外壁塗装は天候によって左右されやすい工事ですので、梅雨など雨の多い季節に行うのは避けた方がいいと考える人も多いですが、雨の多い時期であっても、業者と良好な関係を築いて問題なく工事を完了させた施工事例はいくらでもあります。
今回は、雨降りの時には外壁塗装工事が行えない理由や、雨が多い時期でも安心して依頼できる業者の選び方について解説します。
このページの目次
■外壁塗装工事は雨が降ると行えない理由
雨が降ると塗装工事が行えないのはなぜなのか、そして雨の日に外壁塗装工事を強行してしまうとどのような影響が出るのでしょうか?
1. 雨で塗料の品質が低下する
雨天時に塗装をすると塗料に雨が混じって薄まってしまい、余分な水分が混入した塗料では塗料本来の品質や性能を確保できないため、そのまま塗装をしても耐久性のない塗膜となってしまって、早いうちに劣化症状が現れる可能性があります。
また、しっかり乾燥しきっていない塗膜に雨が当たると、雨が当たった部分に水玉のようなまだら模様ができてしまい、見た目が非常に悪く、さらには、雨の日は湿気で塗膜が乾燥しにくいため、白化現象(ブラッシング現象=塗膜表面に結露が発生して塗膜が白く濁り、つやがなくなってしまう状態)も起こしてしまう可能性があります。
雨の量が少なかったり、湿気が高いだけで雨は降っていないという場合などには、塗膜にそれほど影響はないように思えますが、
- 湿度が80%以上の時
- 気温が5℃以下の時
- 雨や雪が降っている時
等の気象条件化での塗料の仕様は、ほとんどの塗料メーカーで禁止しています(ちなみに降雨時の湿度は80%~90%程度)。
2. 塗料が雨で外壁に密着できなくなる
外壁塗装は、下塗り、中塗り、上塗りの3度塗りが基本で、一度塗るたびにしっかり乾燥させる必要があるため、塗面が雨に濡れた状態で塗装をすると塗膜が硬化不良を起こし、施工後すぐに塗料が剥がれてしまいます。
質の良い塗膜を作るには塗面の充分な乾燥が不可欠ですから、外壁が濡れる可能性がある雨の日には塗装をしてはいけないのです。
3. 作業効率が落ちる
雨天の時は足場が濡れて滑りやすく、視界も雨で遮られるため、作業効率が落ちますし、何よりも職人の安全を確保できませんから非常に危険です。
雨が降っても塗装作業を行う業者は、外壁塗装の質だけでなく職人の安全さえも無視する悪徳業者の可能性もありますので、塗装工事を依頼するのは避けましょう。
雨が降れば塗装に関わる工程はすべて中止になりますが、雨天だからといって塗装以外の工程まですべてが中止になるわけではなく、
- 足場の組み立て
- 養生シートの設置
- 高圧洗浄
などの工程は、安全性が確保されれば雨が降っていても行えます。
■雨が降りそうでも安心して工事を行うための対策
雨が続く時期には全く外壁塗装工事ができなくなってしまうわけではなく、梅雨のように雨の多い時期や工事期間中に予期しない雨が続いたとしても、業者とうまくコミュニケーションが取れていれば雨の日を避けながら安全に工事を進められます。
1.雨天時の取り決めを契約前に業者と確認しておく
雨よって工事のスケジュールや工期に変更が生じれば施主のスケジュールにも影響が出てきますので、工事のスケジュール変更のタイミングや連絡方法、工期延長に伴う追加料金などについては、契約前に業者としっかり取り決めをしておきましょう。
●工事の中断を知らせるタイミング
塗装工事に使用する塗料は完全に乾燥するまでの時間が決まっているので、今はまだ雨が降っていなくても、天気予報などで数時間後には雨が降ると分かった場合には当日の工事が中止されることも珍しくはありません。
その時に工事の中断の連絡がスムーズに行われると業者と施主の双方が時間を無駄にせずに済みますから、雨で工事を中断するときには、
- いつまでに
- どのような方法で
連絡してもらうか決めておくことをおすすめします。
工事が中断される場合には必ず連絡があると分かっていれば、施主サイドもいつ工事が中止になるかとジリジリしながら過ごすことがなくなるはずです。
●追加料金
通常、外壁塗装では雨で工事が延長しても追加料金が発生することはありません。
なぜなら、地域密着型の業者は塗装工事を行う地域の天候状況を熟知しており、塗装工事を行う時期によって工事を完成させるのにどのくらいの期間が必要かを考慮して塗装料金を設定しているからです。
ただし、予想以上に雨天が続いて工期の延長が長期間に及んでしまったようなケースでは、まれに追加料金が発生することがあるので、雨による長期の工事中断で追加料金が発生するかどうか、契約前に確認しておきましょう。
2.スケジュールにゆとりを持っておく
外壁塗装の平均的な工事期間は10日間~2週間程度ですが、雨が降ると工事の完了までにそれ以上の日数がかかることもあり、特に梅雨時は雨による工事の中断で工期が延長されるケースが多いので、工事完了予定日の直後に旅行などの予定は入れない方がいいでしょう。
外壁塗装は施主が不在でも行える工事ですが、
- 中間検査時
- 完了検査時
- 建物周辺に置いてある私物の移動時
などにはどうしても施主の立ち合いが必要になりますので工事期間中ずっと不在にすることはできないので、工事期間中はできるだけ家にいられるよう、前もってスケジュールを組んでおくとよいでしょう。
■雨が降っても安全に工事をしてくれる業者の選び方
雨による作業中止が原因で塗装業者とトラブルを起こさないためには、予期しない出来事が起こっても柔軟に対応してくれる業者に外壁塗装を依頼することです。
この章では、雨でも安全に工事を任せられる優良業者選びのコツや注意点をご紹介します。
1. 雨が降ったら工事はできないと断言してくれる
「多少の雨でも工事をしますよ」「これくらいの雨なら大丈夫ですよ」などといって雨でも作業を続けようとする業者もいますし、塗装に関する知識を持っていないと、工期を遅らせないための気遣いができる業者だと思ってしまいそうですが、雨天時の塗装は後になってから塗膜剥離などの施工不良を起こすリスクが非常に高いです。
降雨時は塗装作業を行ってはいけないと分かっているはずなのに塗装作業を進めてしまう業者がいるのは、雨天で工期が延長するとその分余計に経費が発生してしまうからでしょう。
外壁塗装費用はあらかじめ契約で定められており、余分に経費がかかれば業者の利益が少なくなるため、無理やり工期通りに工事を行おうとするのですが、もちろんそのような「施主の利益より自社の利益を優先する業者」とは契約をするべきではありません。
こうした天候の時でも的確な判断をして、「今日は工事を中止にします」と理由を添えて施主にはっきり伝えてくれる業者が良い業者といえます。
2. 工事中の連絡をまめに行ってくれる
依頼する側には、どのような天候の場合に塗装工事の予定が変更されるのかが分かりづらいため、天候が不安定だと工事の予定について業者に伝えたいことや尋ねたいことが多く出てきます。
それらの不安を解消するためには、工事中の連絡をまめに行ってくれる塗装業者を選ぶことです。
工事に関する情報の共有はトラブルの回避に大いに役立ちますので、見積もりの際に工事中の連絡をどのくらいの頻度でどのように行ってくれるのかを業者に確認しておきましょう。
工事中に施主と業者間で連絡を取り合う方法としては、
- 交換ノート
- 作業進捗のメール連絡
- 電話による連絡
などがありますが、施主との連絡ツールを業者が必ず準備してくれているとは限りませんので、その場合にはどのような連絡方法が利用しやすいかについて話し合い、負担にならない方法を選択します。
3. こちらの質問に快く答えてくれる
雨による工事の中断や延期で業者とトラブルにならないためには、質問しやすい雰囲気の業者を選ぶことが大切で、例えば、工事内容やスケジュールに関して疑問に思うことがあったとしても、話しかけにくい業者だと質問すること自体がためらわれてしまいます。
また、なかにはこちらが質問してもまともに返事をしてくれない業者もいますが、そのような業者との契約は避けるべきです。
ネットで見積もりを取る場合だと、担当者と顔も合わせないまま契約まで進んでいってしまうこともありますが、業者の雰囲気を見ず、業者の素顔を確認せずに契約してしまうのは非常に危険です。
業者の雰囲気などは見積もりの打ち合わせ時に判断できますので、必ず担当者と顔を合わせて打ち合わせを行い、実際の雰囲気がどのような感じであるかを確認しておきましょう。
■おわりに
雨が降り続く梅雨時は、外壁塗装をするのに向かない季節だといわれますが、雨の合間をうまく利用して工事を進めることは可能です。
雨の多い時期は塗装工事を控える人が多く、塗装業者も比較的手がすいていますので、その分じっくり相談に乗ってもらえるというメリットもありますので、雨の季節でも安心して任せられる業者を探し出し、ぜひ外壁塗装工事を成功させましょう。