これから住宅などの外壁塗装を業者に依頼したいと考えている人の中には、見積もりをとる前におおよその予算相場を知りたいという人もいますよね。
外壁塗装の費用は塗装を行う面積や外壁の状態、そして使用する塗料などによっても価格が大きく異なります。
見積書をもらった時にその金額に驚かないためにも、ある程度自分で外壁塗装費用を予測しておくとよいでしょう。
一般的に外壁塗装の費用は100万円以下が相場になりますが、必ず100万円以下に収まるというわけではありません。
今回は、外壁塗装を適切な価格で優良業者に依頼できるように、外壁塗装の工事費用の相場や内訳などについて詳しく説明していきます。
このページの目次
■外壁塗装費用は100万円以内が相場
「外壁塗装については全く知識がなく、一体いくらかかるのかわからない」という人も多いものです。
ざっくりと、外壁塗装の費用が大体いくらかかるのかというと、価格相場としては100万円以内であると考えておきましょう。
ただしどんな外壁でも100万円以下になるわけではなく、外壁の状態や坪数などによっても相場は変動します。
それでは実際に、坪数別の相場価格、塗料の種類別の相場価格など具体的な数字を見ていきましょう。
1.戸建て住宅の坪数別・塗装費用相場
外壁塗装の費用がいくらかかるのかを決める大きな要因の1つめが、坪数です。
外壁塗装を行う壁の塗り面積が異なれば、作業時間や材料費などは必然的に異なります。
まずは、戸建て住宅における坪数別の塗装費用相場を見ていきましょう。
なお、以下で述べる価格はすべて屋根塗装費用・足場代・諸費用なども含めたトータルの塗装費用となります。
●25坪
一般的に戸建て住宅としては、一番小さいサイズと言われている坪数で、平屋の場合には世帯数1〜2人程度の住居が多くなっています。
戸建て住宅としてはやや平均を下回る大きさとなっているので、外壁塗装の相場価格は約70万円〜80万円ほどです。
平屋なのか2階建てなのかなどによっても異なりますが、基本的に費用が100万円を上回ることは少なくなっています。
●30坪
戸建て住宅の坪数の中でも平均的な大きさと言われているのが30坪というサイズです。
2階建ての家も多くなっており、家族3〜4人ほどが生活できる大きさになっています。
30坪の家では、70万円〜90万円前後が塗装費用の相場といえるでしょう。
ただし、選んだ塗料のグレードが高かったり、外壁の状態などによっては100万円を超える可能性もある坪数です。
●35坪
戸建て住宅の中でもやや大きめと言われているのが、35坪というサイズです。
やや大きめとはいえ、まだまだ平均値の範囲内となっていますので、外壁塗装費用の目安としては100万円弱というものが多く、100万円以内に収めることができます。
ただし30坪同様に塗料のグレードが高かったり外壁の劣化箇所が多く、補修箇所などが多い場合には費用が100万円を超えることも不思議ではありません。
●40坪
平均的な戸建住宅が30〜35坪ほどとなっておりますので、40坪の住宅はやや大きめの住宅だといえます。
平均的な坪数よりも大きめになりますので、外壁塗装の費用も100万円を超えることが多くなるでしょう。
ただしウレタン塗料など、グレードの低い塗料を選ぶことによって費用を90万円以内に収めることも不可能ではありません。
予算が低くどうしても費用を安くおさえたいという場合、材料のグレードを落とすという選択も可能ですが、そのぶん塗料の持ちが悪くなるというデメリットもあります。
費用が安くなると、その分塗装の質が悪くなり、短い期間内でまたメンテナンスが必要になる可能性が高いのです。
外壁塗装は安さだけではなく、長持ちするかどうか、劣化箇所にはきちんと補修を行えるのかなども重要なポイントになります。
2.塗料別の費用相場
ここまで坪数から見た外壁塗装の費用目安について説明してきました。
しかし先にも説明した通り、同じ坪数でも使用する塗料の種類などによって価格帯は大きく異なるのです。
ここでは平均的な30坪の戸建て住宅においての塗料費用の相場を、塗料の種類別に紹介していきます。
●アクリル塗料
30坪の家での相場価格:60~70万円
耐用年数:5~8年
特徴:
外壁塗装に利用する塗料の中でも、1番価格が安価であるといわれているのがアクリル塗料です。
水溶性の塗料などに比べると、耐水性・耐アルカリ性には優れていますが、外壁として利用することを考えると他の塗料よりも耐久年数は非常に低くなります。
雨風などを防ぐ必要のある外壁や屋根などの塗装には、現在あまり使用されることはありません。
●ウレタン塗料
30坪の家での相場価格:70~80万円
耐用年数:8~10年
特徴:
外壁塗装に使用される塗料の中で、2番目に安価だといわれているのがウレタン塗料です。
伸縮性があるため、ひび割れが起きても塗料が伸びて塗膜が割れにくくなっています。
ひと昔前までは外壁塗装で利用される主流の塗料でしたが、次に紹介するシリコン塗料が普及してきたため使われる機会は減少しています。
●シリコン塗料
30坪の家での相場価格:75~90万円
耐用年数:10~15年
特徴:
現在の外壁塗装において、最も人気の高い塗料です。
シリコン系塗料は種類も多いのですが、耐久性が高く価格も高すぎないため、現在も多くの外壁に使用されています。
●ラジカル塗料
30坪の家での相場価格:80~100万円
耐用年数:14~18年
特徴:
ラジカル塗料とは、外壁劣化の原因となる「ラジカル」という劣化因子を抑制するはたらきを持つ塗料のことを指します。
シリコン塗料より費用は高額になる傾向があり、総費用で100万円を超えることもあるでしょう。
しかし、その分耐久性が高くなるというメリットもあります。
●フッ素塗料
30坪の家での相場価格:90~120万円
耐用年数:15~20年
特徴:
外壁塗装で利用される塗料の中でも最高級となるのが、フッ素塗料です。
これまで紹介してきた塗料の中で、最もグレードが高く耐久性も高くなっています。
その分、他の塗料に比べて費用は高くなっており、30坪以上の建物になると費用が100万円以上する傾向があります。
●断熱・遮熱塗料
30坪の家での相場価格:85~110万円
耐用年数:15~17年
特徴:
これまで紹介してきた塗料は、塗料の耐久性と価格という点を中心に紹介してきましたが、それ以外の機能を持った塗料も存在します。
それが、断熱・遮熱塗料です。
断熱のはたらきで暖かい空気を屋外に逃げにくくし冬場は部屋を温かく、遮熱のはたらきで暑い日差しが室内に入りにくくし、夏場は冷房が効きやすい効果を得られます。
耐久性の高さに加え、断熱・遮熱の効果も得られるため、費用は高めになっています。
●光触媒塗料
30坪の家での相場価格:95~130万円
耐用年数:18~22年
特徴:
次世代の塗料として登場した光触媒塗料は、光に反応して汚れを分解するという機能を持った塗料です。
太陽の光に反応して汚れを分解し浮かせるため、雨などにより自然と汚れが落ちていきます。
そのため、人の手でメンテナンスをしなくても長期的に外壁・屋根が汚れにくいという特徴があるのです。
ただしフッ素塗料よりも価格が高額になるため、30坪の建物でもほぼ100万円を超える費用になることが多くなっています。
3.塗装工事の相場価格は75~100万円
ここまで、外壁塗装の費用を決める目安として住宅自体の坪数や塗料を参考にするという説明をしてきました。
このように現代の外壁塗装で主流となる塗料がシリコン塗料であり、戸建住宅の平均的な大きさが30〜35坪です。
よって外壁塗装の相場価格は、やはり75万円〜100万円程度が相場だといえるでしょう。
ただしシリコン塗料を使用し、坪数が30〜35坪という住宅であっても、施工費用が100万円を超えてしまう場合もあります。
■塗装工事の費用が100万円を超えるケース
外壁塗装工事は必ずしも100万円に収まるものではなく、ある条件が重なれば100万円を超えることもあります。
しかし一方で悪質業者に捕まり、詐欺の手口で高額な費用を請求されているだけという可能性もあるのです。
見積もりなどで出された100万円以上の費用が詐欺かどうかを見抜くためには「100万円を超えてしまうケース」を事前に知っておく必要があります。
それでは次項より、どのような状態の外壁が相場以上の費用がかかってしまうのかを見ていきましょう。
1.劣化が激しく補修箇所が多い
塗装工事では、現状の外壁の上にそのまま塗料を塗って終わりにすることはありません。
塗装前には、外壁や屋根の表面を補修する「下地補修(下地調整)」という作業が行われます。
この下地処理に関する工程を省いてしまうと、どんなに良質な塗料を使用しても塗料がしっかり密着せずに施工不良の原因となってしまうのです。
また外壁や屋根の現状によって下地補修の量が増えるほど、施工価格は高くなっていきます。
具体的な下地補修の工程には以下のようなものがあります。
- シーリング補修(外壁材などの目地に充填されている樹脂のシーリング材を補修する作業)
- ひび割れ補修(深いひび割れにシール材を充填する作業)
- ケレン作業(鉄部の錆びを除去し防錆剤を塗布する作業)
外壁の劣化がひどく、これらの作業量が多ければ、合計費用は高くなるでしょう。
2.使用した塗料のグレードが高い
先ほども説明した通り、外壁塗装に利用されている塗料にはグレードがあります。
そして質の良い塗料を使用するほど塗料代も高くなり、同じ面積を塗装した場合でもグレードの高い塗料を使用した方が費用は高くなります。
先にも紹介したようなフッ素塗料、断熱・遮熱塗料、光触媒塗料は、グレードの高い塗料として費用が高額になる傾向があるのです。
このような塗料を使用していれば、費用が100万円を超える可能性も高くなります。
3.坪数が大きい
こちらも先に説明した通り、施工面積が増えるほど作業量は増えていきます。
そのため坪数が大きな建物ほど、施工価格は100万円を超えやすくなるでしょう。
■100万円を超える塗装費用を請求されたときの注意点
「坪数や塗料の相場から100万円以下だと思っていたのに、見積もりでは100万円を超えていた。」という人もいるでしょう。
もしも100万円を超える見積もりが作られたのであれば、それが正当な価格であるのかどうかをしっかりと調べることをおすすめします。
ここでは、「100万円を超える見積もりの良し悪しの見抜き方」をしっかり身につけていきましょう。
1.「100万円を超えるケース」に該当するか確認
見積もりの金額が100万円を超えている場合にまず確認すべきことは、先にも述べた以下の3つです。
- 劣化が激しく補修箇所が多い
- 使用した塗料のグレードが高い
- 坪数が大きい
上のいずれかに該当するものがある場合には、正当な理由で100万円を超えている可能性が高くなります。
●劣化が激しく補修箇所が多い
劣化が激しく補修箇所が多いかどうかについては、見積もりの「下地補修」の項目を確認し、どのような作業が行われるのかをチェックしてみましょう。
下地補修の項目を確認することで、外壁の状態を把握することにも繋がります。
●.使用した塗料のグレードが高い
上でも説明したように、塗料のグレードによって金額が高くなっている可能性もあります。
また塗料の使用工程には下塗り・中塗り・上塗りがありますので、それぞれに使用されている塗料の名前を必ず調べるようにしましょう。
また、それぞれの工程で使用する塗料名が見積もりに記載さいれていない場合には、必ず業者に確認するようにしてください。
●坪数が大きい
坪数に関しては、見積もりに記載されている塗料面積を必ず確認するようにしましょう。
そしてダブルチェックの意味合いも込めて新築時にハウスメーカーや工務店からもらった自宅の設計図にて坪数または延べ床面積を確認するようにしてください。
2.見積もり額が100万円を超えている原因を調べる
先ほど説明した費用が100万円を超えるおもな3つの原因に該当しないにも関わらず、費用が100万円を超えている場合、以下の原因を確認してみましょう。
- 詳細をごまかされている項目がないか
- 不要な工事が追加されていないか
- 外注業者が使われていないか
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
●詳細をごまかされている項目がないか
見積もりの明細を確認していると「一式」や「その他」など、あいまいな表記になっている箇所が見つかる場合があります。
このようにあいまいな表現がある場合、不当な計算方法にて見積もりが作られているという可能性があるのです。
たとえば相場以上の価格で工事を行なったり、塗料面積を設計図よりも大きくしているのをごまかしているケースがあります。
そのため、「一式」や「その他」などの表記がある場合には、工事業者にしっかり確認し詳細を明記してもらうようにしましょう。
●不要な工事が追加されていないか
また悪徳業者の場合、カサ増し請求のために本来必要のない「不要な工事代」が追加されている可能性もあります。
たとえば外壁塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本であり、重ね塗りの回数が4回や5回になっているものは不自然です。
このように塗りの回数が通常よりも多くなっている場合には、業者に必ず理由や工事内容を詳しく聞くようにしましょう。
その他にも、以下のような内容が「不要な工事」である可能性が高くなっています。
- 一棟あたり平均3万円で済む「養生」(塗装箇所以外をシートで覆う作業のこと)の費用が10万円近くになっている
- 頼んでいないのに高圧洗浄が薬剤を使った「バイオ洗浄」にランクアップしている
- 塗装のみしか頼んでいないのに外壁材の交換工事が追加されている
- 勝手に外壁・屋根を剥がされ点検費用を請求された
見積もりをうっかり見落として、業者に質問しないでいると、このような不要な工事を追加されてしまう可能性があります。
勝手に不要な工事を追加されないためにも、見積もり決定時や契約時に追加工事については以下のような取り決めを行うことをおすすめします。
- 業者の独断で追加工事を勝手に着工しない
- 追加工事の分は別途追加工事のみの見積もりと契約書を作成する
など。
このような取り決めを事前に交わすことによって、不要な工事を勝手に追加されることを防ぐことができます。
●外注業者が使われていないか
見積もりの費用が相場以上に高くなる原因に、見積もりを依頼した業者以外の外注業者が使われているという可能性もあります。
全国展開する大手ハウスメーカーやリフォーム業者などの場合、店舗内に工事を行えるスタッフが所属していないことが多いのです。
そのため、このような業者は外注の下請け会社に施工を任せている可能性があります。
外注業者を使っているということは、紹介料や手数料などの「中間マージン」が上乗せされ結果的に費用が100万円を超えている場合があるのです。
このような場合には、自社にスタッフが在中している業者を利用する方が、価格を安く抑えられる可能性が高くなります。
適正価格を割り出しベストな業者選びをするためにも、見積もりは2〜3つの業者に請求しそれぞれを比較してみるのもおすすめです。
■おわりに
今回は、外壁塗装にかかるおおよその費用の目安について詳しく説明してきました。
坪数や材料費などによっても外壁塗装の費用は異なりますが、およそ100万円以内に収まるというのが一般的な塗装費用の目安です。
外壁塗装の費用は、見積もりを依頼してみないとわかりにくいと考えている人もいますが、坪数や利用したい塗料などから自分である程度の見込みを立てることはできます。
まずはこの記事を参考にして、おおよその目安となる費用を割り出し、見積もりと照らし合わせてみましょう。