「夢のマイホーム」なんて言葉が表しているように、多くの人はまず自分の家を持つことを目標にしています。

もしその目標が見事に叶ったなら、次にやるべきことはその家をしっかり守って美しく保つことです。

そのために外壁塗装は非常に重要な役割を果たしますが、「よくわからない」「面倒くさそう」と思っておられる方も多いのではないでしょうか。

 

せっかくのマイホームを守ってしっかり長持ちさせるため避けて通れない外壁塗装について、施主として必要な知識はそんなに難しくありません。

何を知っておくべきか、簡単にまとめてみました。

外壁塗装工事の目的は

 

外壁材の保護のため、外観を美しく保つために外壁塗装は重要

 

大切なものは大抵メンテナンスが必要なように、お家にもメンテナンスが必要です。

特に外壁塗装については大切さが見落とされがちですが、外観の美しさを保つためだけではありません。

塗装は木造にしろコンクリート造にしろ、家全体を劣化させる風雨や紫外線から保護する重要な役割を果たしているのです。

 

施主にも外壁塗装の知識が必要なのはなぜか

 

「塗装って難しそうだし、業者に全面的に任せよう」というわけにはいきません。

 

外壁塗装は簡単にやり直しがきかない重要な工事なので、思い通りの仕上がりにするため、また、悪徳業者に引っかかってしまうなどのトラブルを避けるためにも、施主側が前もって必要な知識を得ておくことはとても大切なのです。

 

契約の前に行うべき事

外壁塗装の予算を立てる

一回の外壁塗装に掛かる総費用はどのくらいか

一般的には、通常10年に一度は塗り替えが必要と言われていますが、外壁塗装の耐用年数は塗料や土地の環境によって大きく変わってきます。

かかる費用も後述するいろんな条件によって変わりますが、平均すると100万円ほどと考えておくと良いかもしれません。

 

あまりに高いものは論外ですが、逆に相場より安すぎる場合も手抜き工事をされる恐れがあるので「適正相場」を把握しておくことは重要です。

参考記事:外壁塗装の料金・費用の相場ってどれくらい?

何が予算を左右するか

予算をもっとも左右するのは「塗料の種類」です。

 

安い塗料を使えば費用が抑えられる反面、耐用年数は下がりますし、高級な塗料を使えば耐用年数は長くなり、光熱費まで抑えられるものもあります。

 

そして「塗装する面積の広さ」にも大きく左右されます。

 

塗装する面積は建坪や回数ではなく「延べ床面積」に応じて広くなってゆきます(窓などの開口部は減算されます)。

 

前もってある程度の面積を把握しておけば、業者の見積もりが適切かどうかの判断に役立つでしょう。

参考記事:外壁塗装の基本と価格の相場について考えよう

色を決める

 

色あせしやすい、しにくい色がある

もちろん、色あせの程度は使用する塗料の性質にも左右されますが、どんな色を使うかも関係しています。

 

一般的に赤系が色あせしやすく、青系はしにくいと言われています、色が濃ければ色あせは目立ちやすくなり、薄ければ目立ちにくくなります。

参考記事:外壁塗装の色選びで失敗しないために

色見本の正しい使い方

塗装する色を選ぶ際、業者が用意してくれる「色見本」を参考にできますが、この色見本にも実は日本塗装工業会(以下JPMA)という団体が用意しているものと、塗料メーカーが独自に用意しているものの2種類があります。

JPMAが用意している見本の方がシンプルでわかりやすいですが、大まかな目安として用意されているものですので、最終的に色を決めるときは、より実際の仕上がりに近い塗装メーカーの色見本を使いましょう。

また光源の違いも影響しますので色見本を見るときは一度太陽光の下で確認してみるようにしましょう。

参考記事:外壁塗装の色で失敗しないためのコツと注意点

塗料の種類

各塗料メーカーが様々な商品を用意していますが大きく分けて下記のような種類があることを覚えておけば、最適な塗料が何か判断しやすくなるでしょう。

参考記事:外壁塗装の塗料の種類と一番オススメの塗料

シリコン系塗料

数年前に比べて価格が下がってきたこともあり、最近ではもっとも人気がある塗料です。

耐用年数は8〜15年ほどと開きがあります。

これはメーカーによって質に大きく差があるからです。

シリコン系であれば値段だけでなくメーカーの信頼度も重視しましょう。

参考記事:外壁塗装のシリコン塗料の特徴・価格・耐久性・種類・単価

フッ素系塗料

紫外線や悪天候に対する耐久性に優れ、汚れにくいことから長い目で見れば経済的な塗料です。

ただしやはり高価な塗料ですので日差しがよく当たり劣化しやすい部分だけフッ素系を使う、という方法もあります。

耐用年数は15〜20年ほどです。

遮熱塗料

正式には「高日射反射率塗料」と言います。

つまり日光の赤外線で高温になるのを防ぐ塗料、ということです。

ある大手メーカーは「屋根に塗った場合で表面温度が最大20℃、室内温度は3℃下がる」と説明しています。

汚れによって遮熱効果が下がッてしまうというデメリットもあります。

耐用年数は15〜20年ほどです。

 

夏の暑さだけではなく、冬の寒さも防いでくれる断熱塗料もあります。

光触媒塗料

外壁に付着する汚れを紫外線によって分解し、それが雨によって洗い流されやすくなるという特殊な塗料です。

施工は難しく、正しく塗らなければ効果を発揮しないのでメーカーの認定を受けた業者でしか扱っていない塗料です。

耐用年数は15〜20年ほどです。

参考:光触媒塗料とは?知っておくべき欠点と価格や耐用年数について

アクリル系塗料

最安の塗料ですが、耐久性に劣ります。

特にリフォームでは最近は使われなくなってきています。

耐用年数は5〜8年ほどです。

ウレタン系塗料

比較的紫外線に強い塗料で、屋上やベランダにはよく使われますが、外壁塗装となると価格が下がってきたシリコン系に押されてあまり使われなくなっています。

透湿性を備えたものであれば木部にも使用可能で使いやすいというメリットもあります。

耐用年数は8〜10年ほどです。

施工業者の選び方

 

塗装の施工業者にはどんな種類があるか

塗装を請け負ってくれる業者はたくさんあります。

正しい業者を選ぶために、各業者の大まかな違いを把握しておきましょう。

 

・リフォーム業者

基本的にはリフォーム業者は新築は行わず、リフォームのみを専門にしています。

外壁塗装も請け負うリフォーム業者もほとんどの場合下請け業者に発注していますが、元々塗装業者だったリフォーム業者もあります。

 

その場合、塗装専門の有資格者「塗装技能士」がいる可能性が高く、この塗装技能士がいれば美しい仕上がりを期待できます。

 

・工務店

工務店はリフォーム業者と違い、リフォームに加えて新築も行います。

大工は大工工事のみ、配管工は配管工事のみと、それぞれの作業を専門の職人が行います。

 

なのでここでも「塗装技能士」がいるかどうかが重要なポイントです。

自社の職人をホームページで紹介している工務店もあるので、事前に調べることも大切です。

 

・塗装専門業者

大工工事などは一切行わず、塗装だけを専門に行います。

 

もちろん施工は自社の職人が行いますので、たいていリフォーム業者や工務店に比べて費用が抑えられますし、専門業者ですので豊富な経験と高い技術を期待できます。

 

・個人塗装業者

一人、または兄弟や親子といった家族単位で仕事を行う最小単位の業者です。

工務店などが仕事を外注する場合、こういった個人塗装業者に仕事が依頼されることもあるでしょう。

 

なので費用は他の業者より安くなる可能性が高いです。

 

高い技術を持つ職人である可能性も高いですが、反面、技術やアフターサービスを含めた信頼度が不明であることも多くあります。

 

業者を選ぶときは評判をよく確かめる

匿名で複数業者に一度に見積もりだけを依頼できたり、各業者の評判を確認できるウェブサイトが多く存在します。

良い業者を選ぶにはインターネットを活用しましょう。

外壁塗装駆け込み寺も優良業者のみを無料で紹介していますので、希望の方はこちらからお申し込み下さい。

 

近隣の優良な業者でも小規模な業者はインターネット上に名前が上がってこない場合もありますが、近所でどんな業者が評判がいいか口コミで判断する場合も、一人や二人の知人の情報だけに頼らないようにしましょう。

 

また本当に良い塗装工事がされたかどうかは何年も後になってわかるものなので、最近の評判だけに注目しないようにしましょう。

 

見積もりをしっかりとる

多くの場合、業者が優良かどうかを見積もりから判断できます。

見積もりとは単にお金がどれだけかかるかが書かれているだけでなく、業者として何をどの程度行うかも記載されています。

 

  • 足場
  • 養生
  • 洗浄
  • 塗装回数
  • 塗料の種類や使用量

など明確に、そして素人にもわかりやすい書き方をしている業者であればかなり信頼度は高くなります。

 

こんな業者には要注意

「今すぐ契約していただければお安くできます」といった営業文句を使ったり、訪問販売で突然提案してくるなど、消費者に判断を急がせるような業者には注意が必要です。

 

もし信頼できそうだと思っても、見積書や工程表のチェックなど、じっくり検討する必要があります。

 

どんな場合も決して急いで契約しないようにしましょう。

参考:悪徳業者はこうして見抜く!よくある3つの手口

施工について

工程期間

平均的な工程日数は約2週間

一軒全体の塗装であれば平均して2週間ほどであることを覚えておきましょう。

一般的なリフォームと違って天候に左右されやすい工事ですので、十分余裕があるスケジュールを組む必要があります。

参考:外壁塗装の行程、手順、やり方とその期間

良い業者はスケジュール管理もきっちりしている

塗装面積の広さは日程に大きく影響しませんし、基本的な作業量は決まっていて一軒全体の塗装で各工程を丁寧にやれば10日以下になることはありません。

 

スケジュールが短すぎる場合や、スケジュール提出を嫌がる業者には注意しましょう。

 

塗装工事全体の工程をよく理解し、スケジュールが通常より短い場合は、その理由を業者にしっかり確認するようにします。

 

適した季節は4月、5月、9月、10月

使用する塗料によって乾燥しやすさに違いがありますが、乾燥しやすく天候も安定している季節を選ぶなら、塗装工事はスムーズに進みます。

一般に春と秋が塗装に向いているとされていますが9,10月は台風の季節であることも考慮しましょう。

参考:外壁塗装に最も適した時期は?

基本的な工程内容

どんな流れになるか

足場を組む

まずは家屋の周辺に足場を組み上げ、組まれた足場は工事終了までそのままになります。

近隣に洗浄の水や洗剤、塗料が飛散しないように全体が養生シートで覆れます。

足場設置は外部の専門業者が行うことも多くあります。

施主は前もって家の周囲をよく片付け、ご迷惑をかけるかもしれないご近所に可能なかぎりご挨拶に行っておくと良いでしょう。

参考:外壁塗装の足場の価格相場と種類、役割、必要性など

洗浄する

高圧洗浄で長年の汚れを落とします。

最近はバイオ洗浄と言う洗剤を使った方法もあります。

塗装の仕上がりに直接影響する重要な部分ですので優良な業者ほど丁寧に行います。

乾燥に1、2日かかる場合もあります。

参考:高圧洗浄・バイオ洗浄の単価、費用相場について。無料は危険

下地補修

下地となる外壁材や目地に至るまで丁寧に処理する必要があります。

具体的にはひび割れにこシーリング材を充填したり、古くなったシーリングを取り除いて新しく充填しなおしたりします。

これも塗装の仕上がりに直接影響する重要な部分ですので、念入りに行われます。

養生

窓などの塗料が付くと困る部分をビニールシートなどで覆います。

可能な限り立ち会って「ここも覆ってほしい」などと、しっかりとしたコミュニケーションを取ると良いでしょう。

大事にしている花や植え込みなどがあれば覆ってもらいます。

養生を剝がすまでは、基本的に窓を開けられない状態になります。

 

メイン塗装

下塗り、中塗り、上塗り、と三回に分けて行われます。

それぞれしっかり乾燥してから次の段階に入るので最低3日はかかる工程です。

優良な業者であれば同じ日に中塗りと上塗りをやることはありません。

上塗りまで終わった後に雨どいや破風(はふ)板などの細かい部分、素材が違う部分の塗装が行われます。

デザイン的に細かい部分が多ければその分時間がかかることも覚えておきましょう。

6.点検と手直し

施主も立ち会って、ムラや塗り残しなくすべて綺麗に仕上がっているか、直してほしいところはないかなど確認します。

 

7.清掃と足場解体

養生を剥がし、足場を解体撤去し、最終的な清掃が終われば、工事は全て終了です。

 

作業途中で仕上がりを確認できるか

メインの塗装が終わって足場が解体される前の点検には可能なかぎり施主が立ち会うようにしましょう。

細かな点でも気になることは全て指摘します。

その時に確認せずに後になって塗り直しを求めても、足場の組み直しが必要なら別途費用がかかるなど、点検をしっかり行っていないと後々トラブルに発展することも多くあります。

 

前もってお願いしておけば中塗りの後に状況を確認させてもらうこともできますが、その場合足場に張ってある養生シートを剥がして確認することになるので、時間がかかりますし、別途費用が加算される場合もあります。

 

トラブルを避けるために

 

仕上がりイメージをはっきりさせておくこと

施主の仕上がりイメージが曖昧だったり、自分は詳しくないからと色選びまで業者任せにしてしまうと、後になって「イメージと違う」という不満が生まれてトラブルになるケースもあります。

 

施工途中から色のやり直しにも応じてくれる業者はありますが、費用がかなり割り増しになりますので、前もって自分の希望するイメージをはっきりさせ、それを業者に伝えておくようにしましょう。

 

保証はあるか

どんなに綿密に準備してもやはりトラブルは起こりえます。

そんなときのために消費者のためのどんな保証があるかも確認しておきましょう。

組合保障とは

 

外壁塗装に大きく関わる組合保証制度は主に二つあります。

 

・建築産業団体連合会「長期性能保証制度」

建築産業団体連合会とは、国交相管轄の連合会であり、この保証は簡単に説明すると業者側に落ち度があった場合の保証です。

建築業全体を総括する保証で、外壁塗装に関して言えば基本的に剥がれや水漏れなど機能的な欠陥のみを保証するものです。

また上塗りの塗料の種類によって保証期間が3年から4年と異なりますので、この保証がある場合は保証書を十分確認しておきましょう。

 

・一般社団法人日本塗装工業会が発行する「品質保証書」

施工業者が日本塗装工業会加盟店であれば、塗装工事後に「品質保証書」を発行してもらえます。

この保証によって一定期間塗装の品質や仕上がり状況について細かな保証を受けることができるのです。

 

また、上記の「長期性能保証」と違い色あせまで保証に含まれています。

品質保障書の内容はたいてい毎年改訂されるので、保証書を受け取ったらしっかり内容を確認しましょう。

 

自社保証とは

各業者が独自に保証を設定していることもあります。

保証期間に注意がいきがちですが、「どの部分を保証してくれるか」「どういう状態をやり直してくれるか」といった内容をしっかり確認しましょう。

 

特に剥がれが生じやすい木部と鉄部の塗装に対する保証がなされているかを十分チェックしておく必要があります。

業者により保証内容やクオリティーはまちまちですので、必ず契約前に確認しましょう。

 

まとめ

 

サイディングに覆われた一般的な家屋であれば、外壁塗装はいつか必ず必要になってくるものです。

その後の10年、20年と長く暮らしに影響するものですから、前もってよく準備しておきましょう。

そうすればきっと満足のいく仕上がりにできるはずです。