外壁塗装を行ううえで、塗料の種類やグレードは耐久性や価格に影響しますので、とても重要な要素です。
そこで、よく耳にするのが最近では定番となりました「シリコン塗料」と言われる塗料です。
ここでは、シリコン塗料がどのような特徴があるのか確認していきたいと思います。
このページの目次
■シリコン塗料の特徴
一般的にはシリコン塗料とよばれいますが、正式には「アクリル系シリコン塗料」といいます。
耐久性の低いアクリル塗料と区別するためにシリコン塗料と呼びます。
主成分である合成樹脂がとても安定した性質をもつシリコン樹脂でできた塗料のことをいいます。
主成分のシリコン樹脂がとても安定しているため、耐久性がとても高く、グレード的に最上級のフッ素系塗料の次に良いとされています。
(最近ではフッ素塗料とシリコン塗料の間にラジカル塗装という新しい種類ができてきました。)
そのグレードに対しての費用対効果がとても良いので、非常に多く採用されています。
1.塗装工事で使われる定番の塗料
シリコン塗料は塗装工事で使用される定番塗料です。
定番塗料としての特徴や特徴を確認していきましょう。
●大手メーカーで取り扱われている
シリコン塗料は最初に発売されてから、10年以上がたちます。
実績も十分で、関西ペイント、日本ペイント、エスケー化研という三大メーカーをはじめとする各メーカーから発売されています。
また、さまざまな色や機能を持ったシリコン塗料が発売されていますので、色々なバリエーションから外壁タイプに合わせてなどの選択がとてもしやすいです。
販売量がとても多いことで製造コストが下がり、販売価格もが下がると同時に、在庫も豊富なため納期面でも優れているといえるでしょう。
●コストパフォーマンスが良い
シリコン塗料は紫外線に強く耐久性がとても高く、耐久年数が10年と最高級のフッ素系塗料の15年程度からは少し劣るものの、アクリル系の5年程度やウレタン系の7年程度など以前の定番塗料と比べてとても寿命がながくなります。
そのため、イニシャルコストは多少高くなりますが、リフォームサイクルが長くなるので、ラニングコストで見ると断然お得です。
2.耐久性が高い
シリコン塗料は一般的に耐久性が高いといわれています。
以下では、その理由を確認していきたいと思います。
●高温に強い
シリコン塗料を塗った外壁は一般的に600℃の熱にまで耐えられるとされています。
外部では、直射日光を受けてとても高温になりますので、塗料が高温に強い方が劣化がしにくいのでとても有利です。
●低電圧性・低汚染性
シリコン塗料は、緻密な化学的構造により大気中の粉塵や排ガスなどを寄せ付けにくく、優れた低汚染性を発揮します。
この低汚染性と低電圧性により汚れが付きにくいので、キレイな状態が長続きします。
●耐候性が高い
シリコン塗料は対候性が高いと言われています。
この耐候性とは屋外で使用する際の耐久性のことで、太陽光や雨、風、温度変化などに対して劣化や変質がしやすいのか、しにくいかのことで、耐候性が高いといわれるのは、屋外で使用した時の耐久性が良いとの意味です。
シリコン塗料は、緻密な化学的構造でできているので、紫外線や湿気などの劣化要因に対して優れた抵抗性があるため、耐候性がとても高く優れています。
紫外線に強い為、色あせしにくく、美しい外観を長持ちさせることが可能です。
■シリコン塗料の耐用年数と費用相場
シリコン塗料が優れている点はここまででも大分理解していただいたと思いますが、ここからは、他の塗料と比較して耐用年数や費用について確認してみたいと思います。
1.シリコン塗料の耐用年数
シリコン塗料の対応年数は一般的に約10~15年とされていますが、その優れた性能をしっかりと生かすためには、しっかりとした施工が大切です。
優れた塗料でも、下地がおろそかなまま、塗ってしまいとすぐに塗膜がめくれてしまったり、一言でシリコン塗料といっても、いろいろな種類や特徴がありますので、状態にあった物を選択しないと、コストパフォーマンスが悪かったり、性能をしっかりと発揮できなかったりしてします。
このような点からも、知識をしっかりと持った、信頼できる良い業者さんを見つけることがとても大切です。
●シリコン塗料以外の耐用年数
下に記しましたのが、各塗料の種類と一般的に言われている耐用年数です。
表の上の方が耐用年数が長く下に行くほど短くなります。
塗料種類 | 耐用年数 |
フッ素 | 15〜20年 |
ラジカル | 15年前後 |
シリコン | 10〜15年 |
ウレタン | 7〜10年 |
アクリル | 5〜7年 |
この表からも分かりますように、アクリル塗料とシリコン塗料では耐用年数が2~3倍の違いが出てきます。
特に紫外線や熱の影響をまともに受ける屋根に関してはその差が歴然とでるため、3倍程度の差がつくとすると、アクリルで5年、シリコンで15年とした場合、シリコン1回塗るのに対してアクリルだと3回塗らなければなりません。
費用面のことは次の項目で説明しますが、仮に塗装費用が3分の1だとしても、工事に必要な足場などの仮設費用が3倍かかってしまいますので、アクリル塗装がお得ということはありません。
このような理由で、外部、特に屋根にはアクリル塗装は適しませんので、塗料の種類は注意して選定してください。
2.シリコン塗料の費用相場
シリコン塗料の費用相場は地域差などもあるので、一概に言えませんが、約2,200~3,100円/㎡で、外壁面積が100㎡で塗装費が3,000円/㎡とした場合は、300,000円となります。
延べ床面積が100㎡(約30坪)の2階建てとした場合、外壁面積はおおよそ120~140㎡、屋根の面積は約50~60㎡位です(階数や建物の形状によって大きく面積は変わりますので、あくまでも目安)。
- シリコン塗料以外の費用相場
下に記しましたのが、シリコン塗料以外の1㎡当たりの塗装単価です。
塗料種類 | 1㎡の単価目安 |
フッ素 | 4,000円前後 |
ラジカル | 3,500円前後 |
シリコン | 3,000円前後 |
ウレタン | 2,500円前後 |
アクリル | 2,000円前後 |
延べ床面積が100㎡(約30坪)の2階建てとした場合、外壁塗装工事で
- シリコン塗料の場合、約900,000円程度、
- フッ素塗料の場合、約1,150,000円程度
だと思われます。
*階数や建物の形状によって大きく面積は変わりますので、あくまでも目安としてください。
■シリコン塗料を選ぶ時のポイント
一言でシリコン塗料と言っても実はいろいろな種類があります。
各メーカーがさまざまな機能や特徴を持った塗料を発売していますのでその違いについて確認してみたいと思います。
1.タイプの違い
同じシリコン塗料でも、「水性・溶剤型」「1液型・2液型」「弾性タイプ」というタイプの違いがあることを説明します。
まず、同じシリコン塗料と言っても
- 「水性・溶剤(油性)型」
- 「1液型・2液型」
- 「弾性タイプ」
など、さまざまなタイプ分けがありますが、下の表にまとめてみました。
シリコン塗料には、水性塗料と溶剤(油性)塗料との大別でき、溶剤塗料の中に溶剤タイプと弱溶剤タイプとがあり、水性・溶剤・弱溶剤共に1液型と2液型があります。
2液型は主剤と硬化剤を混ぜ合わせて使用するのですが、その硬化剤に弾性機能を持たせた物を使用すると弾性タイプとなります。
●水性・溶剤型
水性タイプと溶剤タイプとの違いは、元の塗料を薄める希釈剤に水を使用する場合は水性タイプ、有機溶剤と呼ばれるシンナーなどを使用する場合は溶剤タイプとなります。
水性タイプと溶剤タイプの選別は、耐久性が高いのは溶剤タイプとなります。
溶剤タイプは匂いがきつく、環境的にもあまり良くありません。
最近ではメーカーの技術が良くなり、水性でも溶剤タイプにさほど耐久性が劣らなくなってきました。
それでも、溶剤タイプの方が耐久性では優れています、塗り替えなどで匂いが気になるけど、溶剤タイプにされたい方は弱溶剤タイプが匂いも低減され、環境にも配慮されているのでお勧めです。
●1液型・2液型
1液型と2液型の違いは1液型は缶をそのまま水や溶剤で希釈して使用します。
2液型は主剤と硬化剤を混ぜてから、水や溶剤で希釈して使用します。
1液型よりも2液型の方が耐久性は良いとされていますが、2液型の方が作業効率が落ちるのと、混ぜ合わせた材料は決められた時間内に使い切らなければならないので、管理が難しく材料のロスも生じやすくなるので単価が高くなります。
予算に合わせて、屋根などのより高い耐久性が求められるところは2液型とし、外壁など一般部分は1液型にするなど、状態によって組み合わせると良いと思います。
●弾性タイプ
弾性タイプについては、2液型で弾性機能を持たせて硬化剤を使用すると、塗料に高い弾性生まれます。
下地に微弾性フィラーを使用して、上塗りを1液タイプで仕上げる方法もありますが、あくまでも微弾性ですので、大きな揺れやクラックには追従できません。
モルタルなど、ひび割れが起きやすい外壁には、ひび割れに追従してくれる、弾性タイプがおすすめです。
2.不向きな外壁には使わない
非常に優れたシリコン塗料ですが、何にでも塗れる訳ではなく、不向きな場合もありますので確認してみましょう。
●木部
シリコン塗料の塗膜は非常に密度が高く、水や湿気を通しません。
そのため湿気を吸ったり放湿したりする「調湿作用」をもつ木部などには向きません。
シリコン塗料を木部に塗ると、木部の中の湿気が外に出ようとするため塗膜の浮きの原因となります。
●ひび割れの多い外壁
普通のシリコン塗料の塗膜は密実で硬くて丈夫ですが、その反面柔軟性に欠けるため、ひび割れや割れを起こしやすいのが欠点です。
その欠点を補うためには、伸縮性をもつ弾性塗料を選択するのが有効的です。
3.シリコン含有量が低いものは避ける
シリコン塗料にはさまざまな種類が色々なメーカーから販売されていますが、塗料を選択するうえでシリコンの含有量がとても大切になります。
シリコンの含有量が少ないと、シリコン塗料の優れた機能が得られません。
大手メーカーの商品はシリコン含有量をしっかりと管理して製造されているので特におすすめです。
シリコン塗料を選ぶのであれば、基本的には関西ペイント、日本ペイント、エスケー化研のどれかにしておきましょう。
■まとめ
シリコン塗料は定番塗料で種類も豊富ですので、良くその性能を理解して、建物や下地に適した種類を選んでください。
特に水性や溶剤型、弾性型、シリコン含有量などは重要なポイントになりますので特に気を付けて選択してください。
また、せっかく優れた塗料でも不向きな建物や下地に使用しても十分な効果を得られませんで良く確認してから採用を決定してください。