外壁や屋根は雨風から建物を守るために重要な役割を担っています。

一般的に外壁や屋根の塗装は10~20年に1度は塗り替えを行わなければ雨漏りの原因になったり建物の寿命を縮めたりすると言われていますが、塗装工事は高額ですから極力費用を抑えたいとお考えの方が多いと思います。

そこで、外壁塗装をする際に屋根塗装も一緒に行うことで費用を賢く抑える方法をご紹介してきたいと思います。

■外壁塗装と屋根塗装の費用

それでは最初に「外壁塗装だけを実施した時の費用」と「屋根塗装だけを実施した場合の費用」、そして「外壁塗装と屋根塗装を実施した時の費用」を比べていきたいと思います。

ここでは30坪程度の2階建ての住宅でシミュレーションしてみます。

1.外壁塗装だけを実施した時の費用

総額60~90万円

(内訳)

足場設置費用:20万円

高圧洗浄費用:2万円

下地調整費用:5万円

養生費用:3万円

塗装費用:30~60万円

2.屋根塗装だけを実施した時の費用

総額50~70万円

(内訳)

足場設置費用:20万円

高圧洗浄費用:2万円

下地調整費用:3万円

養生費用:3万円

塗装費用:22~42万円

3.同時に実施した時の費用

総額85~135万円

(内訳)

足場設置費用:20万円

高圧洗浄費用:3万円

下地調整費用:7万円

養生費用:3万円

塗装費用:52~102万円

●なぜ当時に実施した時の合計金額は安いのか

「外壁塗装だけを実施した時の費用」と「屋根塗装だけを実施した場合の費用」を合計すると110万円~160万円程の費用がかかります。

一方で「外壁塗装と屋根塗装を実施した時の費用」は85万円~135万円となっていて、外壁塗装と屋根塗装を別々で行うより25万円程費用が安くなっているのがわかります。

これは外壁と屋根を別々に工事すると足場代が余分に20万円程かかってしまうことが大きな要因となっていて、その他に養生費用や諸経費が二重にかかってしまうことが影響しています。

■外壁と屋根を同時に行うメリット

「外壁塗装だけを実施した時の費用」と「屋根塗装だけを実施した場合の費用」そして「外壁塗装と屋根塗装を実施した時の費用」を比較することで費用の差を知ることができたと思いますが、それを踏まえて外壁と屋根のリフォームを同時に行うメリットについて紹介していきたいと思います。

1.足場代などを必要最低限に抑えられる

まずは費用についてですが、工事費用を比較して見て頂いたとおり外壁と屋根のリフォームを同時に行うことで足場代が1回分でまとまり、それに付随する運搬費や人件費も省くことができるので、別々に工事を実施した時よりも全体の工事費用が安くなることがメリットとして挙げられます。

足場を構成するのには専門の職人が複数人必要となるため人件費が高く、30坪程度の2階建て住宅に足場を設置する場合20万円という高額の費用がかかってしまいます。

20万円の費用があれば塗装のグレードを上げて断熱性を良くしたり、耐用年数の長い塗料も選択することができたりするので、外壁と屋根の工事は1回にまとめて足場の費用を他に有効活用するのがおすすめです。

2.家のメンテナンスを一回で済ませられる

2つ目のメリットとして、家のメンテナンスを一回で済ませられることが挙げられます。

外壁塗装中の2週間程度は家の周りに足場が組まれた状態になり、その期間中は塗装が家の中に入らないように窓は閉めたままですし、家の周りを作業員が出入りするのでカーテンを閉めて生活することが多く息苦しい状態となります。

外壁と屋根をまとめてリフォームすれば工事を1回で済ませることができるので、工事を別々に行う場合に比べて不自由な生活を強いられる期間を短くすることができます。

また、工事中は自分も生活が不自由になりますが、ご近所の方々にとっても工事の騒音等の影響が出るので、できるだけ工事の回数を減らすことがおすすめです。

●屋根塗装が加わっても工事期間は少し延びるだけ

外壁工事と屋根工事をまとめれば、工事期間の息苦しい生活が1回で済ませられると説明しましたが、「外壁と屋根の工事は別なのだから、1回にまとめても結局トータルの工事期間は一緒では?」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は塗装費用と同様に、工事期間についても外壁と屋根を同時に実施することで下記のように短くすることができます。

工事期間
外壁塗装のみ 約7~10日
屋根塗装のみ 約7~10日
外壁と屋根をセットで実施 約10~13日

外壁塗装の工事期間と屋根塗装の工事期間を足すと14日~20日かかるのに対して、外壁と屋根をセットで実施すると10日~13日になるので4日~7日程時間を短縮できます。

これは、外壁と屋根の工事を同時に行うと、足場設置や養生が1回だけて済みますし、外壁と屋根で類似する高圧洗浄や下地調整などの工程を同時に作業できるので全体として大きな時間短縮となっています。

■屋根も外壁と同じタイミングで塗装する時のポイント

これまでは、外壁と屋根を同じタイミングで行うメリットについて説明してきましたが、ここからは外壁と屋根を同じタイミングで塗装するために必ず押さえておきたいポイントについて解説していきます。

1.塗料の耐用年数を合わせる

外壁と屋根の工事のタイミングを合わせるためには外壁と屋根が同じペースで塗り替えの時期を迎えなければいけないので、外壁と屋根に使用する塗料は品質を揃えておく必要があります。

 

塗料にはグレードが存在し、選んだグレードによって耐用年数が変わるため、できるだけ外壁と屋根は同じグレードの塗料を使用するのがおすすめです。

ただし、屋根は外壁塗装よりも劣化が早いため、塗料のグレードを変えなければいけない場合もあるので塗装業者に確認が必要です。

 

代表的な塗料にはアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料が上げられますが、塗料の耐用年数と施工価格は大きな違いがあって以下のようになっています。

耐用年数 施工価格
アクリル塗料 5~8年 1,000~1,200円/㎡
ウレタン塗料 8~10年 1,800~2,000円/㎡
シリコン塗料 10~15年 2,200~3,000円/㎡
フッ素塗料 12~20年 3,500~4,500円/㎡

アクリル塗料は耐用年数が短く、フッ素塗料は費用が非常に高いので大抵の人はウレタン塗料かシリコン塗料のいずれにするかで悩まれます。

以前はシリコン塗料も高額でしたが最近は値段が下がってきて、ウレタン塗料と大差がありません。

しかし耐用年数はウレタン塗料に比べ5年程長いのでシリコン塗料を選択する人が多くなっています。

 

屋根は外壁よりも雨や紫外線に晒されやすいため耐用年数の長いシリコン塗料が広く使用されていることもあり、外壁も屋根に合わせてシリコン塗料を採用するのがおすすめです。

そうすることで比較的安価で耐用年数も長く、外壁と屋根のリフォームの時期を合わせることができます。

●屋根は外壁よりも劣化が早い

前述のとおり屋根は外壁に比べて雨や紫外線、太陽熱の影響を受けやすいので立地によっては外壁より劣化が早い場合があります。

そのため、屋根に使用する塗料は外壁よりも長くしておく必要が出てくる場合もありますので、実際に塗装する場合は、塗装業者に必ず調べてもらう必要があります。

 

塗料は同じグレードでも価格差がありますが、それは紫外線や太陽光に強い成分がプラスされるなど、何らかの効果が追加されていますのでしっかりと成分を見極めるために業者の方にいくつか塗料をピックアップして説明してもらったり、インターネットで口コミを調べたりすることをおすすめします。

2.定額パック商品は内訳を調べること

外壁と屋根の工事を同時に行うことで費用が安くなることをお伝えしましたが、業者によっては定額パック商品というものをおすすめしてくる場合があるので注意が必要です。

 

定額パック商品とは、屋根・外壁塗装がセットになったパッケージ商品のことで、例えば「外壁・屋根シリコン塗装100万円プラン」のような商品です。

料金がわかりやすいというメリットがありますが、その費用に何が含まれているかの内訳が曖昧になっていることが多いというデメリットがあります。

「外壁と屋根は塗りますが、バルコニーの塗装は別料金です」といった具合に追加費用が発生する場合もあるので、実際に全て塗装する事を考えるとパック商品にせずに1から見積もりをした方が安くなる可能性があります。

また、パック料金に含まれている施工面積と実際に塗装する面積が違うことがあるため、パック商品が想定している塗装面積より実際の塗装面積が小さくなる場合は個別に見積もりを取った方が安くなります。

更に、パック商品が想定している塗料は品質の低いものが多いので、塗料にどういった成分があって耐用年数は何年なのか確認することが必要です。

 

塗装業者も騙そうと思ってパック商品を販売しているわけではありませんが、パック商品はある特定の人にとってはお得でも別の人にとっては損になる場合が非常に多いので、自分がお得になっているかどうかは事前に検証しておくことが重要になります。

■おわりに

外壁塗装と屋根塗装はまとめて工事をすることで料金を低く抑え工事期間も短くすることができますので、外壁と屋根に使用する塗料の耐用年数は事前に入念に調べておくことが必要です。

 

またパック商品は自分にとってお得になるのか、販売業者にしっかり相談することがおすすめです。