残念ながら外壁塗装でもぼったくり業者というものが存在します。

最初から騙すのが目的の悪質な業者であるため様々な巧妙な手口を使ってきますが、基本的なポイントを理解しておくだけで、ぼったくりかどうかを見分ることは十分に可能です。

■ぼったくり価格を提示する外壁塗装業者も存在する

ぼったくり業者は提示価格だけでなく、塗装の品質から職人の作業態度にいたるまであらゆる面で悪質です。

業者の提示する見積もり金額が適正かどうか、基準となる相場価格を把握することに加えて、その他の様々な観点から、ぼったくり被害に合わないため施主が押さえておくべき基礎知識を把握しておきましょう。

1.外壁塗装のぼったくり価格とはどれくらいか

一般住宅であれば、外壁塗装リフォーム費用は総額およそ70〜90万円ぐらいになることがほとんどですが、ボッタクリ価格であれば200万円や300万円という法外といえる価格を請求してくる場合もあります。

 

確かに「自分はそんな悪徳業者にはだまされない」と思うかもしれません。

しかし相手はだましのプロ。

悪質な訪問販売業者は「塗装が劣化していてお家に深刻なダメージが発生しています」とか「ご近所では皆さん塗装リフォームを済ませていますよ」といった言葉による心理テクニックでこちらの不安を煽り、冷静に考えれば明らかにおかしい内容の契約を急がせます。

しかし、こちらも油断なく準備しておくならぼったくり被害を未然に防ぐことが可能です。

 

主に、ぼったくり業者の特徴と、一般的な外壁塗装リフォームの費用相場を把握しておくならば悪徳業者を見分けることは決して難しくありません。

2.ぼったくり価格の業者は施工品質も低いことが多い

ぼったくり業者はとにかく何よりも利益最優先。当然のごとく仕上がりの美しさやアフターケアなどには全く関心を持ちません。

 

それゆえ、さっさと次の契約に行くために、足場の安全な設置や塗装前の清掃作業など壁塗装工事の基本工程を省いてできるだけ早く作業を終わらせようとします。

また下請け業者と癒着しているケースなどでは、契約業者は作業を丸投げして現場には一度も顔を出さない、アフターケアも行わないために適切な保証も発行しないという悪質な特徴がみられます。

3.相場価格を把握してぼったくりの線引きを知っておくことが大切

外壁塗装には「〇〇坪の一戸建てなら総工費△△円」とか「シリコン塗料なら総額□□円」といった定価が存在せず、様々な条件により総工費は大きく変化します。

外壁塗装をあまり知らない人にとって外壁塗装の総工費が決まるプロセスは少し複雑に思えるかもしれません。

ぼったくり業者はそこを利用し、高額な契約金額を提示しつつ「外壁塗装にはこのくらいかかるのが普通です」といった論調で契約を進めようとします。

 

優良業者であっても複数の業者に見積もりを依頼するならば提示価格に差があるのは通常のことですが、外壁塗装には「相場価格」が存在するので、その相場価格と比較してぼったくりかどうかを判断することができます。

 

また、外壁塗装は家を長持ちさせるために無くてはならない重要なメンテナンスであるため、適正価格でしっかりと工事を行ってくれる優良業者を選ぶのは非常に大切です。

■外壁塗装はどこまでがぼったくりなのか

ひとつ注意したいのは、「思っていたより工事金額が高い」=「ぼったくり業者」と一概には言えない、という点です。

優良業者の出す見積もりでも、塗装する家屋のサイズや状態、選択した塗料のグレードなどにより総工費に大きな開きが出る可能性はあります。

 

見積り金額が高いかやすいかだけでなく、もっと総合的に適切な判断をするためには工事・工程ごとの相場価格を理解しておくことは助けになります。

1.塗装にかかる費用の相場

まず、外壁塗装リフォームの価格を大きく左右するのが塗料の種類。

外壁塗装に用いられる塗料には塗料ごとの相場単価が存在します。

 

見積書では塗料代の項目は1㎡あたりの単価に塗装面積を乗じた塗装工事費用が記載されているはずです。

その計算方法があっているかどうかを確認すると良いでしょう。

ただし、下に挙げられているのは相場価格でありメーカーや業者によって金額が左右することもあります。

あくまで一つの基準とお考えください。

 

また、ぼったくり業者はフッ素塗料や無機塗料といったグレードの高い高額な塗料を理由もなくすすめてくる場合もあります。

本来高額な商品ほどぼったくりに気づきにくくなりますので、相場をしっかりと確認しておきましょう。

 

それでは各グレードの相場価格を見てみましょう。

下記の「一棟あたり」の金額は、戸建住宅の平均的な延べ床面積を120㎡程度と想定した場合の屋根を塗装しない場合の塗装面積130〜160㎡を基準に算出しています

  • アクリル塗料
  • 1,500~1,500円/㎡
  • 一棟あたり20~24万円

 

格安の塗料ですが、耐用年数が短いことや他のグレードの塗料の値段が下がってきたことにより、外壁塗装リフォームではほぼ使われなくなっています。

  • ウレタン塗料
  • 1,800~2,200円/㎡
  • 一棟あたり23~35万円

 

安価であり、さまざまな素地に塗装できることから人気のある塗料の一つです。

弾性が高く下地がひび割れて塗面は破損しにくいため、モルタル壁の塗装によく使用されます。

  • シリコン塗料
  • 2,800~3,100円/㎡
  • 一棟あたり36~49万円

 

高品質で耐用年数が長いながらも、以前に比べると価格が安くなってきたために、現在は最も人気のある塗料となっています。

ただし、その人気のゆえにぼったくり業者が提示してくることの多い塗料でもあります。

「リーズナブルさゆえに選ばれている」ということを覚えておきましょう。

  • フッ素塗料
  • 4,500~5,500円/㎡
  • 一棟あたり58~88万円

 

紫外線に強く非常に高い耐久力を誇る塗料で、主にビルや商業施設などに用いられる塗料ですが、最近では一般住宅向けのフッ素塗料を販売している塗料メーカーもあります。

こちらも元々の単価が高いためにぼったくり業者が選ぶことも多いようです。

  • ラジカル塗料
  • 3,200~4,000円/㎡
  • 一棟あたり41~64万円

 

紫外線や水などにより発生し塗膜を劣化させる物質「ラジカル」の発生を抑えた塗料です。

耐久力はシリコン塗料より高く、フッ素よりも安価であることから注目されている塗料です。

  • 断熱・遮熱塗料
  • 3,800~4,200円/㎡
  • 一棟あたり49~67万円

 

強い日差しにあたっても高温になりにくいのが「遮熱塗料」、壁の熱伝導率を抑えるのが「断熱塗料」です。

住まいの快適さを上げる機能が特徴の塗料です。

  • 光触媒塗料
  • 4,200~5,000円/㎡
  • 一棟あたり54~80万円

 

日光によって壁についた汚れが分解され雨で流されていくため、掃除をしなくても外観を長くきれいに保てる高機能な塗料で、カビや藻の発生も抑えられます。

ぼったくり業者がよく提案してくる塗料の一つです。

  • 無機塗料
  • 4,500~5,500円/㎡
  • 一棟あたり58~88万円

 

この塗料の主原料となっている無機質が紫外線で劣化することがないため、フッ素以上の長い耐用年数を誇る塗料です。

これもぼったくり業者が提示してくる可能性のある塗料です。

  • 弾性塗料
  • 2,000~4,500円/㎡
  • 一棟あたり26~72万円

 

ゴムのような伸縮性を持たせるために硬化剤を添加した塗料です。

弾性塗料の中でもシリコン系、アクリル系など様々なグレードのものがあり、相場価格にもばらつきがあります。

2.塗装以外の作業費用の相場

外壁塗装リフォーム全体の工程には、実際の塗装以外の足場工事や下地処理などの付帯工事も必要です。

この付帯工事の各工程にも適正な相場価格が存在しますが、ぼったくり業者は詳細な内訳を記載せず「一式」などとして内容を曖昧にしたり、または施主が知らないと予想して必要以上に高額な請求をしてくる場合もあります。

 

外壁塗装に必要不可欠な各工事の相場と概要を把握しておきましょう。

  • 足場代
  • 単管足場:700~800円/㎡
  • 単管ブラケット足場:800~1,000円/㎡
  • 枠組み足場:1,000~1,500/㎡
  • くさび式足場:900~1,200/㎡

 

塗装面積ではなく足場架面積という施工面積を元に工事費用を算出します。

高所でも安全に作業するため、また養生の一部である飛散防止ネットを設置するための最初の工事です。

現場の状況によって組み立てられる足場は変わることがありますが、一般的にはくさび式足場が主流となっています。外部の足場業者に外注されることもあります。

 

ぼったくり業者は「足場代無料サービス」などの謳い文句で格安の金額での契約を煽りますが、足場費用は数十万にもなるためカットするのは不自然ですし、足場無しでは適切な塗装は不可能です。

事故や近隣とのトラブルにも繋がりかねないため、そのような業者は避けるほうが良いでしょう。

  • 高圧洗浄費用

150~200円/㎡

 

専用の高圧洗浄機を用いて塗装する部分全体を洗浄します。

汚れがひどければ専用の洗浄剤を使うこともありその場合単価は少し上がりますが、大抵の場合一棟あたり2万円前後に収まります。

  • 下地調整費用

シーリング工事

  • 打ち替え1,000円/㎡
  • 増し打ち800/㎡

 

防水のためにサイディングの継ぎ目やサッシとの隙間に充填されているシーリングを補修します。

古いシーリングを完全に取り除いてから新しいシーリング材を充填する「打ち替え」と、古いシーリングを残したままその上にシーリング材をかぶせる「増し打ち」があり、「打ち換え」の方が耐久性は高くなります。

 

  • ひび割れ補修:700~5,500円/㎡
  • ケレン作業:500~2,000円/㎡

 

ひび割れ補修は外壁に発生したひびの深さや幅、多さによって高額になることもあります。

ケレン作業は主に金属部分のサビや古く劣化した塗膜を落とす作業です。

  • 養生費用

300円/㎡

 

サッシやドアなどの開口部、室外機、周囲の植え込みといった部分へ塗料が飛散しないように保護します。

細かな道具が沢山消費されるので「養生一式」と記載されることもありますが、多くの場合、一棟あたりの相場は3万円前後に収まります。

■安ければ良いわけではないことに注意

ぼったくり業者との契約は絶対に避けるべきですが、見積もりが安ければ優良業者というわけではないため安すぎる金額を提示してくる業者も要注意です。

業者選びを成功させるためには、とにかく安いところを探すのではなく、適切な相場価格の範囲内でアフターサービスも含めしっかりと作業してくれる業者を選択するようにしましょう。

1.安すぎる業者も施工品質は低いことが多い

一般的な外壁塗装の相場は70万円前後となることが多いですが、30〜40万円という相場に対して破格の金額を提示してくる業者もあります。

そのような格安業者は、契約を終えて工事が始まった後で追加工事が必要であるとして高額な追加料金を請求してくるというケースもあります。

 

工事開始後という中断が非常に難しい状況で不当な高額請求をするという手口はぼったくり業者以上に悪質であり、格安の契約にも十分に警戒する必要があります。

また施工品質がおざなりにされた手抜き工事を行うという点もぼったくり業者と同様です。

2.あくまで相場価格の範囲内に収めることが大切

どんなリフォームであっても目的は満足のいく仕上がりにすることであって、「とにかく安く済ませること」ではありません。

もちろん、無駄なコストを抑えるためにできる工夫もたくさんありますが、必要な工程を省いたり、質を落としたりしてまで費用を安く済ませようとすると、仕上がりのクオリティーが落ちるばかりか、後になって様々な不具合やトラブルの発生する原因ともなりますので、結局は「適切な部分に適切なお金をかける」というのが成功の秘訣であるといえます。

 

また、業者選びの際には複数社から見積もりをとって、工事ごとの内訳がしっかりと記載されているか、詳細が記載されていない場合や、その他何でも疑問に思ったことはしっかりと説明してもらい、納得できた場合にのみ話を進めるようにしましょう。

■おわりに

基本的なポイントを理解できたならば、不必要にぼったくり業者を恐れる必要はありません。

外壁塗装の費用相場や適切な工程などに関する正しい知識さえあれば、きっとニーズにぴったり合った優良業者を見つけることができるでしょう。