外壁部分に発生する劣化について知っておくことは、外壁塗装の施工不良を防ぐためにも重要です。

外壁の種類によって、起こる劣化の種類や補修方法も違ってくるため、まずはどのような補修工事があるのかチェックしていきましょう。

外壁塗装の専門業者であれば、こうした劣化や補修について最適なアドバイスをしてくれるので、業者選びもしっかり考えておくと安心です。

■外壁に起きる劣化症状の種類

外壁部分に劣化が起きている場合、劣化を補修したうえで塗装工事に進まなければ、塗料の効果がなくなってしまいます。

では、外壁に起きる劣化とはどのような症状なのでしょうか?

詳しく解説していきましょう。

1.   ひび割れ(クラック)

ひび割れはクラックとも呼ばれ、起きた箇所とレベルに応じて補修方法が異なります。

放置すると割れ目から外壁内部に雨水が浸水し、構造材の腐食や、シロアリなどの湿気を好む害虫を寄せ付ける恐れがあるため、塗装の前に補修しなければなりません。

ひび割れはモルタルの外壁に起こる劣化で、その程度にも段階があります。

●ヘア―クラック

髪の毛のような細いひび割れのこと。

厚みのある下地材で塗装して割れを塞ぎ、上から塗装して補修する。

●構造クラック

幅0.3mm以上の深いひび割れのこと。

塗装前に割れにエポキシ樹脂を注入して塞ぎ、その上から下塗り材、仕上げ材を塗布して補修する。

●サイディングボードの欠け

割れた部分にエポキシ樹脂を注入して補修する。

ただし、ボード全体が広範囲に欠けている場合はボードそのものの交換が必要。

2.カビ・コケ

湿気の多い箇所、日当たりが悪い外壁面には、カビやコケが生える可能性があります。

もし外壁面に黒っぽいものが見えたらカビで、コケは緑がかっています。

外壁塗装工事では、最初に高圧洗浄機で水道水をかけて汚れなどを除去しますが、カビが広範囲に繁殖している外壁や屋根は、薬剤を混ぜたバイオ洗浄で根本ごと除菌する場合もあります。

バイオ洗浄は通常の高圧洗浄よりも、金額が1.5~2割増しになるので、カビが生えているときは少し価格が上がることを覚えておきましょう。

洗浄後は、防カビ・防藻性能を持つ塗料で塗装するとカビやコケの再発を防ぎやすいのでおすすめです。

3.塗膜の劣化

外壁そのものではなく、外壁を保護している塗料自体に劣化が起きることがあります。

劣化は経年によっておきるやむを得ないものもあれば、施工不良で塗装から2~3年後に発生するものもあります。

もし前回の塗り替えから時間が経っていないにも関わらず劣化が起きたときは、施工した業者に連絡して補修してもうよう依頼しましょう。

●剥がれ

相性の悪い塗料で塗装すると、塗膜が外壁に密着できず剥がれてくることがあります。

施工から5年以内に発生した場合、施工不良の可能性が高いため、施工業者に連絡した方がよいでしょう。

剥がれた塗料は再利用できないので、いったんすべて高圧洗浄で除去し、新しく塗装しなおす必要があります。

●気泡

内部に空気や異物が残ったまま塗料が乾燥すると、塗膜が気泡のように膨れ上がることがあり、剥がれに繋がる恐れがあります。

剥がれと同様に施工不良の可能性が非常に高いため、施工業者に連絡して適切な処理をお願いすることが大切です。

●縮み

正しい環境化で乾燥できなかった塗料は、縮みが発生することがあります。

縮んだ面積の分外壁を保護できていないので、塗替えが必要に。

こちらも施工不良の可能性が高いため、施工業者にしっかりと確認して、再塗装の依頼をすることが重要です。

●チョーキング

塗料が紫外線や雨で劣化し、成分の顔料がチョークの粉のように外壁表面に付着するようになる現象のこと。

チョーキングが起きている外壁塗料は、含まれている顔料が落ちているため色あせが起こっています。

経年劣化で起きることがあり、塗料が耐用年数を迎えているサイン。

外壁表面に手で触れて粉が着くようであればチョーキングが起きている状態なので、劣化した塗膜を除去してから塗替えが必要になってきます。

■付帯部の劣化の種類

外壁や屋根本体以外でも、雨どいや金属の板金部分、ベランダの手すりなど、付帯部分の劣化も考えられます。

それぞれの劣化についても補修が必要になってくるため、早めに補修を依頼することが大切です。

1.鉄部の錆び

ベランダの手すりや鉄骨階段に使われている鉄部、屋根や外壁に防水のために取り付けられている金属製の板金は、表面の塗料が劣化したり、傷がついたりして錆びが発生することがあります。

金属が腐食するとその部分から折れて取れることがあるため、ベランダ手すりや鉄骨階段などの錆を放置すると転落などの事故に繋がりかねません。

また屋根の板金やベランダ手すりの笠木などが腐食すると、雨水から建物を保護できなくなり防水性が低下してしまいます。

 

こういった鉄部の錆に対する補修は、ケレン処理をしたのち防錆塗装をしてから、仕上げの塗装をして外壁面を保護します。

※ケレン処理(ケレン作業)とはヤスリやブラシで錆びを落とす作業のこと。

2.目地シーリングの劣化

シーリング(コーキング)とは、サイディングボードの継ぎ目や窓サッシの周りに充填されているゴム状の部材のことで、継ぎ目部分からの雨水の浸水を防ぐ役割を担っています。

シーリングは紫外線や雨水に弱く、5~7年程度で劣化する可能性も。

劣化したシーリングは裂け目が生じたり、縮んで隙間ができたりするため、早急に補修が必要となってきます。

 

シーリング工事の内容としては、既存のシーリングを撤去し新しく打ち直す「打ち替え」と、耐久性が残っている部分のみ残してシーリングを充填する「増し打ち」の2種類があります。

どちらの工事が必要なのかは依頼する業者にきちんと見てもらい、早めに補修を行うようにしましょう。

3.付帯部の破損

外壁塗装業者によっては、破損した付帯部の部材を交換する工事まで請け負ってくれる会社もあります。

部材の交換まで必要になるかどうかは、業者による現地調査で判断してもらえるので、見積もりを依頼するときに相談することをおすすめします。

■外壁の劣化補修を専門家に依頼すべき理由

外壁では様々な劣化が広範囲で発生する可能性があるため、補修工事を依頼するときはできるだけ専門家に依頼した方が安心です。

その理由について解説していきましょう。

1.補修の原因を調べて根本から直してくれる

外壁塗装を専門に行っている業者は外壁の劣化にも詳しく、最適な補修方法を知っています。

外壁塗装は劣化補修をしたうえで行わなければ効果を発揮できないため、専門の業者であればこうした補修を含めた工事工程を提案してくれます。

外壁の劣化に詳しくない業者では劣化の表面しか補修できず、結局すぐに再発させてしまうことがあるため、詳しい優良な外壁塗装専門業者に依頼した方がよいでしょう。

2.正しい補修方法を提案してくれる

正しい方法で補修しなければ外壁を傷めてしまう恐れがあります。

例をみてみましょう。

例)

  • カビやコケを除去するために強い力で外壁を磨いて、劣化が起きていなかった塗料まで劣化させてしまう
  • 汚れを落とそうとして外壁素材と相性の悪い薬剤を塗布して外壁を傷めてしまう
  • 屋根の欠けを保護したつもりが塞ぎきれておらず、雨水の浸水に気づけぬまま雨漏りに発展させてしまう

正しい補修が行われなければ、このように悪化してしまう可能性があります。

補修に慣れている外壁塗装業者であれば、劣化の種類とレベルに合った適切な補修を提案、施工してくれるため、やはり専門の知識を持った業者選びが大切です。

■おわりに

外壁部にはさまざまな種類の劣化があり、補修に関しても最適な方法が違ってきます。

外壁塗装を依頼するときはなるべく塗装の専門業者に見積もりを依頼し、外壁まわりをしっかりと見てもらいましょう。

どのような補修が必要なのかを確認しておくことで、費用や工事の内容も把握することができます。

外壁塗料の効果がきちんと発揮されるよう、業者選びは慎重に行うように心掛けるのがおすすめです。