外壁塗装工事にはトラブルがつきものだといわれますが、せっかく大きな費用をかけて塗装工事をするというのに、トラブルがつきものだなどといわれてしまうとこれから外壁塗装工事を行うのが心配になってしまいますよね。
今回は外壁塗装工事をする上でよく起こるトラブルの事例をいくつかあげ、被害を抑えるにはどう対処すべきか、また、そもそもそれらのトラブルを未然に防ぐにはどうすればいいのかについて解説します。
このページの目次
■外壁塗装のトラブルは事前に対策できる
外壁塗装はさまざまなトラブルが起こりやすい工事ですので、業者選びを慎重に行わないとトラブルに巻き込まれるケースが多く、外壁塗装を行いたくてもなかなか実行に移せないという人も少なくありません。
あるいは、外壁塗装工事ではトラブルが起こりやすいということを知らずに気軽に工事を発注してしまって、思わぬトラブルの被害に巻き込まれてしまう人もいます。
ですから、外壁塗装工事を検討するときには「うちに限ってトラブルは起きないだろう」などと考えたりせず、「トラブルはいつ起こってもおかしくない」と、緊張感を持って計画を立てていくべきです。
外壁塗装工事ではさまざまなトラブルが起こりやすいですが、事前に対策を立てていれば防げるケースはかなり多いということを覚えておきましょう。
1. 外壁塗装にはトラブルがつきもの
- 施主に知識がないことが多く、すべてを業者に任せてしまう
- 業者が施主にも分かりやすいように説明しない、施工ミスがある
- 悪徳業者にだまされてしまった
など、外壁塗装ではこのような理由でトラブルが発生することがほとんどです。
外壁塗装工事には専門的な知識が必要とされますが、工事を依頼する側はそうした知識を持っていないことの方が多いため、
- 「高額な工事代金を支払うのだから業者が全てきちんと対応してくれるはず」
- 「これだけ払ってまさか手抜き工事をするわけがない」
などと思い込みがちです。
また、外壁塗装は大きな工事ですから事前準備や工程など作業が広範に及びます。
本来なら塗装業者がそれらの一つ一つについて施主にも分かりやすいように説明をするべきなのですが、施主から特に質問がなければ工事内容について納得してもらえたと解釈してしまうこともあります。
さらに、施主の知識不足につけこむ悪徳業者が外壁塗装業界には非常に多いことも、塗装工事でトラブルが起こる大きな原因となっています。
工事には、塗装業者や職人だけではなく施主や家族、近隣の住民など多くの人が関わることになるので、あらかじめ何らかのトラブルが起きるかもしれないと予測して予防策をたてておくべきでしょう。
何の予防策も立てず、トラブルが発生したら塗装業者にすべて丸投げしてしまうという態度ではなく、起きてしまったトラブルがどのようなものであるかをしっかり判断して、自分で対策できることはないか積極的に行動することが、トラブルを解決するためには非常に重要なのです。
2.ほとんどのトラブルは事前に対策できる
外壁塗装工事のトラブルは、きちんと対策を講じれば起こらずに済む場合もありますし、また、万一トラブルが起こったとしても被害を最小限にとどめることができます。
ただし、トラブルをうまく回避するには
- どのようなトラブルが実際に起こっているのか
- そのトラブルの原因が何であるのか
を施主がしっかり把握していなければなりません。
よくある外壁塗装のトラブル事例を次章でご紹介しますので、自分の周りにもトラブルの種になりそうな事案がないかよく考えてみてください。
■外壁塗装のトラブルの原因3つと事例
外壁塗装工事で起こるトラブルの原因は、
- 発注した塗装業者とのトラブル
- 近隣住人とのトラブル
- 悪徳業者とのトラブル
の3種類に大別されます。
トラブルが発生してしまった時にはまず何が原因であるか冷静に考えてみましょう。
1. 発注した業者とのトラブル
たとえ評判の良い優良業者でも、また、信頼して頼んだ業者でもトラブルを起こしてしまうことはあります。
業者の過失によってトラブルが発生した場合には、早急に補修を行ってもらう必要がありますが、業者に過失がない場合や施主の都合によって発生したトラブルは無償で補修してもらうことはできません。
●業者の過失による施工ミス
- 使用する塗料を間違えてしまった
- 私物を壊してしまった
- 工事車両をぶつけてしまった
- 現場で事故が起きてしまった
- 塗ってはいけない所を塗ってしまった・または塗るべき所を塗り忘れてしまった
このようなトラブルを起こしてしまったときは、塗装業者がすぐに対応してくれるのが普通ですが、中には開き直って何の対応もしてくれない悪質な業者もいます。
業者の過失による施工ミスは基本的には業者自身が保証すべきですから、開き直る業者に言い訳をさせないためには施主自身も契約書と工事指示書の内容をよく読んで、業者にどのような過失があったかを指摘できるようにしておきましょう。
契約内容や法律の適用範囲によって保証内容が左右される場合もありますが、施主が契約書や工事指示書の内容をしっかりと把握していれば、業者の開き直りによってトラブルが拡大するようなことにはならないはずです。
●打ち合わせと仕上がりの状態が違う
- 工事指示書の記載内容と違っている
- 指示が勝手に書き換えられている
- 営業担当者と作業員の認識に違いがある
- 完成後の仕上がりが思っていたのと異なる
など、打ち合わせ時の話と実際の仕上がりとに相違があるようなケースでは、それが過失かどうかを見極めることは非常に困難です。
業者がきちんと工事指示書に従って施工していた場合には、いくら工事の仕上がりが予想していたのとは異なっていても、無償で補修に応じてもらうことは難しいでしょう。
たとえば、「色見本帳で見たときのイメージと違うから塗り直してほしい」という要求は通りません。
ただし、
- 業者が指示通りに施工しなかった
- 工事内容に関して嘘をついていた
- トラブルに発展しないよう勝手にミスを隠ぺいした
など、明らかに業者側に非があれば、損害賠償を請求できるケースもあります。
ですが、打ち合わせと仕上がりの違いに業者の過失が認められるかは素人では判断がつかないことも多いですから、どうすればよいのか迷ったときは、自治体や民間の相談窓口など第三者機関に相談してみてください。
その際には事実関係や経緯を説明できるように資料一式をそろえておくとよいです。
●職人の態度
- 挨拶をしない
- 敷地内の物を勝手に使う
- 仕事と関係のない雑談を長時間している
- マナーが悪い
など、職人の態度がトラブルを引き起こしてしまうこともあります。
常識の範囲内であれば目をつぶってやり過ごすこともできますが、あまりにもマナーに欠けるような行動が見られる場合は会社に連絡して注意してもらいましょう。
詳しくは後述しますが、マナーの悪い職人は近隣トラブルを招くリスクもありますから充分に注意しなければなりません。
近年は、塗装業者自身が顧客や近隣住民に対するマナーを重視するようになってきているので、通常はすぐ対応してもらえるはずです。
家の工事をするというと、職人にお茶やお菓子を出したりトイレを貸したりするイメージがありますが、施主とのトラブルを避けるために
- お茶やお菓子は受け取らない
- トイレは公共のものを使う
- 私語は禁止
などの規定を設けている業者が増えています。
2.近隣住人とのトラブル
- 臭いのトラブル
- 騒音のトラブル
- 塗料飛散のトラブル
- 近隣住人と職人のトラブル
など、外壁塗装時の近隣住民とのトラブルの多くは、「事前に何も知らせがなかった」ことが原因で発生しています。
足場工事をしたり、職人が作業したりすれば物音や話し声がしますし、塗装を行えば塗料独特のにおいが発生しますから、事前に工事を行うことを伝えるのはマナーとして当たり前のことだといえます。
このようなトラブルを防ぐには、近隣への事前の挨拶回り、工事内容の説明を徹底してくれる業者に工事を依頼しなければなりません。
事前の挨拶回りは業者がしてくれることが多いですが、それよりも先に施主自身が近所にひとこと挨拶しておく方がより安心してもらえますし、印象もはるかによくなります。
工事開始前だけではなく、工事期間中や工事完了後にも迷惑をかけたりしていないか尋ね、困ったことや気になったことなどを連絡してもらうようにしておけば大きなトラブルになることはまずないでしょう。
また、職人のマナーも非常に重要です。
- タバコを吸いながら塗装をしている、吸殻を落としたままにしている
- 大声で雑談をしている
- 車両の駐車マナーがよくない
などは、近隣の住民にとっても決して気持ちの良いものではありません。
そのようなことがあった場合にはすぐに近隣住民には謝罪をし、塗装業者にも連絡を入れてきちんと対応してもらうようにしてください。
3.悪徳業者によるトラブル
外壁塗装工事は相場が分かりにくいため、業界にはそれにつけこむ悪徳業者が非常に多くいるといわれており、
- 訪問販売系業者とのトラブル
- 相場以上の高額請求のトラブル
- 頼んでもいない追加請求のトラブル
などが後を絶ちません。
国民生活センターに寄せられるリフォーム工事の相談件数は毎年7,000件ほどと多く、外壁塗装駆け込み寺に来る相談も増えています。
悪徳業者にだまされないためには、そうした業者を見分けるための知識を身につける必要があります。
たとえば、訪問業者の営業マンはソフトな口調と巧みな話術でその場で契約を取りつけようとすることもありますが、突然やってきて詳しい調査もしない状態で契約の話を持ち出すことなど通常ではありえないため、どのうような魅力的な提案であっても即決をしてはいけません。
■トラブルを避けるための方法
外壁塗装工事でトラブルが起こるかどうかは、工事前の業者選びに左右されます。
トラブルのリスクを減らしたい、また、万一トラブルが起きた場合でも速やかに対応してくれる業者を探したい、と考えているのなら以下のことをぜひ守ってください。
1. 複数社から見積もりを取って決める
工事を依頼する業者を決定する時には、必ず複数の業者から見積もりをとって細部まで比較してみてください。
もちろん比較するのは見積金額だけではなく、
- 見積書は詳しく記載されているか
- 技術面の評判はどうか
- 過去の施工事例を確認できるか、
など、細かいところまでしっかりチェックしてください。
また、トラブルは初動が肝心ですから、トラブルが起きたときすぐに謝罪や対応に動いてくれる業者を選びたいです。
特に、近隣住人との間にトラブルが発生した場合には、業者が迅速に対応してくれないと被害を拡大させてしまいますので、トラブルが起きた時どう対応してくれるかについても各々の業者に直接訪ねてみましょう。
実際に過去にあった事例を紹介しながら対処法を提案してくれるような業者なら安心して工事を依頼できそうです。
その他、追加工事や追加料金が発生するのはどのような場合か、また工事保証についてはどうなっているのかなど、大切な内容は打ち合わせの時にきちんと書面で取り決めておくことも重要です。
2.業者に工事前の挨拶回りを徹底してもらう
工事前の挨拶回りは外壁塗装業者が行ってくれるので特に準備する必要はありませんが、それとは別にご近所付き合いのマナーとして施主自身もひとこと挨拶しておく方が色々な面でスムーズに運ぶことが多いです。
近隣の人の中には、工事をするならできるだけ早く知らせてほしいと考える人もいますし、挨拶回り自体が苦手な人もいますので、近隣の人たちとの関係性などについても業者と情報を共有しておくとよいでしょう。
しっかりした業者なら、ご近所付き合いがうまくいっていないお宅に対しては特に丁寧に挨拶してくれるなど、状況に応じてうまく対応してくれるはずです。
3.訪問販売系業者と即決しない
特に依頼もしていないのに突然訪ねてくる訪問販売業者は、悪質な業者である可能性が非常に高く、
- 「拝見したところお宅の外壁はとても危険な状態です」
- 「今ならモニター価格でお得に工事できますよ」
など、不安をあおったり契約を急がせたりするような業者は決して信用してはいけません。
もし、そのような訪問業者の説明を聞いて外壁塗装工事を急いだほうがよいだろうかと不安になったり、見積書を渡されて今なら特別価格ですからと契約を促されたりしても、決してその場で契約書にサインなどしないことです。
外壁塗装の適正な価格を知るため、そして信頼できる業者を見極めるためにも、外壁塗装工事契約を結ぶ場合には必ず複数の業者から見積もりを取って比較をしてください。
■おわりに
外壁塗装工事にはさまざまなトラブルつきものですから、万一トラブルが発生した場合には、まず慌てずに塗装業者に相談をしましょう。
多くのトラブルは自分自身で対策を立てていれば防ぐことができますので、トラブルを未然に防ぐための準備をして気持ちよく工事を迎えましょう。