皆さん、外壁のリフォームというと、壁の塗装の塗り替えをイメージされる方が多いと思いますが、外回りにはベランダがあるお宅も多いのではないでしょうか。

外壁のリフォームを検討される時に、ベランダのリフォームをどのように考えたらよいのか、また、ベランダのリフォームには、どのような内容があるのかなど少し詳しく解説します。

■外壁塗装のリフォームについて確認しておこう

まずは、 外壁塗装のリフォームについて、工事の内容やリフォーム時期の目安、予算などについて、確認していきたいと思います。

1.外壁塗装の工程と工事内容

工程と言われる工事の順番を確認しながら、合わせて工事内容の説明をさせていただきたいと思います。

●足場設置

外壁塗装を行うための足場と言われる部材を外壁の外側に、作業がしやすいように、通常30~40センチ程度離して設置していきます。

 

この足場に必要な設置スペースは、50〜60センチ程度です。

 

足場の骨組みができあがったら、塗料や、チリなどが飛び散らないようにシートを設置します。

●高圧洗浄

外壁塗装リフォームは、古い塗装の上に新しい塗装を行うのですが、古い塗装が汚れているまま、新しい塗装をすると、塗装のめくれなどの原因となり、仕上りに悪影響を及ぼしますので、しっかりと水洗いを行います。

 

普通に洗うのでは、なかなか汚れを取りきりませんので、高圧洗浄機を使用して、高い水圧で洗浄するのが一般的です。

 

参考記事:高圧洗浄・バイオ洗浄の単価、費用相場について。無料は危険

●下地処理

外壁の破損やヒビ割れ、下地の浮き上がりなどを調査確認して、不都合なところを見つけた場合は、その状態に合わせて修理を行います。

 

この補修作業をしっかりと行わないと、せっかくキレイに仕上がっても下地ごと浮き上がるなどの不具合がおきてしまう事がありますので、下地処理はとても大切なのです。

●外壁塗装 下塗り

新しく塗る下地がしっかりとキレイになったら、新しい塗装の下塗りとなります。

 

この下塗りとは、プライマーやシーラーと呼ばれる、次の中塗り塗料と下地面とをしっかりとくっつける接着材的な役割を果たす材料を吹い付けていきます。

この作業をしっかりと行わないと、これ以降の塗装がはがれてしまう原因となります。

●外壁塗装 中塗り

この中塗りと呼ばれる作業は、次の上塗り作業と同じ塗料を使って塗っていきます。

考え方としては、上塗り作業を2回行うと思っていただいて問題ありません、上塗り作業一回だけでは、十分な塗装の厚みがつけられ無いので、2回に分けて行います。

 

無理に一回で終わらそうとすると、塗り厚が一定にならず、仕上りにムラができる原因となりますので、必ず中塗りを行うように、契約前に見積書や工程表をしっかりと確認して、業者さんにも念を押しておくことが大切です。

 

工事中も工程表に沿って2回目を塗っているか確認するのが良いでしょう。

 

もし、契約前に確認をした際に、『うちは腕が良いから大丈夫』などと言って1回塗りを正当化する業者さんは要注意ですので、契約は考え直してください。

 

●外壁塗装 上塗り

中塗りが終わったあと、もう一度同じ塗料で塗って仕上げるのが上塗りです。

最終の仕上げとなりますので、ムラなどがないように仕上りを意識して塗る事が大切です。

 

●足場解体

足場が必要な作業が完了したら、足場の撤去作業を行います。

足場の上の清掃を行い、シートをめくった後足場部材の解体を行います。

 

足場の解体が終わった後の清掃も必要となります。

2.外壁のリフォーム時期の決め方やその他の注意点

●外壁リフォーム時期の見極め方法

まず一番シンプルな考え方としては、前回の塗装から10年程度が次の塗装をする目安となります。

 

その他のリフォーム時期の見極め方としては、

  • クラックと呼ばれるヒビ割れが目で見て分かる
  • 塗装面を手で触った時にチョークの粉のようものが手に付く

などの場合はそろそろリフォーム時期かなと考えていただいて良いでしょう。

 

参考記事:外壁塗装の塗り替え時期のサインを写真付きで解説します

●外壁リフォーム工事の概算について

予算や相場について見ていきたいと思います。

 

ここではよくある日本家屋の総床面積30坪程度(外壁面積約120㎡)とした場合を考えてみましょう。
塗装の種類により性能や耐久性に違いがありそのグレードにより価格に差が出てきます。

 

塗料についてのグレードはフッ素>シリコン>ウレタン>アクリルで、シリコン系が性能コストバランスなどで一番採用されています。
フッ素とシリコンとの間のラジカル塗料という種類も最近出てきており、こちらも人気です。

 

価格相場 ¥500,000~¥900,000程度

 外壁面積約120m2とした場合
足場 600 円/㎡ 72,000
高圧洗浄 200 円/㎡ 24,000
養生 350 円/㎡ 42,000
飛散防止ネット 150 円/㎡ 18,000
シーリング(打ち増し) 750 円/㎡ 90,000
下地補修  1 100,000
下塗り(シーラー) 700 円/㎡ 84,000
シリコン系塗料
(中塗り・上塗りの合計2回) 2,500 円/㎡ 300,000
合計 730,000

 

下地補修については、下地の状態があまり良くない状態(下地の浮きやめくれ、ひび割れ)が多いとその分価格が上がります。

 

業者さんの経費(例えば近隣が近くてやりにくく、現場管理の負担が多いなど)やまた利益幅(各社それぞれ違います)によっても価格が上下いたします。

■ベランダのリフォームについて

ベランダのリフォーム工事を考えるうえで重要なポイントは防水工事です。

 

防水工事のリフォーム時期の目安は外壁塗装と同じで約10年が目安となります。

その他、大きなヒビ割れやはがれ、浮きなどがある場合は時期に関係無く早めのケアが大切です。

1.ベランダ床の改修方法は

 

●現状がモルタルやコンクリート床の場合

新築当初のままなどで、表面がコンクリートやモルタルなどのセメント系の場合は、ほとんどが、セメント系の床の下に防水層があり、その防水層を直接改修しようとすると、セメント系の部分を全てめくらなくてはならなくなるため、とても大変です。

 

ほとんどの場合、セメント系床の上からだと、ウレタン系の塗膜防水や、FRP防水、化粧シート系防水工事と特に施工ができない工法はありません。

 

  • 塗膜防水が施工されている場合

 

新築当初からか、もしくは、すでにリフォームを行なった事があり塗膜防水を行なっている場合は、その上から、同じ塗膜防水工事を行うか、FRP防水、化粧シート系防水工事を行います。

 

特に施工ができない工法はありません。

 

  • FRP防水が施工されている場合

 

現在が、FRP防水の場合は同じFRP防水か、塗膜防水を行います。

 

下地調整には、サンダーにより下地調整を行いますので不陸が大きいため化粧シート系防水は不向きだと思います。

 

  • シート防水が施工されている場合

 

現在がシート系の防水だとシートを撤去した後、同じようなシート系の防水か、下地調整を行わなければなりませんが、塗膜防水、FRP防水を行います。

 

下地調整などの条件付きですが、施工方法の選択は可能です。

2.ベランダ床の防水工事

 

防水工事の種類や、その防水工事の価格相場や工程について確認していきたいと思います。

●塗膜防水

 

価格単価相場   ¥4,500〜¥6,000/m2 程度(30㎡以上)

10㎡程度のベランダだとすると、一式計上となり、

クロス無し 一式 100,000円程度

クロス有り 一式 120,000円程度 となります。

 

工程(クロス無し)の場合
1 下地処理 清掃やひび割れの処理などを行います
2 プライマ- 中塗り材と下地との接着を良くします。
3 中塗り ガラスマットの上からポリエステル樹脂塗り込み
4 上塗り 中塗りの上からさらにポリエステル樹脂をしっかりと塗り込みます
5 トップコート 防水層を紫外線や摩擦などから守るための保護塗料を塗ります

 

工程(クロス無し)の場合
1 下地処理 清掃やひび割れの処理などを行います
2 プライマ- 中塗り材と下地との接着を良くします。
3 中塗り ガラスマットの上からポリエステル樹脂塗り込み
4 クロス敷き込み ガラスクロスを敷き込み塗り込みます
5 上塗り 中塗りの上からさらにポリエステル樹脂をしっかりと塗り込みます
6 トップコート 防水層を紫外線や摩擦などから守るための保護塗料を塗ります

液状の防水材を塗り込んで仕上げていくこの方法は、しっかりと工事を行うと、つなぎ目なく防水層を造ることができますのて、信頼性が高く仕上がります。

立ち上がり(水平面から垂直方向に上がった部分のこと)や、突起物、溝などの役物回りも塗り込んで仕上げますので、容易に作業ができるのが利点です。

ガラス繊維でできたクロス(布のようなもの)を塗り込むことで下地に発生するひび割れなどが防水層に出てくるのを防ぎます。

●FRP防水

価格単価相場   ¥5,000〜〜¥7,000/m2 程度(30㎡以上)なので、10㎡程度のベランダだとすると、一式計上となり、一式150,000円程度となります。

 

工程
1 下地処理 清掃やひび割れの処理などを行います
2 プライマ- 中塗り材と下地との接着を良くします。
3 下塗り ガラスマット貼り付け用のポリエステル樹脂塗り込み
4 ガラスマット 補強用ガラスマットを下塗りに貼り付け中塗りを重ねます
5 中塗り ガラスマットの上からポリエステル樹脂塗り込み
6 上塗り 中塗りの上からさらにポリエステル樹脂をしっかりと塗り込みます
7 トップコート 防水層を紫外線や摩擦などから守るための保護塗料を塗ります

ガラスマットをポリエステル樹脂で固めてFRPと呼ばれるプラスチックのような防水層を成形します。

FRPは船や浴槽などにも使われる素材ですのですので、その防水性能や強度に対する信頼性はとても高いです。

立ち上がりや、突起物、溝などの回りもその形に合わせてガラスマットを張り込んでいかなければならないので、溝などが多いと少し不向きな工法です。

また、この上から改修を行おうとする場合はかならす、表面の目荒らしを行わなければならないので、全面を一度削らなければならないため、少し大変です。

●シート防水

 

価格単価相場   ¥5,000〜〜¥10,000/m2 程度(30㎡以上)

 

塩ビシート密着工法の場合、10㎡程度のベランダだとすると、一式計上となり、一式100,000円程度となります。

 

工程
1 下地処理 清掃やひび割れの処理などを行います
2 接着剤塗布 シート用接着を塗布します
3 シート敷き込み シート用接着を塗布しますを敷き込みます
4 端末シール シートの端から水が入らないようにシール材を施工します

平場を長尺化粧シート貼り

立ち上がりや溝など役物部分を塗膜防水とした場合、10㎡程度のベランダだとすると、一式計上となり、一式150,000円程度となります。

 

立ち上がりや溝など役物部分

1 下地処理 清掃やひび割れの処理などを行います
2 プライマ- 中塗り材と下地との接着を良くします。
3 中塗り ガラスマットの上からポリエステル樹脂塗り込み
4 クロス敷き込み ガラスクロスを敷き込み塗り込みます
5 上塗り 中塗りの上からさらにポリエステル樹脂をしっかりと塗り込みます
6 トップコート 防水層を紫外線や摩擦などから守るための保護塗料を塗ります

平場の工程

工程
1 下地処理 清掃やひび割れの処理などを行います
2 接着剤塗布 シート用接着を塗布します
3 シート敷き込み シート用接着を塗布しますを敷き込みます
4 端末シール シートの端から水が入らないようにシール材を施工します

バルコニーなどの比較的狭いスペースのシート防水は長尺化粧シート防水+塗膜防水が適しています。

強度や仕上がりの見た目からも長尺化粧シートを用いるのがオススメです。

 

広い面積のベランダでシートのジョイントが必要になる場合は塩ビシート防水が適しています。

2.その他付帯工事など

ベランダには、手すりや物干しなど、いろいろな部材が付属していることがよく見られます。

特に手すりなどの柱が床や、立ち上がり部分に埋まっている場合は、そこからの水の侵入をくい止める必要がありますので、その柱の回りにシーリングを行うなどの処置が必要です。

その柱が、鉄製などで腐食してしまっている場合は、アルミ製などへの取替えの検討も必要です。

いくら防水を新しくしても、付属部材から水が入ってしまうと、せっかくの防水が台無しになってしまいますので注意してください。

■外壁リフォームとベランダリフォームは一緒の方がお得?

 

1.足場の使い回しができるからお得

 

多くの場合、外壁リフォームと防水リフォームの時期は10年程度とされており、ほぼ同じサイクルでやってきます。

 

外壁リフォームには必ず足場が必要なため、ベランダリフォームを同時に行うとこの足場を活用することが可能で、足場を使い回すことにより、資材の搬入や、廃材の搬出などがスムーズに行うことができますので工期を短縮することができます。

 

また立ち上がりの天端などの工事を行う際、足場があると外側からも作業ができるため、作業性がよくなり、質の向上とコスト削減につながります。

 

工期や、質、コスト面からもメリットが多いので、できるだけ一緒に行う方がよいと思います。

 

2.足場の使い回しができない共用できない場合はある?

 

外壁リフォームを行うための足場がベランダリフォームを行う際に使い回しできないケースとしては、リフォームしようと思うベランダの上部壁を改修するのに、そのベランダ自体に足場を立てなければならず、その足場が邪魔となり防水がかけられない場合は撤去が必要となることがあります。

 

事前にベランダのリフォームを行うことを前提に足場の設置を考えておくと、さほど広くない1メートル程度のベランダであれば足場の一部を床から浮かして設置するなどの方法で、途中で足場の解体を行う必要が無いように施工することも可能です。

 

外壁リフォームとベランダリフォームを同時に行う場合は事前にしっかりと決めてから取りかかるようにしてください。

 

3.ベランダリフォームは足場が無くても可能?

ベランダリフォームは足場が無くても可能ですが、足場がないと屋外からの出入りが難しくなるため、室内を通らなければならないことが多くなり、在宅しておかなければいけないことが増えてしまいます。

 

また、足場が無いと立ち上がりや腰壁の天端の施工がやりにくくなってしまいます。

4.一緒に実施するメリットとデメリットはある?

ベランダリフォームを個別に行なった場合は1週間程度必要ですが、外壁リフォームと同時に行う場合は工程にしっかりと組み込むと、外壁作業と同時に作業することができることが多くあり、数日の延長で済むと思います。

 

ベランダへの出入りや搬出入が外部からスムーズに行えることによってコスト圧縮や工期短縮ににつながります。

 

一緒に実施するデメリットとしては、当然の話ですが、外壁リフォームだけを行う場合に比べて、数日工期は延び、全体でのイニシャルコストは多くかかります。

 

■工事発注までの流れや注意点

1.塗装工事や防水工事を行う時期や発生しているサインをみて実施を検討する

 

外壁塗装とベランダ防水のリフォームサイクルは同じ10年位ですので、新築もしくは、前回のリフォームからの期間が10年程度経過しているか、もしくは、下記の現象が目に留まりましたらそろそろだとお考え下さい

 

  • 塗装の場合
  • ひび割れ
  • チョーキング(塗料が劣化して粉状になってしまっているなどの現象)
  • 防水の場合
  • 雨漏れの有無
  • ひび割れ
  • 浮き
  • めくれ

 

上記のような現象が見られるとリフォーム時期のサインですので、そろそろリフォーム時期かなと考えてください。

 

2.見積もり依頼を検討する

リフォーム時期にあてはまり、リフォームしようと考えたら、次は見積り依頼を行います。

知り合いの業者さんに依頼するのか、ネットで検索したり、一括見積りサイトを利用して、見積り依頼をしましょう。

 

見積り依頼をする場合は、比較検討のために、できるだけ2社以上にお願いして相見積もりしましょう。

 

この時の注意点は2社以上に見積りをお願いするということは、必ず1社以上にはお断りをしなければならなくなりますので、相見積もりをしていることを事前に伝えておくとよいでしょう。

 

3.見積り実施

見積り依頼をした後は、各業者さんが現地確認と実測のために見にきます。

気になるところは必ず伝えて、作業が必要な場合は見積りに入れておいてもらうようにしましょう。

 

そして、各業者さんが、どんな人がどんな形で見に来られるのか、よく確認しておいてください。

 

この時の印象も次項目の業者さんの選定のポイントとなります。

4.業者さんの選定

見積りが提出されたら、業者さんの選定を行います。

 

選定のポイントは当然、見積り額の上下も大切ですが、さらに大切なのはその中身です。

 

チェックポイントとしては、

  • 見積り項目に抜けがないか
  • 数量に大きな差は無いか
  • 明細に一式工事は少ないか(基本的には数量で記載されているか)

などを確認してください。

 

その他、現地調査を行う際の印象や、工程表が提出されているか、その内容や工期の長さなども確認してください。

 

保証書の発行される工事や内容その期間なども大切なポイントですので、しっかりと比較してください。

■工事着工から完成・引き渡し

せっかくのリフォーム工事ですから、着工から完成までトラブル完了したいと思われますよね。

そのポイントについて確認してみましょう。

 

1.ご近所への配慮

外壁のリフォーム工事を行う際には、少なからずご近所にご迷惑がかかりますので、あいさつ回りをどのように行うのかや、業者さんに注意して欲しいことなどをしっかりと伝えておきましょう。

2.工事の進行具合と工事項目

工事の項目は見積書に、工事の順番や進行状況は工程表に記載されています。

見積書に記載されている工事項目を工程表で順番と合わせて確認しましょう。

確認していく上で、少しでも疑問があれば担当者に確認しておきましょう。

3.保証内容や保証書を確認しましょう

業者さんによって、発行される保証書の種類や、内容が違います。

契約前にどのような保証書を発行してもらえるのか確認しておき、完了後に必ずもらうようにしてください。

4.お金の支払い時期について

工事代金の支払い時期や方法としては、

  • 契約時に支払う着工金
  • 工事がある程度まで進んだ時点で支払う中間金
  • 工事が完了した後に支払う最終金

という方法がありますが、できるだけ工事が完全に終わった時点で支払う最終金の方法がベストです。

工事が終わる前に支払ってしまうと、業者さんが途中で工事をやめてしまったり、工事内容に不具合があったりした時に取り返しがつきません。

 

■本記事のまとめ

みなさんいかがでしたでしょうか、参考になりましたでしょうか。

外壁リフォーム、ベランダリフォームの知識が少しでも深まり、失敗のない素敵なリフォームができることを期待したいと思います。