外壁塗装の見積もりに関連して「30坪」が参考になっているのを見かけるかもしれません。

 

自分の家の正確なサイズを把握していないとしても、まずはこの30坪という基準を理解しておくことは外壁塗装の予算を立て、業者の提示する見積り価格が適正かどうかを判断するのに大いに役立ちます。

■外壁塗装の施工面積はなぜ30坪で計算されるのか

よく「建坪」と「延べ床面積」が混同されがちですが「建坪」が建物の建っている土地の面積を指すのに対し、「延べ床面積」は建物のすべての階の面積の合計のことを指します。

 

外壁塗装について考える時には「建坪」ではなく「延べ床面積」を基準にして様々な費用を計算します。

1.30坪は平均的な戸建て住宅の延べ床面積に近い

30坪(約100㎡)は関東の戸建住宅の延べ床面積のほぼ平均です。

30坪は間取りでいえば3LDK〜4LDK程度になり、家族4〜5人が暮らすのにも過不足の無い広さといえます。

 

この面積を元にして外壁塗装の施工費用を理解しておけば、実際に自分の家の施工費用がいくらぐらいなのか、業者の見積金額が適正かどうかを判断するのに役立ちます。

 

実際に自分の家が30坪より大きい場合も小さい場合も、この平均的な数値を基準として外壁塗装にかかる総工費をある程度予測することが可能です。

2.30坪の住宅の外壁面積とは

30坪という延べ床面積は戸建住宅の平均的な広さに近いので、外壁塗装に関する各工事や総工費の相場価格を求める上でひとつの基準と見ることができます。

 

延べ床面積の数値から、簡単な計算式で外壁の塗装面積(外壁の総面積から窓やドアなどの開口部を差し引いた面積)を算出することができます。

 

1坪は約3.3㎡ですので30坪であれば延べ床面積は約100㎡です。

ここに係数「1.3」をかければおよその塗装面積を知ることが出来ます。

つまり、30坪2階建て住宅であれば塗装面積はおよそ130㎡程度と考えることが出来ます。

 

ただし、雨どいや破風、軒天といった付帯部分を塗装するか、劣化がひどい箇所にどの程度の補修が必要か、といった条件によって塗装面積は前後することもあるのであくまで参考の数値と考えてください。

■30坪の建物における外壁塗装費用の求め方

1.外壁塗装費用は施工面積×㎡単価で求める

外壁塗装の総工費はいくつかの異なる工事費用の合計になっています。

ひとつひとつの工事の費用は「施工面積(㎡)×単価」で算出できます。

 

各工事の単価は施工業者によって多少の価格差はあるものの、どんな工事にも相場価格がありますので見積書が適正かどうかを判断することは可能です。

2.外壁塗装の工事項目

●足場設置工事

・価格相場:600~900円/㎡

外壁塗装工事で最初に行う工事です。

足場の施工面積のことを足場架面積といいますが、この面積は塗装面積とは異なり、建物の外周の長さを元に算出します。

延べ床面積約100㎡の総2階一戸建ての場合を試算してみると、一階面積は50㎡で外周はおよそ30m、足場は外壁から0.5mほど離して設置されますので外周+4mほどで、通常屋根より高い位置まで足場を設置しますので高さは6.5mです。

つまり、「(外周30m+4m)×高さ6.5m」で足場架面積は「221㎡」なので、これに単価を掛けると足場の費用は132,600〜198,900円ほどです。

 

数字だけ見るとかなり高額に思えるかもしれませんが、安全第一で作業するために必要な工事で、総工費のおよそ2〜3割を占める費用です。

足場設置工事は塗装業者が行わず外注することもあります。

●高圧洗浄作業

・価格相場:150~200円/㎡

平均的な30坪の一戸建て住宅で下地が比較的きれいな場合、高圧洗浄作業の相場は19,500〜25,000円となります。

塗装する上で邪魔な古い塗装や汚れを取り除き、塗料がしっかり下地に密着するようにします。

仕上がりの美しさを大きく左右する重要な作業です。

下地の状態が悪ければもっと高額となる可能性もあります。

●下地処理

・価格相場:250~350円/㎡

30坪を基準として計算すると32,500〜45,500円程度です。

下地材の種類によっては「ケレン作業」や「下地調整」と呼ばれることもあります。

高圧洗浄で取り除けなかった汚れ・異物を除去し、またひび割れや傷があれば補修します。

これも高圧洗浄作業と同様に仕上がりに大きく影響します。

●シーリング工事

・価格相場:500~700円/㎡

シーリング工事の規模は施工面積に比例しているとは限らないので、見積書には「シーリング工事一式」と記載されることもあります。

30坪の戸建住宅の場合、およそ2万〜3万円程度と考えておくとよいでしょう。

 

外壁材の継ぎ目や、ドア・窓サッシ・換気扇周りなどの隙間を埋めているシーリング材(またはコーキング材)といわれる樹脂材を補修します。

元のシーリング材の上に増し打ちするか、元のシーリング材を完全に取り除いてから打ち替えるかで価格は大きく変わります。

雨や湿気から外壁内部を守るため、シーリング材は10年程度で打ち替える必要があります。

●養生

・価格相場:200円/㎡

30坪の戸建住宅で26,000円程度です。

養生テープや飛散防止ネットなどを使ってカーポートやサッシ、室外機、植え込み、また近隣住宅などを塗料の飛散から保護します。

単価表記をせず、単に「養生一式」と表記することもありますし、足場工事の見積もりに含まれている場合もあります。

●塗装

塗装の価格相場は使用塗料によって大きく異なります。

基本的にどの塗料も3回塗りで施工し、相場は下記のようになります。

ウレタン塗料

1,500〜2,000円/㎡、30坪の戸建住宅の場合およそ19.5万〜26万円程度。

紫外線に強く、たいていの下地に塗装できることから人気のある塗料です。

シリコン塗料

2,000〜2,500円/㎡、30坪の戸建て住宅の場合およそ26万〜32.5万円程度。

高品質でありながらも数年前に比べて価格が下がってきており、現在もっとも人気のある塗料です。

フッ素塗料

3,000〜5,000円/㎡、30坪の戸建住宅の場合およそ39万〜65万円程度。

 

高額さゆえに一般的な戸建住宅ではあまり使われていませんが、紫外線や悪天候に対して非常に高い耐久力を誇る塗料です。

 

各費用の中で塗装費用の占める割合がもっとも大きくなりますので、塗料のグレード選びが外壁塗装の総工費を大きく左右します。

塗料ごとに価格に開きがありますが、同じグレードであっても高価なほど高品質であると考えることができます。

ただし、必ず信頼できる塗料メーカーの製品を選ぶようにしましょう。

 

ウレタン系塗料よりも安価なアクリル系塗料もありますが、外壁塗装リフォーム工事で使われることはほとんどありません。

上記3種類が現在の外壁塗装においては主流となっています。

3.30坪での外壁塗装費用の相場

現在もっとも人気のあるシリコン系塗料を選択すると仮定してここまでの各工事の費用相場を合計すると、30坪の2階建て住宅の外壁塗装リフォームの総工費はおよそ50万〜65万円程度です。

 

加えて産廃処理や諸経費、また雨どい・破風・軒天などの付帯部まで併せて塗装する場合などは合計およそ10万円ほどの追加料金が発生する場合もあります。

それをふまえても、60万〜75万程度が30坪2階建て住宅の適正な価格帯であるといえます。

●相場費用に留めるためには早めのメンテナンスが大切

適正な業者の見積もりであっても、相場より高くなってしまう原因も理解しておきましょう。

外壁の汚れがひどく、コケ・カビまで発生しているような場合は洗浄剤を使ったバイオ洗浄が必要になり、費用も高額になります。

また外壁にひび割れや破損といった補修が必要な箇所が多い場合も下地処理の費用は高額になります。

 

いずれの場合も劣化がひどくなる前にしっかりとメンテナンスをすれば防ぐことが出来ます。

しっかりと計画的にメンテナンスをすることは外観のためだけでなく経済的にもとても重要です。

■悪徳業者の手口に乗らないために30坪の費用相場を知っておく

30坪の戸建住宅のリフォーム工事の見積書内訳、そして適正な相場価格をしっかりと理解しておくなら信頼できる業者かどうかを判断するのに役立ちます。

1.30坪の外壁塗装で150万円を超えるケースは少ない

長年メンテナンスを怠っていた場合に費用が上がる可能性については先述しましたが、仮に下地の劣化がひどく補修作業が多くなる場合や、また「光触媒塗料」「断熱塗料」などの高額な高機能を選択した場合であれば総工費が100万円を超えることもあり得ますが、およそ30〜40坪の戸建住宅で総工費が150万円に及ぶようなことは非常にまれです。

 

もし業者の提出した見積書の合計価格が150万〜200万円になっているなら、決して即決はしないようにしましょう。

もしグレードの高い高機能塗料を選択しているとしても、施工面積や各工事価格の㎡単価が適正価格かどうか、正確な情報に基づいて正しく計算されているかを詳しく調べる必要があります。

●安すぎる価格提示にも要注意

逆に、30万円以下など適正相場を大きく下回るような破格の見積もりを出し、契約を急がせるような業者にも要注意です。

 

そのような場合、耐久性の低い塗料を使用する、通常3回塗りで塗装されるべきところを1〜2回で終わらせてしまう、下地処理や養生、付帯部塗装などの目につきにくいところを省いた手抜き工事を行う、工事が終わった後に高額な追加工事費用を請求する、という悪質な業者の可能性が大です。

2.見積もりを見るときに項目ごとの㎡単価もチェックする

見積書を確認する際にはほかにも注目すべき部分があります。

 

もし複数項目が「○○工事一式」や「諸経費」「その他」といった表記をされている場合は注意しましょう。

これらの表現が悪いわけではありませんが、高額な施工金額に対して内訳の無いものについては、詳しく記載するように求めることも出来ます。

また、費用がそれほどかからないはずの工事が相場より高額に設定されている場合もありますので要注意です。

 

さらに、「足場代無料」をうたう業者もありますが、総工費2〜3割にもなる足場工事を無料で行えば業者側には非常に大きな損失が出るはずです。

そのような提案をされる場合も結局は総工費が相場よりかなり高額に請求される可能性が高いですので十分に注意しましょう。

 

見積書を詳しく見ると、業者の信頼度を判断することができます。

見積書にわかりにくい部分や疑問に感じる部分があっても「こんなものかな?」とか「自分は素人だからわからない」とは思わず、一つ一つ業者に確認してみるようにしましょう。

■おわりに

外壁塗装の施工面積は悪徳業者にごまかされてもわかりにくい部分ですが、30坪住宅の外壁塗装の相場を理解しておくなら、自分の家を外壁塗装リフォームする場合のおよその相場を簡単に把握することが出来ます。

信頼できる業者選びにこの情報を是非お役立てください。