み目が大きいので細かい塗料が飛散する場合があります。

狭小地など、隣戸との間隔が狭く絶対に塗料を飛散できない場合に使用します。

また、地面の養生にはブルーシートが基本的に使用されます。

マスキングテープ 作業中に周囲の部材が汚れない様に保護する材料です。
マスキングフィルム マスキングテープはテープですので小範囲しか養生できません。

マスキングフィルムは大きな面積を養生する場合に使用します。

ポリフィルムシートとも呼ばれますが基本的に呼び方が違うだけです。

マスカー マスキングフィルムにテープが付いた商品です。
室外機カバー 室外機を塗装の飛散からカバーする商品です。
カーカバー 車を塗装の飛散からカバーする商品です。

 

●工具

塗装する上で欠かせないのが工具です。

基本的なものが以下です。

ハケ イメージ的には筆です。

細かいところの塗装に使用します。

ローラー イメージ的には掃除用のコロコロです。

大きな面積の塗装に使用します。

ヤスリ 塗装する前には外壁の傷や汚れなどの凹凸を取り除かないと、うまく塗装できません。

その凸凹を取り除くのに使用します。

カッター 塗装前、塗装後の凹凸取りに使用します。
皮すき イメージ的にはお好み焼きのコテです。

これで古い塗膜を除去します。

 

2. 劣化が進んでいると材料費も増えてしまう

塗装費用は外壁面積に左右します。

大きな建物ですと当然塗る範囲も大きくなるので費用も高くなります。

塗装費用は㎡あたりの施工単価で計算されます。

塗装費用=㎡あたり施工単価×外壁面積(㎡)

 

ですから、㎡あたりの施工単価の高い、グレードの高い塗料を使用するほど塗装費用は高額となります。

また、劣化箇所が多いと、その補修に費用がかかってしまいます。

外壁は雨風や紫外線、経年劣化、以前に使用した材料の悪さで日々劣化していきます。

ひび割れを見つけた場合などはすぐに補修すれば費用も少額で済みますが、放っておくとどんどん劣化していき、家の構造体に影響がでる事もあります。

 

そうなると高額なリフォーム費用が発生するので、外壁に異変を見つけたらすぐに対処する事をお勧めします。

■材料費は節約しすぎると危険

塗装費用を抑える為に、その内訳を知る事の重要性はお伝えしましたが、あまりに費用を抑える事に集中すると手抜き工事を行われる可能性もあります。

 

業者も利益を出さなければ営業を継続できませんので、過度に値引きを要求すると仕上がりに影響してしまうのです。

 

特に材料費を節約すると、例えば塗料に多めに水を入れて塗るような施工をされる恐れもあります。

あくまで、適正な値段で施工してもらう事が重要です。

1.よい材料がなければ工事を行うことはできない

外装工事を行うにあたって、どの塗料を使うかが非常に重要になってきます。

基本的に値段の高い塗料の方が性能や耐久性に優れています。

その結果、値段の安い塗料を使用するより、値段の高い塗料を使用する方が最終的に安くなるケースが多いです。

ですから、材料費は決してケチらずに必要な経費と割り切る事が重要です。

●過剰な値引き交渉はトラブルのもと

多くの善良な塗装業者は、建物を確認後、劣化状態に応じて適切な工事工程を組み、それに見合った見積もりを出してくれます。

塗装は工程が多いので簡単にできる作業ではなく、それ相応の費用もかかります。

 

それにも関わらず、「グレードが低い塗料にして費用を抑えてほしい」「予算が足りないのであと10万円安くしてくれたら契約する」などと過剰に値引き交渉を行うと、業者としては工事のランクを下げざるを得ません。

業者も商売でやっていますので、仕事は欲しいけども利益を確保しないといけません。

 

そこに過剰に値引きを要求すると、悪いことが起こってしまうのは簡単に想像できると思います。

塗装の性能が下がって、耐久性や性能が落ちると何の為にリフォームしているのか分からない結果となってしまいます。

 

過度な値引きは自分が損をすると考えておきましょう。

2.材料費をごまかす悪徳業者に注意

悪徳業者は必要以上に自分たちの利益や人件費は確保したいと考え、様々な手口を考え出します。

ここでは悪徳業者がよく行う手口をご紹介します。

●見積もりの内容を偽る

一番多いのが見積もりの内容を偽る手口です。

グレードが低いアクリル塗料を、耐久性が高いシリコン塗料や断熱塗料と偽って、機能が何も付いていない塗料で施工したりする手口です。

塗ってしまえば見ただけではプロでも判断が難しいです。

 

耐久性が低い塗料を利用すると外壁は早く痛みます。

しかし、「こんなものですよ。」言われれば、そんなものかと思ってしまいがちです。

 

普通、建物を建てる時には施工監理といって、家の所有者の為にチェックする工事監理者がいますが、外壁塗装だけでは、通常、工事監理者を雇う事はしません。

 

ですからご自身で塗料のグレードや性能をホームページで確認し、実際の工事の際はその塗料が使われているか、塗料の容器を確認したり、伝票を確認したりする必要があります。

●材料費を節約するために施工ルールを破る

見積もりを偽る以外に

  • 養生を怠って塗料をあちこちに飛散させてしまう
  • 塗料を規定以上に薄めて使用する
  • 3回塗りを省いて2回しか塗装しない

等、材料の使い方を間違えると本来の塗料の性能を発揮できない場合や、近隣トラブルの原因となる場合があります。

手口として、塗料を必要以上に薄める事はよく行われます。

 

塗料はベタっとしていて塗りにくい材料ですが、薄めると塗りやすく、渇きも早いので、材料費と人件費の節約になるからです。

 

しかも、この手口は見破るのが非常に難しいです。

塗料を薄める工程を自分の目で確かめる必要がありますが現実なかなか難しいと思います。

完全にお任せにすると、不正の手口を使われるので、作業の意味がわからなくても、傍で監視しておく事が重要になります。

 

ただ、四六時中塗装工事を監視することはほぼ不可能であるため、そもそも悪徳業者に頼まずに、優良業者に頼むというのが最も手っ取り早い解決方法といえるでしょう。

■おわりに

外壁塗装は非常に値段が高いので、材料費を削りたくなりますが、一番削ってはいけないのが材料費だという事を肝に銘じてください。

そして、その材料費がどういった性能があって、何故値段が高いのかを知る事が重要です。

結果として安くなる事もありますし、悪徳業者にも騙されなくなります。