外壁塗装の塗料はこれまで主にアクリル塗料、ウレタン塗料、フッ素塗料が使われていました。そして近年、次世代塗料と呼ばれる光触媒(ひかりしょくばい)塗料を使用する方が増えています。
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光触媒って何?
まず、触媒とは「それ自身は変化しないが、他の物質の化学反応を促進する物質」の事です。光触媒は、光によって化学反応を促進するという意味です。あまりピンと来ないかもしれませんが、植物が水と二酸化炭素から酸素を作る光合成も光触媒です。 理科の授業のような話になってしまいましたが、この光触媒を利用した塗料があり、注目を集めています。
光触媒塗料とは
光触媒塗料とは、紫外線で外壁に付着した汚れを分解し、雨で洗い流す事ができる塗料の事です。何もしなくてもセルフクリーニングで勝手に汚れが落ちるなんてすごいですよね。 ちなみに光触媒塗料は太陽光ではなく紫外線に反応するので、太陽の光が当たらない日陰でも効果を発揮する事ができます。 さらにそれだけではなく、工場や自動車の排気ガスから発生する窒素酸化物(NOx)を無害にして、空気をきれいにする働きもあるので環境にもやさしい塗料なのです。 この光触媒塗料はTOTOが開発したもので、ハイドロテクトというブランド名です。 TOTOは酸化チタンという材料を使ってこのハイドロテクトを開発しました。
酸化チタンとは?
チタンという金属を酸化させた無機化合物です。構成が多少異なってきますが、光触媒塗料にはもちろん、日焼け止めなどにも使われるものです。 また酸化チタンが紫外線(太陽光)を受けたときに化学反応を起こして、「強い酸化還元作用」と「強い親水作用」を発言します。TOTOはこれを利用してハイドロテクトという光触媒塗料を開発しました。
光触媒塗料のメリット・利点
塗料の耐用年数が非常に長い
すべての塗料を合わせても、光触媒塗料はトップクラスの耐用年数を誇ります。 光触媒塗料の太陽年数は約20年といわれています。一般的なシリコン系塗料の耐用年数が約10年ですから、2倍も長持ちするという事になりますね。 しかし、光触媒塗料は最近使われ始めたので、本当に20年も持つのかは確かではありません。もちろん研究の結果、そういう年数を算出しているのだとは思います。 ですが、家には様々な要因があるので、必ず20年保つという事にはならないかと思います。 もし本当に20年持ったとしても、下地や下塗りの塗料が劣化すれば塗り直さなければいけません。ただ、今販売されている塗料の中ではダントツで耐用年数が長いです。
チリ・ホコリ、油系汚れ等の汚れがつきにくい
油系の汚れ(排気ガスや煙、油分の多いチリ、ホコリ)などには非常に強いです。 まず活性酸素により油分は酸化されてしまい、表面上に浮き出た状態になります。そこで超親水性性質により、雨が壁と参加された油分の間に入り込み、一緒に流れ落ちてしまいます。 これらの働きにより、光触媒塗料の壁は清潔さを保ちながら長期間壁を保護してくれます。 また光触媒塗料は水膜を持っており、この水膜の静電気により、チリやホコリがそもそもつきにくくなっています。
カビ、菌、ウィルスの繁殖を防ぐ
油系の汚れを取るときと同様、酸化チタンの働きにより、塗膜表面に活性酸素が発生します。これにより菌が繁殖するのを防ぎます。 これはカビ、菌、ウイルスの繁殖ももちろん防ぎます。
空気をきれいにする力がある
私が個人的にものすごいと思うのが、光触媒塗料の空気清浄化効果です。 空気中には様々な汚れが漂っていますが、その中の一つに窒素酸化物があります。自動車や工場などの排気ガス、煙に含まれているものです。 光触媒塗料を塗った壁にこの窒素酸化物が接触すると、空気清浄化効果により(酸化チタンの活性酸素)これらを除去してしまいます。 しかもそのパワーが非常に強くて、上記の絵にあるように、戸建て1軒分の光触媒塗料によって、芝生テニスコート四面分の空気清浄効果に相当するようです。これはどれくらいかと言えば、自動車12台が1日にはき出す分の排気ガスに相当してしまうようです。 つまり世界中の家が光触媒塗料にしてしまえば、乗用車から出てくる排気ガスの窒素酸化物に関しては全部塗料で除去できてしまう、という非常に環境的な塗料であるといえます。
防臭効果がある
上記の菌の繁殖を防ぐ事で、結果として、においの発生源である菌をたつというとこになるので、光触媒塗料は、臭いを分解する能力もあるといえます。
セルフクリーニングの機能がある
汚れが落ちやすかったとしても、まめに手入れが必要だった場合は手間ですよね。 光触媒塗料は、手間をかけることなく、自動的にきれいにしてくれる「セルフクリーニング」の効果があるので、非常に手入れが楽な塗料と言うことがいえます。
光触媒塗料のデメリット・欠点
価格がまだ高い
「まだ」というのは、光触媒塗料は年々普及していき、人気が出てきています。塗料は、普及に伴ってどんどん単価が下がっていく傾向があるのですが、光触媒塗料はまだまだ「最新塗料」なので、価格が高いという事は否めません。 今後、普及していくに伴って、どんどん単価が下がっていくことが予想されます。
塗料を塗るのに専門知識が必要
例えば、TOTOの光触媒塗料を塗る事が出来る業者は「TOTOハイドロテクト施工店制度」に基づく必要があり、一定の講習を受けて、知識や技術をしっかりと身につけなければなりません。2014年4月に廃止となった為、今現在はどの塗装店も利用可能です。 現在は廃止となりましたが、以前は講習を受けた認定店しか塗料を使用できないほど、非常に高度な専門知識が必要でした。 塗るのが難しい、という事は今も変わっておりません。熟達した専門知識が必要のため、熟練度が低そうな塗装店で光触媒塗料を塗ってもらうのはやめましょう。
無機物系の汚れには効果がない
セルフクリーニングができるとはいえ、どんな汚れにも対応しているというわけではありません。光触媒塗料が分解できるのは雨筋や付着したホコリ、チリなどの有機質系の汚れです。ですので無機質系のさび、黄砂、エフロレッセンス(白華)などは光触媒塗料には分解する事ができません。 また、樹液、土砂汚れ、鳥のフンなどにも十分な効果を発揮する事ができません。
高品質ではないものもある
TOTOのハイドロテクトコートという非常に有名な光触媒塗料があるのですが、その他には光触媒塗料はまだあまり一般化されていません。他の会社もいくつか作成しているのですが、高品質ではない可能性があります。 高品質ではない光触媒塗料を高い費用を払って塗ってもらったとしてもあまり意味はなく、それどころかひび割れなどが早く起こる可能性があります。聞いたことがない光触媒塗料を使用するのはやめましょう。
光があまり当たらない外壁には効果が薄い
光触媒塗料はその名前の通り、光を必要とします。厳密には紫外線を持つ太陽光です。 この太陽光があまり当たらない外壁に対して光触媒塗料を利用した場合、全く効果がないというわけではありませんが良く日の光が当たる面に比べて効果は落ちてしまいます。 ただ、面によって塗料をかえるということは、耐久面であまり推奨されないので、塗るのであれば全面光触媒塗料の方が良さそうです。
色を自由に選べない
上記に説明した酸化チタンを主な原料としているため、基本的な色は酸化チタンの色「白」となります。それ故、赤色や青色など鮮やかな色で塗装することは難しいです。 もし鮮やかな色を選びたい場合は、透明の光触媒塗料でコーティングをする必要があります。 しかしその場合、光触媒塗料と相性の良い塗料を選ぶ事、コーティングでさらに塗料を塗ることで、費用が非常に高額になる可能性があります。
光触媒塗料の単価・耐用年数
光触媒塗料は単価が高く、平均で一般塗料の1.3倍~1.6倍になります。外壁塗装業者のホームページを見ると、塗料の単価ではなく工事代金込みで一坪当たりの価格を書いてある事も多いです。光触媒塗料は認定された施工店でしか取り扱う事ができないのですが、業者によって塗料の単価が大きく変わるので、ホームページには掲載していない事が多いのです。 そのため単価に大きな差はありますが、3500~5000円程度です。 そして、当サイトが独自に調べた、光触媒塗料の人件費等込みの坪単価は22000円~25000円ほどですね。
坪数 | 光触媒塗料費用相場 |
---|---|
15坪 | 330000円 |
30坪 | 750000円 |
45坪 | 1125000円 |
60坪 | 1525000円 |
75坪 | 1900000円 |
90坪 | 2275000円 |
105坪 | 2650000円 |
120坪 | 3025000円 |
135坪 | 3400000円 |
150坪 | 3775000円 |
光触媒塗料メーカーと塗料
光触媒塗料を作っているメーカーと塗料について書いていきます。これらの他にも複数あると思います。
メーカー | 主力光触媒塗料名 | |
---|---|---|
TOTO(TOTOオキツモコーティングス) | ハイドロテクトカラーコートECO-EX | |
SurfaPore | サーファシールドC YH2-SSC01 | |
日本特殊塗料(ニットク) | エヌティオ | |
ピアレックステクノロジーズ | ピュアコートANプラス |