外壁塗装工事を行うにはタイミングも重要なポイントで、このタイミングを逃してしまうと工事がスムーズに進まず、予想外の費用が発生してしまうこともあります。

それ故、日ごろから情報収集に努めてベストなタイミングで外壁塗装工事を行えるように準備しておきましょう。

■外壁塗装を行うべき3つのタイミング

外壁塗装を行う主なタイミングとしては

  • 塗料が耐用年数を迎えたとき
  • 深刻な劣化が起きたとき
  • 予算的に余裕があるとき

などがあります。

1.塗料が耐用年数を迎えたとき

塗料には耐用年数があるため、外壁塗装を行うタイミングとしては塗料が耐用年数を迎えるころが最も適しているといえます。

ただし、塗装に使用されている塗料はグレードによって耐用年数が大きく異なりますので、タイミングよく外壁塗装工事を行うにはまず自宅の外壁に使用されている塗料を調べる必要があります。

塗料の種類 耐用年数の目安
アクリル塗料 5年~8年
ウレタン塗料 7年~10年
シリコン塗料 10年~15年
ラジカル塗料 12年~16年
フッ素塗料 15年~20年

前回の外壁の塗替え時に使用した塗料の種類が分かれば耐用年数の目安もわかりますので、外壁が劣化するタイミングに合わせて塗替えの予定を立てられます。

ただし、同じ種類の塗料であっても、

  • メーカーの違い
  • 水性塗料か溶剤塗料かといった商品の仕様の違い
  • さらには住宅の立地条件や気候条件の違い

などによっても耐用年数が異なってきますので、実際にはここに示した期間よりも長持ちする場合もありますし、もっと早い時期にメンテナンスが必要になる場合もあります。

なお、新築の住宅の場合なら5年目~7年目ごろ、新築ではない場合は前回の塗装から10年目を目安として外壁の点検を受けることをおすすめします。

なぜなら、定期的に外壁の点検を行っていれば劣化が進行しないうちに補修でき、最適なタイミングで外壁塗装工事に取り掛かかれるからです。

2.深刻な劣化が起きたとき

劣化症状 原因
外壁の色あせ・変色がある 紫外線の影響で塗膜中の樹脂が劣化し始めている
チョーキング現象がみられる 紫外線の影響で塗膜中の樹脂が劣化し顔料が浮き出てしまっている状態
藻やカビが付着する 外壁塗装の耐久性がなくなり、細菌類が繁殖しやすくなっている
クラック(ひび割れ)が見られる 経年による塗膜の劣化であるヘアクラックならそれほど大きな影響はないが、下地に深刻な影響を及ぼす構造クラックは要注意
塗膜がはがれる 塗膜がすっかり劣化して密着できなくなってしまっている

塗料の耐久性が経年劣化により低下すると様々な症状がではじめます。

外壁の劣化症状は変色や色褪せで気づく場合もありますが、手で触れてチョークのような粉がついたら塗料の耐久性が低下している状態なので(チョーキング現象という)、塗り替えを検討した方がよいでしょう。

下地に影響を及ぼすような大きなクラック(ひび割れ)や塗膜のはがれなどが見られる以前の段階、つまりチョーキングが見られるようになった段階で外壁のメンテナンスに着手すれば、余計な補修費用がかからないため補修費用を大幅に節約できます。

 

上でも少し触れたように、塗料は耐用年数を迎える前に劣化しきってしまうケースもありますから、塗料の耐用年数だけを頼りにするのではなく目視や定期点検などで普段から外壁の状況をチェックしておくとよいでしょう。

耐用年数よりも早く外壁が劣化してしまう原因ですが、住宅の立地や天候などの条件による場合もありますし、前回の施工に問題があって数年以内に塗膜がはがれてしまうというようなケースもあります。

もし、施工不良が疑われるようであれば前回塗装した業者を呼んで点検してもらい、保証が適用できるか相談してみてください。

また、外壁塗装工事をするときには、施工不良などが起こった場合に備えてアフターケアや保証がついているかをしっかり業者に確認しておくことも重要です。

3.予算的に余裕があるとき

選ぶ塗料のグレードにもよりますが、外壁塗装工事を行うには70万円~100万円もの高額な費用がかかりますから、外壁に劣化症状が見つかったからといってすぐに工事に取り掛かるのが難しい場合もあるでしょう。

ですから、しばらく大きな支出がなさそうな時期を見はからって外壁塗装工事を行うというのも一つの方法です。

ただし、大きな支出がないタイミングと外壁の補修が必要になるタイミングとがうまく合わない可能性ももちろんあります。

いずれにしても、外壁の劣化が見つかってからあわてて高額な外壁塗装工事の費用を捻出するのはかなりの負担ですから、普段からいつか来る外壁塗装工事に備えて少しずつ積み立てることをおすすめします。

 

例えばマンションの場合だと、外壁など共有部分の修繕のために毎月積立をしなければなりません。

外壁塗装は建物を保全するために定期的に行わなければならない工事ですから、一戸建てにお住いの場合でもマンションと同様にメンテナンス費用のための積立をしておくと、いざというときに費用のことで慌てずに済みます。

 

外壁塗装工事をするにはまだ費用面で不安があるという場合でも、チョーキングや外壁のひび割れなど劣化が起きているときは、劣化の状況を把握する意味でまずは点検だけでも業者に依頼してみましょう。

■外壁塗装を行うタイミングに季節は関係するのか

外壁塗装をするのに季節はどの程度影響するのでしょうか?

1.どの季節でも外壁塗装は行える

作業のしやすさという点で差はありますが、基本的にはどの季節でも外壁塗装は行えます。

季節別のメリット・デメリットを知っていれば工事中でも比較的負担なく快適に過ごせるでしょう。

ただし、一部地域では季節によっては塗装が行えない時期もあります。(豪雪地域や台風が頻繁に接近する地域など)

 

また、外壁塗装自体は1年中行うことができますが、気候の条件によってはどうしても施工できない日もあります。

例えば、

  • 雨や雪が降っている時
  • 気温が5度以下の時
  • 湿度が85%以上の時

は施工はできません。

このような条件下で塗装を行うと塗料が十分に乾燥しないため、塗膜のはがれの原因となってしまうからです。

2.季節別のメリット・デメリット

外壁塗装工事をする季節別のメリット・デメリットは以下の通りです。

●春

メリット デメリット
気候が安定しており工事が予定通りに進みやすい

工事中も室内で過ごしやすい

塗料が乾燥しやすい

塗装業は繁忙期に入るので希望通りに予約を取れないことも

春は天候が大きく崩れる心配も少なく、最も塗装に適した時期だといえるでしょう。

ただし、塗装をするシーズンとして人気があるため、業者が忙しくなってしまうのが難点です。

春に外壁塗装工事を行いたいとお考えでしたら早いうちから業者に相談しておくことをおすすめします。

●夏

メリット デメリット
塗料の乾きが早く工事が順調に進みやすい

塗料がよく伸び塗装しやすい

窓が開けられないので暑くて室内で過ごしにくい

暑すぎると職人にとっても作業がつらい

夏は高い気温により塗料の伸びが良くなるので塗装自体は行いやすいです。

また、日照時間が長く朝早くから夕方まで作業が行えるため本来なら作業が進みやすい季節なのですが、暑さが人に与える影響が非常に大きいという点が課題です。

施主にも作業員にも深刻な影響を及ぼしますのでその点に注意して作業を行わなければなりません。

  • 窓やベランダが養生で密封されるため換気が行えない
  • 室外機が養生で覆われエアコンが使用できないため室内で過ごしづらい
  • 暑さが厳しいときは屋根の施工は一時中断される
  • 熱中症対策が必要
  • 湿度が高い日は塗料の乾燥が阻害されるので作業が行えない

などについて考慮する必要があります。

●秋

メリット デメリット
春と同様気候が安定していて工事中も過ごしやすい

塗料の乾きが早いので工事が順調に進みやすい

台風が来ると作業が行えない

塗装業者は繁忙期に入るため希望通りに予約が取れないこともある

秋は気候が安定していて工事中も過ごしやすいことから、塗装シーズンとしては春と同じくらい人気があります。

ただし9月~10月は台風シーズンに突入してしまうため作業が行えない期間が長引く可能性があることに留意しましょう。

●冬

メリット デメリット
乾燥しているので作業自体は行いやすい

窓を閉め切っても問題なく室内で過ごせる

気温が低くなりすぎると施工できない

気温や天候が影響して工期が伸びることも

乾燥に時間がかかる

冬は雨も少なく乾燥しているので、作業自体は行いやすいです。

ただし、

  • 足場が凍結する、雪が積もる
  • 外壁に結露や霜が発生している
  • 気温が5度以下になる

など、天候や気温によって施工できなくなるケースが他の季節と比べて多くなりがちです。

例えば、豪雪地域では冬場は塗装が行いにくいため、業者自体が受注をストップする地域もあるほどです。

冬の寒さや雪が厳しい地域にお住まいなら、冬を迎える前に外壁塗装工事をしておいた方がよいでしょう。

■タイミングを自己判断せず10年に1度は点検しよう

塗装のタイミングは自分でもある程度予測はできますが、自己判断に頼りすぎてしまうとかえって劣化を進行させてしまう恐れがあります。

特に目立った劣化がみられなくても、10年に1度は業者による点検を受けておきましょう。

素人では分かりにくいトラブルをプロの目でみてもらい、把握しておくことはとても重要です。

1.どの塗料も10年目には何らかの劣化が生じる

現在外壁塗装で一般的に使用されているシリコン塗料の耐用年数はおよそ10年~15年といわれています。

新築の場合だと耐用年数が短い塗料を使用しているケースも多いので、7~10年目で塗料が劣化すると考えておきましょう。

そのほか、目地部分に充填されているゴム状のシーリングも10年も経過すると劣化し始めて防水性能が失われてきます。

ですから、やはり10年に1度はプロである業者に建物の状態を点検してもらうべきなのです。

 

点検が10年より早すぎると、まだ劣化が見つからないことも多く、逆に遅すぎると劣化を進行させてしまいます。

外壁のさまざまな不具合が目につき始めるのが10年目辺りだといわれていますから、そのころにはきちんと点検を受けて適切なメンテナンスを施しましょう。

適切なタイミングでメンテナンスを行っている家の寿命は、そうでない家と比べて3倍も長持ちするといわれています。

細かい部分の劣化の進行具合はプロに見てもらわなければわからないことも多いうえ、被害が小さいうちならば簡単な補修で済むことも多いので工事費用を大幅に節約できますが、定期的な点検を受けずに劣化を見逃してしまうと大規模な補修工事を行わなくてはならず、膨大な費用が掛かってしまう恐れもあります。

2.劣化の深刻さは専門の業者にしかわからない

一見問題がないように見えるキレイな家でも、屋根や付帯部でプロにしかわからないような劣化現象がひそかに進行している恐れがあります。

「汚れていないし、劣化もないはずだ」と自己判断してしまうと非常に危険です。

外壁の点検は、自動車の車検や定期健診などと同じようなものだと考えてみてください。エンジンルームの中の細かい部品の劣化やタイヤのバランスなどは、専門家に見てもらわないと分かりませんし、定期健診でも心電図や採血などで検査しなければ本当の体調は分かりませんが、外壁にも同じことがいえます。

専門業者が調べないと分からない劣化もありますから、放置していれば車や人の体と同じようにダメージが広がって取り返しがつかなくなってしまうこともあります。

 

外壁の場合は、点検だけなら無料で行ってくれる業者がほとんどですし、優良業者は塗装の必要がなければ工事を無理強いはしないはずですから、まずは点検を受けて劣化の状態を調べておきましょう。

ただし、何の問題もないのに「家が危険です!」と言って塗装工事の必要性をことさら強調して接触し、高額な価格で無理やり契約を取ろうとする訪問販売系の悪質業者などもいますから、業者選びは慎重に行わなければなりません。

おすすめなのは、地域密着型の優良業者を知り合いや一括見積もりサイトなどで紹介してもうことです。

地域密着型の業者には、

  • 長年その地域で営業をしているので実績や評判をリサーチしやすい
  • 自宅から近い業者ならすぐ駆けつけてもらえるなどまめに対応してくれる

というメリットがあります。

かかりつけの業者を見つけ、定期的に点検を依頼して自宅の劣化の進行状況を知っておくことは、悪質な業者を避ける方法としても効果的なのです。

■おわりに

外壁塗装は大切な我が家を長持ちさせるための大切な工事ですからどうしても成功させたいですが、そのためには工事を行うタイミングが大きく影響します。

タイミングを逃さないためにも、日ごろから自分の家に関心をもって情報を収集し、信頼できる業者を見つけて適切なアドバイスをしてもらいましょう。