もし今あなたが外壁塗装を考えていて、業者から合計金額200万円の見積もり書をもらっても、絶対にその業者で即決してはいけません。
外壁塗装には相場価格というものがあり、200万円という金額は相場を大幅に上回ります。
しかし、世の中には相場以上の見積書を提示する業者がいます。
この記事では、200万円などの高額な見積もりを作る業者のねらいを解説するとともに、どのような時に200万円以上の工事になるのか、正しい知識をご紹介します。
このページの目次
■外壁塗装の平均価格は100万円前後
戸建て住宅の外壁塗装で、費用が200万円もかかることはほとんどありません。
まずは外壁塗装の相場価格と、高額な見積もりに潜む危険性について知っておきましょう。
1.200万円を超えるケースは珍しい
日本国内の一戸建て住宅の平均的な大きさは約40坪です。
このくらいの規模であれば、外壁塗装費用は100万円前後が相場です。
屋根もセットで塗装した場合は150万円近くかかることもありますが、そうカンタンには200万円を上回りません。
2.200万円の見積もりには警戒しよう
実は、外壁塗装業界は相場以上のぼったくり金額を請求する悪徳業者が多く、相談件数は一日15件とリフォーム業界の中でも最も多いのです。
外壁の劣化や汚れは外からでも見えるので、塗り替え時期を迎えた家に訪問営業してくる営業マンも多く、ほとんどは悪徳業者とも言われています。
あるいはハウスメーカーなども、下請け業者を多く仲介させて工事を行うためマージンがかさみ、200万円に膨らむこともあります。
ぼったくり価格も中間マージンも、本来であれば払わずに済む金額です。
かけるべき所にはしっかりお金をかけなければなりませんが、家の補修に使われないお金を施主が負担すべき理由はありません。
200万円以上の高額な見積もりを提示されたときは、その価格が適正かどうか他の業者と相見積もりを取るなどして十分確認しましょう。
以下からは、訪問営業とハウスメーカーそれぞれで、200万円の見積もりを提示されたときの注意点について解説します。
■訪問営業マンが200万円の見積書を持ってきたら
以下からは、訪問販売業者と契約してしまった方の体験談をご紹介します。
「そろそろ外壁塗装をするべきかな」と思っていたある日、玄関のチャイムが鳴り、外壁塗装会社の営業マンが訪問販売にやってきた。
無料の外壁診断キャンペーン中だと言うのでお願いしてみると、
- 「このまま劣化が進むと手遅れになりますので、一刻も早く補修工事が必要です!」
- 「非常に劣化しているので、本来なら400万円以上かかるのですが、今回はキャンペーン期間中ですので、特別にモニター価格の200万円で承りますよ!」
- 「ただし本日中にご契約していただいた場合に限ります。明日以降ですと、定価の400万円でしかお請けできませんよ。」
- 「他にも申し込みたいというお客様がいますので、今ここで申込んでいただかないと間に合わないかもしれません。」
と言った具合に不安を煽られ、契約を急かすような言葉を次々に言われたため焦って契約してしまった。
後で別の業者に相見積もりを取ってみたら「塗替えの時期ではあるが、そんなに深刻な劣化はない」と言われ、費用も90万円程度だった。
上記の事例には、悪徳業者がよく使う手口が沢山あります。
- 「手遅れ」や「非常に劣化している」などの言葉で緊急性を強調している
- 100万円単位のあり得ない大幅な値引きやモニター価格を提示する
- 「他にも検討中のお客さんがいる」、「今契約しないともうできない」などと言って不安を煽る
このような手口に騙されてしまわないためにも、悪徳業者のねらいを十分理解しておきましょう。
1.悪徳業者はここに付け込んでくる
外壁塗装の費用相場を知っている人は多くありません。
そのため200万円という高額な見積もりを提示されても、営業マンのセールストークでお得なように錯覚してしまいます。
そして「今日中に契約」や「もう二度とこの価格では契約できない」などと急かされることで、家族に相談したり他の塗装業者に相見積もりをしたりする余裕を失ってしまうのです。
そのほか、以下のような説明をされたらどう感じるでしょうか。
「お宅の窯業系サイディングの構造クラックはフィラーまで到達しており、コーキングが剥がれて塗膜表面のチョーキングも進行しています。既存の水性シリコン樹脂系塗料では耐久性が不十分ですので今すぐ耐用年数の長い弱溶剤フッ素樹脂系塗料に塗り替えましょう。」
このように説明されても、その場ですべて理解できる人はほとんどいないでしょう。
悪徳業者の中には、素人には分からない専門用語を多用して判断力を無くそうとしてくる卑劣な所もあります。
詐欺会社の訪問営業は、東京や大阪といった都心部に限らず全国で多発しています。
他人事と思わずに、このような業者が存在することを心に留めておきましょう。
2.悪徳業者と契約してしまった場合は?
もし悪質な業者と契約してしまっても、8日以内であればクーリングオフで契約を解除する事ができます。
クーリングオフのやり方については、詳しくは訪問の営業で申し込んでしまった外壁塗装はクーリングオフしよう!!という記事でご確認ください。
クーリングオフの手順や利用するための注意点などを解説しています。
初めて外壁塗装の塗り替えをする方は、工事費用の相場が一体いくらなのか、どうやって塗装業者を探せば良いのか、どんな業者を選べば良いのかわからなくても仕方がありません。
そこに付け込んであの手この手で契約させようとしてくるのが、悪徳業者です。
クーリングオフなどの制度の存在も知っておき、いざという時に家と家族を守れるようにしましょう。
■ハウスメーカーから200万円の工事を提案されたら
訪問営業以外で高額な見積もりを作る業者といえば、ハウスメーカーです。
ハウスメーカーで家を新築した人は、塗り替え工事も同じハウスメーカーに頼むことがあります。
「ブランド力のある大手ハウスメーカーに任せれば、名前もわからない業者に任せるより安心」と思われている方も少なくありません。
しかし、実はハウスメーカーは価格が高額なだけでなく、手抜き工事が行われてしまうリスクも潜んでいます。
1.ハウスメーカーの工事は中間マージンがかかる
ハウスメーカーには工事を行うスタッフがいません。
そのため、実際に工事をするのは別の下請け業者です。
そして下請け業者を利用すると、紹介料として「中間マージン」が発生します。
中間マージンの金額は公開されていませんので不確かですが、平均的な金額は工事費用の約20%と言われています。
中間マージンが20%ということは、100万円で済むはずの工事が120万円になってしまいます。
もちろん施主に渡す見積書に「下請け業者への仲介料」と書くわけにはいきませんので、高圧水洗浄代や足場代を相場よりも高額にして中間マージン分としているケースが多いです。
家を建てる時にお世話になったハウスメーカーの営業担当者にリフォームも頼みたいと考えてしまいますが、やはり外壁塗装の施工価格は他の業者に比べると高額になってしまいます。
ハウスメーカーになんとなく工事を依頼してしまう前に、他のリフォーム業者や工務店でも相見積もりをして、金額や施工内容を比較しましょう。
2.実は多いハウスメーカーの手抜き工事
下請け業者はハウスメーカーとは全く別の外注業者です。
工事当日、どの下請け業者がご自宅にやってくるかはわかりません。
どうにかして利益を出そうと手抜き工事をする、悪質な下請け業者に当たる可能性もあります。
実際にあった手抜き工事の内容は
- 現場の人数を減らして人件費を削減
- 足場代を節約するために不安定な脚立で施工する
- 工事日数を短縮するために高圧洗浄を短時間で終わらせる
- 養生を省いてムラだらけの塗装をする
- ひび割れやサビなどを補修せず塗料を塗って隠す
- 塗料を規定以上に薄めて材料代を浮かせようとする
- 下塗り・中塗り・上塗りのいずれかを省く
- 見積書に記載された塗料ではない安価な塗料を使用する
などです。
優良な下請け業者の中には、ハウスメーカーのブランドを損ねないようにしっかりと施工してくれる所もありますが、全ての業者がそうとは限りません。
信頼できる職人に確実に工事を行ってもらうのであれば、工事部門を持つ自社施工の塗装業者に頼むことです。
自社施工の業者は、打ち合わせから工事、アフターフォーローまでその会社のスタッフが行いますので、下請け業者が介入しません。
3.ハウスメーカーの保証は本当に安心?
「大手ハウスメーカーは保証をしっかりしてくれるので、工事で何か起きても安心」と考えている人もいるかもしれません。
確かに大手ハウスメーカーは工事後に必ず保証書を発行し、アフター点検を実施してくれます。
しかし他の塗装業者でも保証書を発行してもらえますし、保証内容や期間も大手ハウスメーカーとそれほど差はありません。
●「他の業者でリフォームすると保証がなくなる」と言われたら
ハウスメーカー以外の業者でリフォームをしようとしたとき、多くの方がお困りになるのが、ハウスメーカーのメーカー保証がなくなってしまうという点です。
「ハウスメーカーの担当者から、当社の保証が無くなりますよと言われて不安」と業者に相談される方もいらっしゃいます。
その場合は、施工を行う塗装業者から工事保証を発行してもらえば問題ありません。
ハウスメーカーと同等の保証内容であれば確実です。
ハウスメーカーの保証がなくなったからと言って家に危険が及ぶことはありませんのでご安心ください。
■工事費用が200万円でも詐欺とは限らない
一戸建て住宅で外壁塗装の工事金額が200万円もかかるケースはごくまれです。
しかし、状況次第では200万円かけて工事を行わなければならないこともあります。
200万円かけなければいけない3つのケースについて知っておきましょう。
1.大きな建物を塗装する場合
大きな家は施工面積が広い分、施工費用も高額になります。
現在、外壁塗装で最も使われているのはシリコン塗料です。
40坪程度の戸建住宅をシリコン塗料で塗装すると、合計費用は約100万円前後になります。
しかし、60坪や70坪以上の住宅になると、シリコン塗料でも200万円近い価格が必要になってきます。
集合住宅や広い敷地面積に建てられた別荘など、大きな建物を塗装する時は200万円ほどの予算を立てておきましょう。
2.施工単価が高い塗料を使う場合
最もハイグレードなフッ素系塗料や、特殊な機能を持つ光触媒塗料や無機塗料などの機能性塗料を使って塗装すると、200万円以上かかることがあります。
シリコン塗料、フッ素塗料、光触媒塗料を、㎡あたりの単価で比較してみましょう。
シリコン塗料 | 2,500~3,200円 |
フッ素塗料 | 3,800~4,500円 |
光触媒塗料 | 4,500~5,200円 |
無機塗料 | 4,800~5,800円 |
100㎡を塗装したとき、シリコン塗料とフッ素塗料では約10万円の費用差が発生することになります。
このように、単価が高い塗料を選ぶほど塗装費用は高額になります。
●「高性能」を謳って営業する業者に注意
悪徳業者がよく使うセールストークに、「高性能なフッ素塗料なのでどうしても費用は高額になります」「当社開発の光触媒塗料なので、お値段は高くなりますが効果は高いですよ」などと言うものがあります。
しかし、フッ素塗料や光触媒塗料で塗装しても、一般住宅で200万円を超えるケースはまれです。
「高性能だから高い」と鵜呑みにしてしまわず、必ず見積もり書の「㎡あたりの施工単価」を調べ、相場より高く設定されていないか確認しましょう。
大手塗料メーカーであれば、ホームページに塗料別の単価相場を記載しています。
業者が開発したオリジナル塗料は施工単価が出回っておらず相場が調べられませんので、避けておいた方が賢明です。
3.他のリフォームも同時に実施する場合
外壁塗装工事とセットで他のリフォーム工事も実施した場合は、200万円かかっても不思議ではありません。
例えば、
- モルタル壁を撤去してサイディングに張替える工事
- 屋根材の葺き替えリフォームなども実施する工事
- 外壁や屋根の下地に手を加える補修工事
- 水回り機器の交換工事
などを塗装とセットで行うと、200万円かかることがあります。
■まとめ
外壁塗装の工事内容は家の大きさや劣化具合によって金額が違い、定価というものがありません。
ご自宅の最も適正な塗装価格を知る方法は、相見積りを取ることです。
提示された見積もりが相場よりも高額なのか、ご自宅にとって適切かどうかは一社の見積もりだけでは判断できません。
もし200万円などの高額な見積もりを提示されても、焦らずに複数の業者から相見積もりを取ってご自宅の相場を調べましょう。