外壁塗装の塗り替えは、住まいを刷新する楽しみなイベントでもありますが、煩雑に思われる方も多いことでしょう。

特に塗料選びは素人にはわかりにくい部分が多く、ストレスに感じられるかもしれません。

 

今回は数ある塗料の種類の中から、かつての主流であり、今なお様々な場面で使われているウレタン塗料について掘り下げてみましょう。

■ウレタン塗料の基本情報

塗料について知れば知るほど、塗料選びは簡単に、楽しく思えてくるでしょう。

まずはウレタン塗料の基本情報から調べてみましょう。

 

1.ウレタン塗料の成分

 

一般に「ウレタン塗料」という名前で通っていますふが、正確には「ウレタン樹脂塗料」または「ポリウレタン樹脂塗料」といいます。

基本的に樹脂であるポリオール化合物と硬化剤としてのイソシアネート化合物を組み合わせた塗料です。

ポリオール化合物としてアクリルポリオールが使われているものが主流になっています。

これは詳しくは「アクリルウレタン」と呼ばれますが、「アクリルウレタン」は、ウレタン塗料よりグレードの低い「アクリル塗料」ではなく「ウレタン塗料」に属しますので間違えないように注意が必要です。

 

2.ウレタン塗料の価格相場

ウレタン塗料の一般的な相場は1㎡およそ¥1,800〜¥2,000程度となっています。

外壁塗料に使われるもっとも安価なアクリル塗料(相場は1㎡¥1,000〜¥1,600程度)に次ぐ安さの塗料という位置付けです。

 

●平均的な施工費用相場

もちろん塗装が必要な外壁の延べ面積はそれぞれ違いますが、大まかな外壁塗装の予算を立てる場合は、一般的な一戸建て住宅の外壁延べ面積は100㎡程度であると覚えておきましょう。

つまりウレタン塗装で外壁塗装を行う場合、塗料費用のみでおよそ18万〜20万ほどになります。

ここに洗浄や足場の設置・解体などの費用が加算されますので総計約50万〜70万円と考えるとよいでしょう。

 

3.ウレタン塗料の耐用年数

外壁塗装の塗料を選ぶ際、値段と併せて考えなければならないもう一つの重要な要素は耐用年数です。

もちろん立地条件や土地の気候によって左右されるものですが、一般的にウレタン塗料の耐用年数はおよそ8〜10年とされています。

 

ちなみに他の塗料と耐用年数を比べてみるとウレタンより安価なアクリル系塗料は5〜8年、現在外壁塗装において主流となっているシリコン系塗料は10〜15年、高機能なラジカル塗料は14〜16年、住宅向けにあまり使われることのないもののさらに高品質なフッ素系塗料で13〜20年となっていますので、各種塗料の中で見るとウレタン塗料の耐用年数は相対的に短い部類に入ります。

この点、値段の高さは耐用年数の長さにほとんど比例する関係にあることがわかりますね。

 

■ウレタン塗料のメリット・デメリット

数ある塗料の中からウレタン塗料を選ぶメリットは何でしょうか。

また、デメリットも併せて理解しておくなら、後悔しない塗料選びに役立つはずです。

 

1.ウレタン塗料のメリット

かつては外壁塗装の主流であったウレタン塗料。

一時期ほどの人気はないものの現在も使われ続けています。

どんな理由で選ばれているのでしょうか。

ウレタン塗料を選択することのメリットをいくつか確認しておきましょう。

 

●施工費用が安く済む

予算は前もって積み立てておくのが理想的ですが、家が大きければそれだけ高額になる工事ですし、諸事情により計画通りの予算を当てられなくなるということもあるでしょう。

いずれにせよ外壁塗装工事の総工費を抑えたければ、ウレタン塗料という選択はよいといえるかもしれません。

 

●ひび割れに強い

ウレタン塗料は一般的に弾性が強いという長所もあります。

つまり塗膜に適度な弾力があり、例えば下地の素材にひび割れが生じても塗膜は破れず、外観も損なわれることなく外壁材も守れるということです。

この性質により、ひび割れの生じやすいコンクリート・モルタル系の外壁にはより適した塗料であると言えます。

弾性を重視したいのであれば商品名に「弾性」と入ったものを選ぶのが確実です。

ただし、下地のひび割れから湿気などが発生すると、気泡が生じて塗膜が浮き外観を損なってしまうことがある、という可能性も覚えておきましょう。

 

逆にシリコン塗料、フッ素塗料のように密着性が高く硬い塗膜を構成する塗料は下地がひび割れると塗膜もひび割れてしまいます。

 

●施工できる素材が多い

上記の「弾性」に加え、あらゆる素材に対する密着性の高さも選ばれ続けている理由の一つです。

密着性が高い、とは、下地になる素材に簡単にそしてしっかりとくっつくということです。

塗料のノリが良いとも言えるかもしれません。

例えば高機能であっても下地次第では使えない、という塗料も多くありますが、ウレタン塗料は木材やプラスチック、鉄部など様々な下地と相性が良いので、今もマルチな活躍をしています。

 

2.ウレタン塗料のデメリット

メリットも多くあるウレタン塗料ですが、現在では主流として選ばれなくなった理由はどこにあるのでしょうか。

ウレタン塗料のデメリットについても知っておきましょう。

 

●耐用年数が短い

耐用年数=次の塗り替えまでの期間ですので、総工費÷耐用年数が1年あたりのコストと考えることができます。

つまり総工費が安くてもそれ以上に耐用年数が短ければコストパフォーマンスがいいとは言えないのですが、上記の通り、残念ながらウレタン塗料の耐用年数は5〜8 年と上のシリコンやフッ素のグレードの塗料に比べて短くなっています。

 

もちろん、挙げられている年数はあくまで参考です。

外壁塗装の宿敵である紫外線、風雨や温度変化などの条件次第でさらに短くなってしまう可能性も考えておかなければなりません。

またウレタン塗料は防汚性が弱く、耐用年数より短い時間でも、汚れが目立ち始めたり色あせや光沢の低下が生じることも考えられます。

 

●屋根への塗装は適していない

屋根は塗料の劣化を進める日照や風雨によるダメージの大きい部分ですので、仮に外壁と同じ塗料を使っても屋根の塗装の方が先に寿命を迎えてしまいます。

一般的な建築塗料が「外壁用」「屋根用」と用途が分けて指定されているのはそのためです。

 

 

上記の理由により種類の違う塗料を選ぶ場合、耐用年数が外壁と同程度のものを選ぶなら、外壁との塗り替えのタイミングを合わせられ無駄な出費も抑えることが期待できます。

 

 

■ウレタン塗料を使う時のポイント

では、ウレタン塗料はどんな時に活躍するのでしょうか。

かつて主流であったウレタン塗料のポテンシャルが発揮されるケースには、下記のような場合が考えられます。

 

1.塗装費用を抑えたい時に使う

屋根・外壁の塗り替え工事は持ち家であればいつか必ず訪れるものですので、前もって予算を立てて費用を準備しておくのが理想的ではありますが、予算は無限に設定できるものではありませんし、賢く貯金していても突然物入りになり予算が目減りしてしまうこともあるかもしれません。

あまり高い費用をかけられない、または突然予算を落とすことになったというときにはウレタン塗料の出番かもしれません。

 

●シリコン塗料との費用差

では実際にどれほど費用に差が出るのでしょうか。

ウレタン塗料のワンランク上に位置し、現在もっとも広く選ばれているシリコン塗料と比較してみましょう。

シリコン塗料の施工費用は、1㎡あたりおよそ2,200~3,100円で、外壁をおよそ100㎡で計算すると塗料のみで約22~31万円、全体の総工費はおよそ80万円前後となります。

ウレタンの場合は上記の通り塗料のみでおよそ18万〜22万円程度、総工費は70万前後になることが多いようですので外壁延べ面積100㎡とすれば、大まかですが総工費に10万〜15万円程度の差が出ると考えられます。

もちろん大きい家であればより費用差も広がっていきます。

 

●グレードダウンは最終手段

実際のところ、ウレタン塗料を選択して総工費を抑えられたとしても、上記の通り耐用年数が短く1年あたりのコストで考えればグレードが上の塗料よりむしろウレタンの方が高くなってしまうというのは避けられないデメリットです。

塗料は見た目だけでなく家屋全体の保護のために需要な役割を果たしている部分ですので、やはりしっかり長持ちする塗料を選ぶのが賢い方法と言えそうです。

 

2.付帯部の塗装材として補助的に使う

家屋のすべての部分を同じ種類の塗料で塗らなければならないというわけでありません。

実際のところシリコン塗料はほとんどのものが木部には塗れないといった弱点もありますので、ウレタン塗料のあらゆる素材との相性の良さ、扱いやすさや塗りやすさを活かし、メインの外壁塗装にはシリコン塗料、雨どい、破風、シャッターなどにはウレタン塗料を使用するという方法もあります。

 

■まとめ

今では外壁塗装で選ばれることの少ないウレタン塗料ですが、一昔前までは主流で万能塗料とまで言われることもありました。

様々な選択肢の中でみれば見劣りするものの、決して悪い選択というわけではありません。

実際、新築物件の場合は今もウレタン塗料が使われることもあります。

 

値段だけでなくその細かな特性を理解しておけば、適材適所でウレタン塗料のポテンシャルを活かしつつ、費用も抑えられる、そんな賢い使い方ができるかもしれません。

 

なぜウレタン塗料が屋根に向いていないのかも含めてお書きください。

この後に具体的な耐用年数の数字を出しながら具体例をお示し下さい。