いろいろな建設業で職人が手道具や電動工具など非常に多くの道具を使いこなし、仕事を進めているのをみたことがあるでしょう。
外壁塗装も建設業に属しますが、どちらかというとあまり多くの道具を使わないイメージがあるかもしれません。
しかし、実は塗装業者でも他の建設業と同じように数多くの道具が使われています。
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■外壁塗装は工程ごとに使用する道具が異なる
外壁塗装工事には塗装だけでなく、塗装にまつわる様々な工事が含まれています。
それゆえ工事ごとに使われる道具も様々です。
しかし実は使用されるどんな道具も外壁塗装リフォームの最終的な仕上がりに大きく関係しているのです。
1.外壁塗装には様々な工程が行われる
実際に塗装をはじめる前に、最大限に美しく仕上げるための高圧洗浄や、高圧洗浄機で落とせない汚れやサビを落とすケレン作業、サイディングのひび割れやシーリングを補修する下地処理に加えて、開口部や植え込み、室外機などの塗装しない部分を丁寧に養生する作業が含まれます。
2.現在主流の道具がある
塗装作業というとペンキの入ったバケツと刷毛(はけ)を両手に持って作業を進めていくイメージがあるかもしれません。
もちろん刷毛も塗装に用いられる主要な道具の一つですが、状況に応じた作業効率や施工する職人の持つ技術によっても使われる道具は変わってきますし、新製品の登場で使用される道具が変化するということもありえます。
■工程別・使用する道具の種類
それでは、実際の現場ではメインの塗装工事とそれ以外の付帯工事でどのような道具が使われているのか見てみましょう。
1.塗装で使用する道具
現在、塗装工事では主に
- 刷毛
- ローラー
- スプレーガン
の3種類が活躍しています。
もちろんどれを使用するかは職人の好みといったものではなく、それぞれの道具を使用する際のメリット・デメリットを見極めて選ばれています。
●刷毛
一言で刷毛と言ってもその形状やサイズ、種類は多岐にわたり、
- 平刷毛
- 筋交い刷毛
- 隅切り刷毛(別名ダメ込み用)
- 目地刷毛
など紹介しきれないほど数多く存在します。
素材にも違いがあり、動物の毛(主に山羊毛、豚毛、馬毛)を使った獣毛刷毛と化学繊維の刷毛に分かれており、化学繊維刷毛は水性系塗料用です。
熟練した職人は塗装面の形状や下地の素材、また水性塗料か油性塗料かなどを十分に理解した上で適切な刷毛を選択します。
そのようにして、細部まで自由に塗装できるというのが刷毛を使う最大のメリットです。
しかし、多種多様な刷毛を理解し、状況に応じて適切な刷毛を選ぶには長年の経験が求められますし、高い技術力も必要です。
技術が足りなければ塗面にムラや刷毛筋が発生し、仕上がりのクオリティーは大きく低下してしまいます。
シンプルさゆえに、かなりのベテランでなければ使いこなせない道具であるといえるでしょう。
●ローラー
現在ではローラーが塗装工事に最も用いられる主要な道具です。
ローラーの種類も非常に多く存在しますが、中でもウールローラー(別名羊毛ローラー。実際の素材はほとんどの場合マイクロファイバー)や砂骨(さこつ)ローラーといった種類のものが主流です。
ウールローラーには毛足の長さに応じて
- 短毛タイプ
- 中毛タイプ
- 長毛タイプ
の3つのタイプがあり、用途もそれぞれ少しづつ異なっています。
その他にも抑えローラーのように塗装面に模様やニュアンスを加えるというデザイン上の目的のために用いられるローラーもあります。
ローラーでは広範な面積を素早く、均一な仕上がり感で塗装することが可能です。
また、刷毛に比べて初心者でも扱いやすいという点もメリットとして挙げられるでしょう。
ただし、細部までローラーで塗装することは難しく、細部を刷毛塗りで、広い場所をローラー塗りで塗装するというのが基本的な方法になっています。
●スプレーガン
スプレーガンとは、アートの分野でよく使われるエアブラシをさらに大型にしたような形状の道具です。
これにもいくつか種類がありますが、基本的にはエアコンプレッサーで圧縮した空気により塗料を噴霧して塗装していくための道具で、外壁塗装のみならず様々な分野の塗装にも用いられています。
外壁塗装においては主に、モルタルの外壁をリシン・スタッコ・吹付けタイル仕上げ(一般的にイメージされる磁器タイルとは大きく異なる)という、塗装面に凹凸を付けて陰影によって塗装面に表情を加える塗装の際に用いられます。
これはスプレーガンでなければできないデザインです。
しかし、スプレーガンもまた色ムラを出さずに美しく仕上げるためには高い技術が必要です。
塗料を噴霧状にするスプレー塗りでは塗料のロスが大きいこともデメリットとして挙げられます。
加えて、刷毛やローラーによる塗装よりもさらに養生に手間がかかるということもあり、現在では戸建て住宅の主流となったサイディングの塗装工事ではほとんど用いられることはありません。
2.塗装以外で使用する道具
多くの作業が付随する外壁塗装工事ですが、塗装以外ではケレン作業と養生作業に様々な道具が用いられます。
●ケレン作業で使用する道具
ケレン作業は下地を塗装に適した状態に調整する事なので、「素地調整」とも呼ばれます。
木部やサイディングに対して作業が行われる事もありますが、もっぱら主な作業は金属部分のサビ落としです。
紙やすり(サンドペーパー)平面部分のサビや古く劣化した塗膜をそぎ落とす皮スキ、手すりのような局面部分の頑固なサビも落とせるナイロンタワシなどがケレン作業のための主な道具です。
金属部下地の劣化具合に応じてディスクサンダーなどの電動工具が用いられる事もあります。
●養生で使用する道具
養生作業では、ドアや窓などの開口部、室外機、家屋の周りの植え込みや自動車など塗装しない部分に塗料が付着しないよう様々な道具で覆い、保護します。
ビニールシート、マスキングテープ、マスカーのような1回きりの消耗品もあれば、ブルーシートや足場に設置する飛散防止シートなど、繰り返し使用する道具もあります。
■道具の手入れに優良業者の品格が現れる
道具を大切に使っているかどうか、これは単に仕事に対する気持ちの問題ではありません。
道具を丁寧に扱わないならば施工不良に直結する可能性もあるでしょう。
仕事道具全般の手入れの状態は、創業者としての信頼度や誠実さが現れる部分でもあります。
外壁塗装工事は道具を大切に扱っている業者に依頼するようにしましょう。
1.道具を手入れせずに使うのは厳禁
刷毛やローラーは塗装後すぐに丁寧に洗浄しなければなりません。
残った塗料が毛先で固まってしまい刷毛の用をなさないようになってしまうだけでなく、前回の塗料からくる異物が混ざってしまったり、余計な水分が残っていたりする場合には新たに塗る塗料の乾燥が阻害され、耐久性が下がったり仕上がりの美しさを大いに損ねてしまう可能性大です。
2.手抜き業者は道具の使い方も乱雑
優良業者が施主の財産だけでなく自分たちの道具も丁寧に扱うのに対し、手抜き業者は往々にして自分たちの道具の状態にも無頓着で、道具を大切に扱いません。
手入れの行き届いていない道具を平気で使用し、生じた施工不良に対してもアフターフォローしない、ということもあるので要注意です。
他にも、比較的大きな塗装工事である場合には場合元請けと下請けの関係の悪さが使用する道具に現れている場合もあります。
どういうことかというと、元請けが下請けに対して報酬をギリギリまで下げている場合、道具の不適切な使い回しや、ボロボロの道具をいつまでも使い続けている、というケースもあるようです。
そのような状況では満足のいく仕上がりを期待できないので、下請けとも良好な関係にある元請け業者か、もしくは下請けを必要としない施工業者に仕事を依頼すると良いでしょう。
■おわりに
数ある外壁塗装業者の中から本当に信頼できる業者を見極めるのはそう簡単ではないかもしれません。
ほとんどの場合、施主は塗装に関して専門的な知識はないかもしれませんが、今回調べてみたように道具の状態をチェックしてみましょう。
きっと優良業者を見極める上での助けになるはずです。