屋根のリフォームについて

屋根のリフォーム

屋根のリフォームには三種類あり、「塗り替え」、「葺き替え(ふきかえ)」、「重ね葺き(かさねぶき)」です。

葺き替えとは完全に屋根を取り替えてしまう工事の事で、重ね葺きは今ある屋根の上から新しい屋根材を重ねる工事です。

スレートや金属系の屋根の寿命は約30年なのですが、約10年に一度は塗り替えをする必要があります。それを怠って塗り替えをせずにいると、本来30年もつはずのスレートや金属系の屋根も15年ほどで葺き替えなければいけなくなる事があります。

塗装というのは美観以外にも保護の役割があるので、しっかりとスケジュールを立てて塗り替えをする必要があるのです。

屋根リフォームのメリット

防水性の向上

そもそも住宅に屋根がある大きな理由は、雨に濡れないようにするためです。屋根は雨や雪のダメージをダイレクトに受けますから、外壁よりも高い防水性が求められます。

しかし経年劣化でどうしても防水性は低下してしまいますので、リフォームをする必要があるのです。

劣化した屋根をそのままにしておくと屋根に水が染みこみ、雨漏りをしてしまう危険性があります。そうすると屋根だけではなく家全体が腐食してしまう事もあるので、リフォーム金額はかなり高くなってしまいます。

遮熱性・断熱性の向上

ポリスチレンフォーム保温板などの断熱材や、ガイナなどの断熱塗料を使用することにより屋根の断熱性・遮熱性を向上します。

外気の影響を受けづらくするので、夏は涼しく冬は温かい家を実現できます。

美観向上

外壁に比べると普段あまり見る機会の少ない屋根ですが、やはりリフォーム後はきれいになるので嬉しいものです。

錆(さび)やカビ、コケが発生してしまっている場合は特にリフォームをすると見違えるほどきれいになります。

屋根の種類

屋根塗装をする前に、ご自身の屋根の種類を確認しなければいけません。屋根の種類は大きく分けて以下の四種類です。

基本的に瓦には塗装できませんので、ご注意ください。

種類 和瓦 洋瓦 スレート 金属系、ビジュアル、説明 粘度を成形して焼き上げたもので、重いので地震に強い。和瓦に比べてデザイン性が高く、洋風の家に使われます。薄い板が並んでいるもので、最近の新築に多いです。災害に強く、東北地方以北でよく使われています。再塗装 不要 不要 10年に一度 10年に一度、料金相場 120~150万円 100~120万円 90~100万円 70~80万円

上記のスレート屋根は、コロニアル、カラーベストと表記される事もありますが、どちらも商品名ありスレート屋根の事です。

また、金属系とはトタンやガルバニウム銅板のことです。

瓦は他にもスレート瓦やモニエル瓦などがありますが、使用される事が少ないため今回は省きました。

屋根塗装の費用

屋根塗装の費用については、屋根塗装の相場価格*外壁塗装と同時に工事するのがお得!で詳しく解説していますのでご参考ください。

塗り替え工事の費用を知りたい場合は、ご自身の屋根の面積と屋根材をご確認した上で計算してください。

塗り替えのサイン

屋根塗装の塗り替えの目安は約10年と言われていますが、実際は一軒一軒塗り替え時期が違います。例えば雪が積もる寒い地方の家と、全く雪が降らない地方の家では屋根が受けるダメージも違うのです。

そこで、ご自身で確認できる屋根塗装塗り替えのサインをいくつかご紹介いたします。

色褪せ

色褪せは屋根の劣化の第一段階です。塗膜の艶が無くなり、新築当時の色よりも褪せてきたら劣化が始まったサインだと思って良いでしょう。

クラック(ひび割れ)

スレート屋根の場合は屋根材にクラックと呼ばれるひび割れが入ることがあります。小さなクラックでしたらコーキング材を注入するだけの補修で充分です。

チョーキング

外壁塗装の塗り替えの目安でもあるチョーキングは、屋根塗装にも起こる現象です。チョーキングとは名前の通り、屋根を指でなぞるとチョークの粉のような、白い粉がつく現象です。

これは塗膜が劣化しているサインで、一度チョーキングが起きてしまうと自然に治ることはありません。放っておくとどんどん劣化していってしまいますので、チョーキングを確認したら早めに塗装業者に問い合わせるのをおすすめします。

かび・コケ

チョーキングが起こると塗膜の撥水(はっすい)機能が低下し、かびやコケが発生してしまうことがあります。かびやコケが発生すると水はけが悪くなり、雨水が上手く流れないなどの危険があります。そうなるとますます屋根塗装が劣化しますので、かびやコケを見つけたら早急に塗り替えするのがおすすめです。

屋根塗装の工程

一般的な屋根の塗り替え工事の施工手順は以下の通りです。

下地調整

外壁塗装と同じように、まずは今ある屋根塗装の汚れを落とします。下地処理と呼ぶこともあります。丁寧に下地処理をする事で耐久性、耐候性共に上がります。

高圧洗浄

高圧洗浄の様子

高圧洗浄については高圧洗浄・バイオ洗浄の単価、費用相場について。無料は危険という記事に詳しく書いてあります。

回転がかかった高圧水で洗浄する事で、ごみなどの汚れだけでなく、剥がれた塗膜や劣化した塗膜、かび、こけ、藻、さびなども落とすことができます。

ケレン(錆落とし)

ケレン作業

ケレンとは、サンドペーパーと呼ばれる紙やすりで表面の錆を落とす作業の事です。サンドペーパーは今ある錆を落とすだけではなく、この後に塗布する上塗り材である錆止め塗料の密着性を高める効果もあります。

落とした錆などで屋根の上が汚れますので、高圧洗浄で洗い流すか、高圧洗浄の後にケレンをする場合はきれいに清掃をしてから下塗りします。

 

錆を全て落としきれない場合は、大日本塗料の「サビシャット」などの素地調整剤を塗布して錆をきれいに処理して錆止め塗料の付着性を高めます。

その他、ケレンについてはケレン作業の価格、費用相場と意味を知っておこうで詳しく解説しています。

釘を打ち直す

飛び出した釘

スレート屋根の鉄板部分を固定している釘が浮いている場合は打ち直します。釘が劣化している場合は別の場所に新しく釘を打つか、ビスで固定します。

下塗り

錆止め塗料を塗布

スレート屋根にはスレート材と鉄板の部分がありますから、それぞれに適したものを下塗りします。スレート材にはシーラー(プライマー)と呼ばれる下塗り材、鉄板部分にはサビ止め塗料を塗るのが一般的です。

シーラーとプライマーの違いは、水性塗料はシーラーで溶剤はプライマーと呼ばれることが多いですが、明確な違いの定義はありませんので同じと考えて良いでしょう。このページではシーラーと記載します。

 

シーラーは屋根材と上塗り材の密着性を高める働きがあります。下塗り塗料にも多くの種類がありますので、業者の方にオススメ下塗り塗料を尋ねると良いでしょう。

中塗り・上塗り

屋根塗装の上塗り

中塗りと上塗りは同じ塗料を使用しますので、上塗りを二回と呼ぶこともあります。屋根塗装でも外壁塗装と同じように樹脂塗料を使用し、ローラーで塗装します。よく使用される塗料は

  • アクリル塗料
  • ウレタン塗料
  • シリコン塗料
  • フッ素塗料

の四種類です。また、これらは水性系・溶剤系に分けられ、さらに溶剤系は一液型と二液型に分けられます。他にも光触媒塗料や遮熱・断熱塗料を使用することもあります。

シリコンアクリル塗料と呼ばれる塗料もありますが、使用する事は少ないので今回は省きます。

上記の塗料の中から耐用年数や耐候性、耐久性、防藻性、防錆性などの面から選択します。外壁用と同じ塗料を使用する事もありますが、屋根専用塗料の方が耐久力もあるのでおすすめです。

縁切り

屋根の縁切り作業

外壁とは違い屋根には隙間がありますので、どうしても屋根材の中に雨水が侵入します。スレート屋根の場合はスレート材の隙間から侵入した雨水を屋根材の下部から排出するようにして、屋根材内部に雨水が溜まらない造りになっています。

しかし、屋根塗装をした後は塗膜がスレート材とスレート材の間を防いでしまうので、そのままにしておくと侵入した雨水が排出されずに内部に残ってしまう可能性が高いです。

そのような事を避けるために、屋根塗装の仕上げとして縁切りという作業をする必要があります。縁切りとは塗料でくっついてしまった部分をスクレーパーと呼ばれるお好み焼きのヘラのようなカッターで削り隙間を確保する作業です。

しかし、スクレーパーで一つ一つ削るのは非常に時間がかかるため、最近はタスペーサーと呼ばれる工具を使う業者も増えてきました。タスペーサーはスレート材の隙間に挿入し、隙間を確保するものです。施工時間も短く、費用も3~5万円(参考価格ですので、製品によって違います)とそれほど高くないため、タスペーサーをおすすめする業者も多いです。

屋根塗装で人気の塗料

屋根塗装で人気の塗料

外壁塗装よりもさらに高い防水性、遮熱性、断熱性が求められる屋根塗装。使用する下塗り塗料、上塗り塗料共に慎重に選ばなければいけません。以下は屋根塗装の塗替えで人気のあるオススメ上塗り塗料です。

ウレタン樹脂塗料

  • ユメロック(ロックペイント)
  • ヤネフレッシュ(エスケー化研)

シリコン樹脂系塗料

  • シリコンルーフⅡ(日本ペイント)
  • ヤネフレッシュSi(エスケー化研)
  • ペンタマイルドシリコン(ペンタくん)

フッ素樹脂塗料

  • サーモアイ4F(日本ペイント)
  • ボンフロン(AGCコーテック)

遮熱・断熱塗料

  • ガイナ(日進産業)
  • クールタイトシリーズ(エスケー化研)

屋根塗装ではシリコン樹脂塗料を使う方が多く、逆にアクリル樹脂塗料はあまり使われません。

屋根塗装は外壁塗装と一緒にするべき

屋根塗装には必ず必要な足場

屋根塗装と外壁塗装を切り離して節約したいという方は多いと思います。しかし、実は別々に工事をするというのは全く節約にはなりません。 なぜなら、塗装工事には必ず足場というものが必要で、この足場の料金は私たち依頼主が負担するからです。

外壁塗装をしてもらう際に足場費用を支払って施工してもらった数年後、屋根が劣化したり雨漏りになってしまうとまた足場を組むので足場費用が二重にかかります。 実は足場費用も結構高い料金がかかるのです。

屋根塗装のDIYは非常に危険!

屋根の塗装写真

屋根の塗装は家の外壁と違いあまり目立たないため、DIYで済まそうと思う方が多くいます。しかし屋根のDIY塗装はとても危険なのです。

もちろん屋根から落ちる危険性もあります。専門の職人さんでも足場を組んで工事しますから、素人が足場を組まずに上るというのは危険きわまりない行為なのです。

また、自分の敷地内ならまだしも、例えばご近所さんの家や車、庭の木に塗料が飛んでしまったら、大きなトラブルになりかねません。

そして屋根というものは家の外壁の中でも最も紫外線を浴びる場所であり、雨や風、地域によっては雪にもさらされます。そのため他の箇所よりも劣化が早く、一定期間ごとの塗り替えが必須なのです。

塗装工事は特に慎重に、丁寧に作業する必要があるため、ただ塗料を塗るだけの素人の塗装は不十分でしょう。