家の外壁をリフォーム工事するとき、白で塗装する人は少なくありません。
無難でどんな建物にも合う白い外壁ですが、デメリットもあります。
白い外壁塗装で失敗しないためにも、この記事では、「白」のニュアンスの違いや白い外壁のメリット・デメリット、そして色に重点を置いた施工会社や塗料の選び方も紹介します。
このページの目次
■外壁塗装で選ばれている白の種類
一口に「白」といっても、青みや赤み、黄みなど、微妙に色味が異なる種類があるので、どんな白を選ぶかによって、建物の雰囲気も大きく変わってきます。
また、塗料メーカーで現存している塗料では、白の種類が数多くあります。
施工業者との打ち合わせにおいては、塗料選びのイメージをある程度持って臨まないと、色選びだけで多くの時間を割いてしまい、防水工事や補修工事まで打ち合わせの時間が回りません。
色選びをスムーズに行ない、イメージ通りの白い外観にするために、ここでは白の種類を大まかに知っておきましょう。
1.青みがかった白
まずは、アイスブルー、スノーホワイト、胡粉色(ごふんいろ)など、「クールホワイト系」とも呼ばれる青みがかった白です。
淡いブルー色が入った白は、ネイビーブルー系、グレー系、ブラック系を組み合わせると、クールな印象がより強まります。
モダンなデザインの建物に対しておすすめカラーで、きりっとした雰囲気は遠くから見ても目立ちます。
2.赤みや黄みのある白
もう一つは、パールホワイト、ナチュラルホワイト、アイボリー系、クリーム色系など、「ウォームホワイト系」とも呼ばれる赤みや黄みのある白です。
赤系などの暖色系、イエローなどの膨張色などを組み合わせると、ナチュラルな印象がより強まります。
カントリー風の建物におすすめの白で、赤みや黄みのある白は穏やかで周囲との調和もしやすく、あまり目立ちません。
■白い外壁のメリット・デメリット
外壁塗装は何度も頻繁に塗り替えることは容易ではありません。
足場設置や補修工事、人件費など価格が結構かかりますので、仮に色選びで失敗したと思っても、一度塗ったら10年間はそのままで過ごす必要があります。
白で塗装する前に、白い外壁のメリットだけでなく、デメリットも知っておくことで、失敗の可能性を少しでも低くしましょう。
1.白い外壁のメリット
白い外壁は、どんな周囲の建物とも調和しやすく、組み合わせ次第ではクールな印象にもナチュラルな印象にもなるので、理想のイメージに近づけやすくなります。
詳しくは以下で説明しましょう。
●どんな建物にも調和する
白は協調性が高いという特徴があります。
高級感あふれる豪邸、デザイナーズハウス、ナチュラルな家など、自分の家だけでなく周囲の建物がどんな雰囲気でも、白は合う色です。
自宅をピンク系やグリーン系に外壁塗装したら、明らかに周囲から浮いてしまいます。
●組み合わせる色次第でナチュラルにもクールにもなる
また、白はベースカラーに使いやすい色でもあります。
ベースカラーとは、建物の60%~90%に使われている色のことです。
ベースカラー以外の使用割合の少ない色をアクセントカラーと呼び、ベースカラーを引き締める効果があります。
ベースカラーとアクセントカラーの組み合わせによって、以下のような雰囲気をもたらすことができます。
ベースカラー | アクセントカラー | 雰囲気 |
白色 | オレンジ色
茶色 |
ナチュラル |
白色 | 黒色
ネイビーブルー |
モダン |
ブルー | 白色 | 北欧風 |
●どんな塗料でも白はある
さらに、日本ペイントなどの大手塗料メーカーはもちろん、大手ではない塗料メーカーであっても、必ず白は標準色としてラインナップされています。
「人気塗料だから使いたかったけど、色がないから諦める」ということは、白に関してはありません。
ただし、壁の色や風合いを生かせるクリアー塗料はその名の通り、無色透明しかありません。
2.白い外壁のデメリット
周囲になじみやすいメリットがある白い外壁ですが、その白さゆえ汚れが目立ちやすい、周囲の景観次第では浮く可能性がある、特徴がないなどの注意点があります。
詳しくは以下で説明しましょう。
●汚れが目立ちやすい
ホコリ、排気ガス、土などの空気中の異物により、どんな外壁でも汚れの付着を避けることはできません。
ただし、白い外壁は他の色と比較して、雨筋の黒い模様などの蓄積した異物が目立ちやすいです。
そのため、他の色の外壁と比較して汚れるスピードが早く感じる恐れがあり、清潔感を保つために頻繁に水洗いなどをする必要があるデメリットがあります。
白と真逆の黒い外壁も汚れが目立ちやすいので、白や黒の塗料を外壁塗装に使用する際には、後ほど説明しますが、親水性の高い塗料を選ぶといいでしょう。
●周囲の景観次第では浮いてしまう
白は周囲と調和しやすい色ですが、ブラウン系やベージュ系の住宅の街並の中にぽつんと白い外壁の家があると、周囲から浮くかもしれません。
例えば、錦帯橋で有名な山口県岩国市横山地区の景観ガイドラインでは、外壁に以下のような色の決まりがあります。
色の例 | 可否、指定色 |
全部白 | ○ |
全部黒 | ×(焼き杉板張りの黒は○) |
白ベースに白以外の横縞 | × |
白ベースに白以外の縦縞 | × |
上下の色分け | × |
木質系サイディング | 木の自然色 |
土壁 | 自然色(茶色、土色) |
板張り | 素材色または焼き杉板張りの黒色 |
景観ガイドラインがない地区でも周囲から浮く可能性のあるときには、屋根部分やサッシ、雨樋の色を白以外に調色すると良いでしょう。
特に、外壁だけでなく屋根材やサッシまで一色で塗られていると、奇妙な連想を抱かれかねませんので、基本的にNGです。
■白い塗料を選ぶ時のポイント
白い塗料で外壁塗装する際には、カラーシミュレーションに力を入れているリフォーム会社を選ぶ、汚れに強く色あせしにくい塗料を選ぶという方法がいいです。
選ぶポイントをしっかり押さえて、納得いく白い外壁塗装を実現しましょう。
1.カラーシミュレーションに力を入れている業者を選ぶ
施工会社の中には、カラーシミュレーションに力を入れている業者がありますので、色選びを重視する方にはおススメです。
塗装予定の家の写真を提出すれば、画像を取り込んで仕上がり状態のCGを作ってくれ、大きな参考情報となります。
CGは無料で作成してくれるところが多いので、お客様が納得いくまでシミュレーションが可能です。
また、ショールームがある業者は、大きなプロジェクターやモニターを使い、その場で色を変えながら説明してくれます。
さらに、色選びに自信のある業者には、色彩の専門家であるカラーコンサルタントが在籍していることも多いです。
●シミュレーションの色と実際の色は違って見える
しかし、モニターの画面に表示されている色や印刷されている色は、微妙な違いが分かりにくいため、「イメージと違う」という失敗につながりがちです。
そのため、実際の塗料で作られた「色サンプル」や業者が用意する「色見本帳」(日本塗料工業会などで作成)を持ち帰り、外壁にかざして反射光の反射率による色合いの違いなども確認するといいでしょう。
さらに、実際の外壁塗装には面積効果も関係してきます。
面積効果とは、同じ色でも面積によって彩度が違って見える現象のことで、明るい色は面積が広いほどより明るく、暗い色は面積が広くなるほど暗く見えます。
これを頭に入れて、ワントーン暗め・明るめの色を選択するといいでしょう。
2.汚れに強く色あせしにくい塗料を選ぶ
塗料の色の他にも、中塗り・上塗りの機能にもこだわって選ぶと、美しさがより長持ちします。
以下で、白い外壁を美しく保つのにおススメの塗料を紹介します。
●親水性が高い塗料
まずは、親水性の高い塗料です。
親水性とは水に濡れやすい性質のことで、親水性が高い塗料を塗ると、塗膜と汚れの間に雨水などが入り込み、汚れが落ちやすくなる、防汚染性に優れています。
特に白い外壁は汚れが目立ちやすいので、「防汚染塗料」などと書いてある塗料を選びましょう。
また、「光触媒塗料」も太陽光の力で汚れを落としてくれるので、おすすめです。
●グレードが高い塗料
塗料メーカーからは、主に以下の5種類のグレードの水性塗料が販売されています。
塗料の種類 | 耐久年数 | 費用相場(平米単価) |
アクリル塗料 | 5~7年 | 1,400円~1,600円 |
ウレタン塗料 | 8~10年 | 1,700円~2,200円 |
シリコン塗料 | 10~15年 | 2,300円~3,000円 |
ラジカル塗料 | 12~15年 | 2,500円~3,000円 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 3,800円~4,800円 |
コスパの高さではシリコン塗料が人気ですが、白い外壁ならばラジカル塗料やフッ素塗料がいいでしょう。
色あせしにくくツヤも長持ちし、12年以上長持ちと耐久性も申し分ありません。
特にフッ素塗料は親水性が高いものが多く、断熱塗料の機能がある塗料もあるので、断熱材に加えて温度変化を緩やかにしてくれる効果もあります。
■おわりに
外壁の白には、ニュアンスが異なる種類がたくさんあります。
ニュアンスの違いは、カラーシミュレーションをしても生じますので、自宅に色見本帳を持ち帰って、光の反射による色の違いを見ておくのもいいでしょう。
白い外壁には、協調性が高い、組み合わせで異なる印象にできるなどのメリットがある一方、汚れやすいデメリットもあります。
白い外壁のデメリットを補うために、親水性の高い塗料やグレードの高い塗料を選ぶと、汚れに強く目立ちにくいです。