外壁は塗料を単純に塗布しただけでは、のっぺりとして貧相に見えてしまう場合もあり、壁に立体感や重厚感を出すために、「外壁のデザインを、でこぼこ模様にしたい。」と考えている人も多いです。
スタイリッシュな住宅などで見ることができるでこぼこの外壁ですが、業者に依頼する時にどのように依頼したら良いのか悩むこともあるため、外壁塗装におけるでこぼこ模様の種類や選ぶときの注意点などについて詳しく説明していきます。
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■あえてでこぼこを付ける外壁塗装もある
外壁に凹凸のある「でこぼこを付ける」と聞くと、塗装が均一になっていない「施工不良」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、外壁塗装においては、あえてでこぼこに仕上げるという塗装方法が存在します。
冒頭でも簡単に説明した通り、でこぼこの付いた外壁は立体感を出すことができ、さらには施主好みの意匠性(かっこよさ)を高める効果などもありますし、「外壁塗装のでこぼこ」と一言でいっても、でこぼこには種類や名称が複数存在し、好みによって仕上がりが異なります。
1.でこぼこはなぜ意匠性を高めるのか
でこぼこが意匠性を高める主な理由となっているのが、外壁のでこぼこ模様自体が主に手作業で作られているという点であり、既製品のパネルなどでは作れない手作業ならではのランダムさが魅力です。
工業製品のようにパターン化されていないランダムな模様は、自然な趣を生み出し、デザインによって重厚感などを作り出すこともできます。
2.でこぼこにも種類と名前がある
外壁のでこぼこには実はさまざま種類があるため、専門知識がない人にとっては、「どのようなでこぼこ模様にしたいのか?」という、自分の希望を施工業者に対して言葉で説明できないと感じる人も多いでしょう。
詳細な名称を調べずに「でこぼこ風の仕上げにしてください」などと漠然と伝えてしまうと、イメージと全く異なる仕上げになる恐れがあるので、外壁の風合いを決める時に、好みのでこぼこ模様を見つけたら、まずはそのでこぼこの名前を調べておくことをおすすめします。
業者によっても工法の呼び名が異なることがあるため、名称と画像を施工業者と共有できると、自分のイメージに近い仕上がりが期待できます。
■外壁塗装で「でこぼこ」を付ける方法
一般的に外壁のでこぼこ模様と表現される技法については、
- リシン吹き付け
- スタッコ吹付け
- 吹付けタイル仕上げ
- 左官仕上げ
などがあります。
1.リシン吹き付け
リシン吹き付けは、でこぼこ仕上げの中でも特に代表的な技法で、モルタル外壁に用いられる表面化粧材での仕上げ方法ことを指しており、他の仕上げ方法に比べて施工単価が安価なことや、施工自体が簡単であることなどから1980年代くらいまでは主流の外壁塗装の方法でした。
アクリルの主材に砂粒(破石配合物)や顔料などを混ぜ合わせたものを、「リシンガン」という専用スプレーガンを用いて壁に吹き付けていく表面仕上げの方法です。
仕上がりは、砂壁風のざらついた風合いになり、表面につやが出ることないため、ツヤや撥水性を求める人の場合には、後で説明する「吹付けタイル」という仕上げ方を利用するのがよいでしょう。
他の仕上げ方法に比べて耐久性にやや劣り、ひび割れに弱いというデメリットがあるため、最近では伸縮性があってひび割れしづらい「弾性リシン」というものが用いられはじめています。
2.スタッコ吹付け
スタッコ吹付けとは、リシン吹付け同様にモルタルの外壁に用いられる表面化粧材の仕上げ方法のことで。リシンと同様に砂壁風の仕上がりです。
リシンはアクリルの主剤に砂粒などを混ぜたものですが、スタッコはセメントに塗料を混ぜて、さらに大理石などの骨材を混ぜ合わせ、専用スプレーガンで吹付けます。
また耐久性が7〜8年のリシンに比べ、スタッコは10年の耐久性があるといわれており、耐久性の面ではリシンに比べて強いといえますが、リシンに比べてでこぼこが大きめなので、リシンよりも見た目に重厚感が出ますし、和風・洋風どちらのイメージにも馴染みやすく、幅広いデザインの住宅に対応しやすいという特徴も持ち合わせています。
ただし、リシンよりも厚塗りの凸凹になるので、リシンに比べて汚れが付着しやすいというデメリットがあります。
3.吹付けタイル仕上げ
吹付けタイル仕上げとは、リシン仕上げ、スタッコ仕上げ同様にモルタル壁に用いられる仕上げ方法で、顔料、短繊維、合成樹脂エマルション、添加剤などで構成された高粘度の塗材を専用スプレーガンを用いて吹き付けて仕上げます。
ちなみに「タイル」という名前が付いてはいますが、一般的にいわれている磁器質のタイル材をセメントで張り付ける「タイル壁」とは全くの別物です。
またリシンやスタッコのようにセメントや骨材を混ぜないため、表面がザラザラせずに塗料を外壁表面にボタボタと垂らしたような見た目になるため、リシンやスタッコのようにザラザラの仕上がりではなく、凸凹があっても滑らかな仕上がりになり、撥水性が高いのも特徴です。
またタイル吹付けで作った凹凸を、専用のローラーでならして表面を滑らかに仕上げる「ヘッドカット工法」と呼ばれるような仕上げ方法もあります。
4.左官仕上げ
左官仕上げはローラー、刷毛、コテなどを利用して「塗り壁材料」で模様をつけていくという方法で、漆喰(しっくい)などの外装材に使われます。
ローラー、刷毛、コテの使い方によって壁に扇模様や櫛で引っ掻いたような模様を表現することができまするので、他の仕上げ方法よりも外壁の表情が豊かになりやすいというメリットがあります。
ただし、左官仕上げは様々な模様があり、模様の呼び方は業者によって異なる場合が多いので、具体的に左官仕上げで模様を依頼する時には、事前に仕上がりの写真や画像を提示するのがおすすめです。
また業者の技術によって、吹き付けの塗装方法よりも仕上がりに差が出る可能性があり、業者によっては、希望している仕上がりにできる場合とできない場合があるので、最初に仕上がりのイメージをしっかり確認しておくとよいでしょう。
■でこぼこが付いた外壁塗装にするときの注意点
1.汚れがでこぼこに入り込みやすい
でこぼこが付いた外壁の一番のデメリットとなるのが、表面の滑らかな外壁に比べて汚れが入り込みやすいという点で、でこぼこが多ければそれだけ汚れも入り込みやすくなり、雨などでも汚れが落ちにくく、汚れ自体が凹凸に蓄積していきやすくなっています。
そしてその蓄積された汚れがエサとなり、カビやコケが繁殖しやすくなってしまうという悪循環も生じるでしょう。
自分で洗剤や硬いブラシなどを用いて掃除することも不可能ではありませんが、凸凹のテクスチャーが欠けてしまう恐れがあるので、自己流の掃除は避けるようにし、洗浄業者や塗装業者を呼んでバイオ洗浄を行うのがおすすめです。
2.塗料が周囲に飛散しやすい
リシン吹付け・スタッコ吹付け・吹付けタイル仕上げを行う場合には、専用のスプレーガンを用いて、外壁に材料を吹き付ける作業が行われます。
機械から噴射された塗料が壁一面に吹付けられていくのですが、その際周囲に塗料が飛散しやすく塗料の無駄が多くなってしまうというデメリットがあります。
塗料は基準塗布量がメーカーで決められているため、無駄が多いからといって塗料を薄めたり減らしたりすることはできません。
また塗料の飛散を防ぐために、養生を通常の塗装よりも入念に行う必要があり、汚れて困るものは事前にできるだけ屋内へ移動させておきましょう。
また、周囲の家への配慮も必要ですので、吹付け工事の前には、必ず業者に近隣住宅への挨拶回りを徹底してもらう必要があります。
3.職人の技術に左右される
冒頭でも説明した通り、でこぼこを付ける外壁塗装は基本的に職人の手作業で行わるため、作業する職人の技術力にも左右されてしまう可能性があります。
たとえばサイディング壁のように既製品のパネルを貼り付けていくような外壁であれば、比較的どの作業員が行っても仕上がりに大きな差が出ることはほとんどありませんが、吹付けや左官工事を依頼するのであれば、施工する職人の技術がダイレクトに現れやすくなってしまいます。
できるだけ自分のイメージ通りの仕上がりにしてくれる職人を探すためには、業者の過去の施工事例をホームページで見るか「過去の施工事例写真を準備してほしい」などとお願いして確認するのがおすすめです。
●最近は吹き付けに慣れた職人が少ない傾向がある
1990年代以前はモルタル壁の外壁が主流だったため、吹付けや左官作業なども多く行われていましたが、現代は外壁の主流がサイディングボードに移行していたり、モルタル壁でもローラーを使った塗装が主流になっています。
そのため、地域などによっては吹き付け仕上げに慣れた職人が少ないこともあるのです。
でこぼこを付ける外壁塗装を自分の希望通りに施工してくれる業者を探すためには、昔から吹付け仕上げを行ってきた業歴が長い業者を選ぶのがおすすめです。
■おわりに
外壁塗装で凸凹を付けることによって、立体感が増したり外壁全体の表情が豊かになるなどのメリットを得ることができますが、漠然と業者に「でこぼこの塗装をしたい」と伝えても、イメージの異なる仕上がりになってしまう恐れがあります。
業者に「自分のイメージするでこぼこの壁」に仕上げてもらうためには、まずはどのような種類があるのかや、模様タイプ別の工法を知ることが重要です。